《推定睡眠時間:30分》
毎度おなじみキラキラ映画、今回は主演が『うちの弟どもがすみません』と『なのに、千輝くんが甘すぎる。』のキラキラスターズ畑芽育、イケメン枠はなにわ男子の大橋和也ということで、大橋和也がこれが初キラキラだがなにわ男子は近年のキラキラ映画のイケメン供給源のひとつであるから、まぁ安定のキラキラ映画という感じだ。畑芽育は『なのに、千輝くんが甘すぎる。』でなにわ男子の高橋恭平とデキているのでなにわ男子をつかまえるのはこれで二人目。なにわ男子狩りのプロである。
主人公の畑芽育は高校時代にイケメンにフラれた上にそのことで笑いものにされたためイケメンに硬く心を閉ざしたハードボイルド女子大生。友人が誰々ってカッコいいよね~と同調を求めてきても「ふんッ。君、あんな男のいったい何がいいというのかね。所詮見た目だけではないか。軽薄だよ軽薄」みたいなことを言う教授キャラになってしまった。だがしかし、そんな畑芽育が実家の定食屋で店番をしていたところ世界的大人気イケメングループのリーダーと見られる大橋和也が来店。
なにがイケメン、たかがイケメン、されどイケメン…大橋和也はそうイケメンとも思えないがそういう設定なので、やはり生で見るイケメンは違った。突然のイケメン急接近により紅潮した肌から立ち上る湯気でメガネが曇るなどのマンガ演出を施されてしまうチョロい畑芽育。ドキドキしつつもなんとかイケメンを撃退することには成功したが、しかしここで予想内でしかない予想外の展開。全世界の誰もが自分を愛してくれているという狂った妄想を抱いている大橋和也は自分を拒絶する畑芽育に衝撃を受けてその場で泣き出してしまい、どうにか畑芽育に自分を好きになってもらおうとするのであった。そうとなれば畑芽育も大橋和也を好きにならないわけにはいかないだろうが!
紅潮した肌から立ち上る湯気でメガネが曇るとかそういうのでわかると思うがコミカル路線のキラキラ映画である。コミカル路線はシリアス路線よりも役者の力量が求められると思っているが、その点で子役出身の畑芽育は既に十年以上の演技経験があるので大正解、メガネをクイッと上げての(そんなベタな!)「ふんッ。君、あんな男のいったい何がいいというのかね…」から一転してのイケメンドルオタ変貌には思わず笑ってしまい、見事なコメディエンヌっぷり。それだけに結局シリアス路線というか感動路線ぽいものに入っていく終盤の展開がもったいない気もするが、まぁキラキラ映画なんてそんなもんだろう。
登場人物のデフォルメが強くポップなマンガ演出を多用しているため展開は快調、遠藤憲一や真壁刀義のカメオ出演というなんじゃそりゃな遊び心も効いて、言うまでもなく頭にも心にも残るものなどまったくないわけだが、必要最低限の道具立てで予算以上に楽しませてくれる、コメディキラキラの快作じゃあないでしょーか。