オタティーン映画『3D彼女 リアルガール』の感想文(ネタバレない)

《推定睡眠時間:20分》

なぁにがオタク男子と美女子高生の恋愛だよふざけんじゃねぇよなにオタク男子が佐野勇斗? これが話題の文化的盗用ですよ皆さん!
文化的盗用と言いますとなんか知らんけど多文化社会のアメリカの話でしょうみたいに思ってしまいますが身近なところにもありましたね!
でもって文化的盗用とか言うけどそれの何が問題なのっていう気もしますがこういう身近なものに引きつけて考えると多少やっぱりどうかなっていう感じもしてきますね!

だって英勉だから! 『3D彼女』の監督は英勉ですが俺は忘れてないですから英勉監督の鳥人間コンテスト題材ティーン映画『トリガール!』がオタク人権完全無視のあかんやつだったことを!
メガネかけてるだけの男子が土屋太鳳に接近拒否される映画なんだからなあれ! それでそのことのシナリオ的なフォローとか一切ないんだから!
なんでメガネかけてるだけでそんな扱い受けなきゃいけないんだっつーの! っつーかオタク=メガネじゃねっつーの! お前らオタクをなんだと思っているんだ! オタクをオタクから奪うな! 人権後進国! 人権後進国!

…と、被害妄想寄りの闘志を漲らせて臨んだ『3D彼女』でしたがすいません文化的盗用とかじゃなかったです佐野勇斗ちゃんとオタクでちゃんとキモかったです。そうだよねオタクはやっぱキモくなくちゃあね。オタクを擁護している風を装って背後から刺す獅子身中の虫。
文化的盗用もんだいの他にも俺はどうもこの映画をだいぶ誤解していたようだ。佐野勇斗とひょんの概念を再考せざるを得ないひょんなことから付き合うことになるのが中条あやみ。

苦手なんだよ中条あやみ。細すぎて怖いしオッサンに都合の良い女子感が強すぎるんですよオッサンに都合の良い女子感が。あと演技がなかなか上達しない。
上達しないというか事務所的な大人の要請の可能性もあるが場面場面で激しく感情と立ち位置を揺らす佐野勇斗ほか数名のメインキャラの熱演に対してどんな場面でもパリっとキマった中条あやみ性を崩さないマネキンの如し中条あやみであるからこれはどうかなぁと思っていたがしかし!

素足には逆らえない。素足には逆らえない。ミニスカートからツンと伸びた中条あやみの美素足に対人オタクバリアーを粉々に粉砕された佐野勇斗同様、俺も心の中でクッ…と屈辱の声を漏らしつつ静かにうな垂れ、誰に対するでもなく今まで中条あやみを頭ごなしに否定してきた自分に対して首を縦に振ってしまったから要するに事前イメージより全然良い感じの映画だったのですがここまで書いて俺めっちゃ俺がキモくなったよ。つらいな。

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内容は英勉らしい歯切れの良いハイテンションラブコメで、『トリガール』とか『あさひなぐ』とか基本的に体育会系っていうか欲望と感情に忠実な陽性のリア充人間模様を得意とする人であるから(『ちはやふる』の映像が引用されたりする)陰性のオタク題材と食い合わせ悪すぎるだろうと思っていたのですが、原作がよかったのか脚本(高野水登という人)がよかったのか意外とそこらへん乖離がなく素直に楽しく見れたりした。

佐野勇斗の両親は父が竹内力で母が濱田マリなのですがこの家族のくだりとかおもしろかったっすねぇ~。
佐野勇斗が自室でマイベストアニメ『魔法少女えぞみち』(なんだそれは)のえぞみちちゃんとイマジナリー激論を繰り広げてると部屋の外でリキとマリがそれ聞いてるの、玉音放送聞いた青年将校みたいな顔で。最高じゃん。

なんで今頃的な『マトリックス』パロディなんかは監督の加齢を感じずにはいられないがそれはまぁ見なかったことにして、お話の面で良かったのは脚本書いてるのが平成ジェネレーションの若い演劇人だからか学園内人間関係をわりとフラットに流動的なものとして捉えてるところで、一応学園内ヒエラルキーみたいなものはあるんですけどそれが中条あやみが触媒となって部分部分で崩れていって、属性の異なるやつらの友達グループがなんとなく立ち上がっていく。

『となりの怪物くん』もそのパターンだったがこっちの特徴はその自然さとゆるさ。ベタベタしないけど離れすぎているわけでもなく。それなりに仲はいいけどなんとなくギクシャクしたところも残っていてみたいな。
そのへんの微妙な関係性を雰囲気ヤンキー&雰囲気リア充の清水尋也(いかにも英勉の本領発揮という感じのキャラだ)と欲望に忠実で当たりの強い標準型女子高生の恒松祐里(ちなみに佐野勇斗の役名は筒井だが、ちょっと前にやってたティーン映画『虹色デイズ』での恒松祐里の役名も筒井だった)が自然体の好演で支えていて、これがコミカルに誇張された佐野勇斗と中条あやみの存在に立体感を与えていたりもして面白かったなぁ。

オタクといってもそこらへんテレビ的な記号化されたオタクなのでガチのキモオタはあんな健全なフィギュアで満足しねぇだろとか色々思うところはあるわけですが、ちゃんと劇中アニメの『魔法少女えぞみち』までそれっぽいの作ってるからなんか感心してしまう。

そのえぞみちちゃんが平面のままリアル世界に飛び出してきて動き回るポップな演出は最近のティーン/女子映画界でなぜかブーム。
『センセイ君主』も『わたしに××しなさい!』も『高台家の人々』も似たようなことをやっていたが、ダイレクトにテーマと結びついていて、かつちゃんと(ヘボコミカルに)作り込まれていたので個人的にはこれが一番しっくりきたかもしれない。

中条あやみの生活臭のない堅い演技もフィギュア的に捉えれば、まあアニオタの映画なわけですから、あれはあれで作品に貢献してたかもしれないなぁとか思い、予告編から受けるオタク舐めてんのかよぶっ○すぞこの野郎的な印象を見事ひっくり返す秋のティーン映画のダークホースにしてオタクコメディの好編な『3D彼女 リアルガール』なのでありましたとさ。

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いくら関連させられそうなオタクラブコメ映画だからといってなにもそこまで遡らないでもいいだろう。そういうところがオタクなんだ。わかっている、わかっているんだ…。

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