現代に蘇る昭和ガメライズム映画『温泉シャーク2 九州大決戦』感想文

《推定睡眠時間:0分》

サメ映画不毛の地日本において珍しく……などと書き出そうとしてしまったがそもそもサメ映画が量産されるアメリカ合衆国が異常なのであってサメ映画が年に数本しか制作されないことの方が世界的には圧倒的に普通だろう。とはいえ日本では珍しい国産サメ映画『温泉シャーク』がこれまた日本では珍しく一般公開され、しかもちゃんと話題になって全国公開されたことには変わりない。でその珍しい『温泉シャーク』に続編ができましたというのがこの『温泉シャーク2 九州大決戦』ということで、続編まで劇場公開された国産サメ映画となるとこれはもしかすると日本映画史上初の快挙ではないだろうか。

といっても『温泉シャーク』は熱海怪獣映画祭の周辺から生まれた特撮・怪獣テイストの強いサメ映画、温泉からサメが現れて人を食うというZ級サメ映画的なシーンはしっかりあるものの、人間並みの知能を持つサメ怪人が罠を張ってシャ~ックシャクシャク! と人間どもを嘲笑うとか急造された特殊潜水艇で海底に潜む超進化を遂げた超巨大サメ&1万匹ぐらいのサメ軍団を討伐に行くとか(なんか『ガメラ対宇宙怪獣バイラス』とか『ガメラ対深海怪獣ジグラ』みたいだが、そういえば『ジグラ』はある意味日本初のサメ映画であった)展開や演出は怪獣映画の色合いが強く、件の特殊潜水艇の製造シーンはあえてミニチュア感を前面に出したシーンとなっていた。

その続編にあたる今回はより怪獣映画感がパワーアップ、前作の後に温泉シャーク対策室が設置されてたり悪のマッド実業家が温泉シャークのエキスを使ってメカ巨大サメを作ったりとかするのだが、しまいには岩に封印されていた伝説上の温泉シャークが目覚めて大分の温泉街でこんな田舎さっさと出てーぜと鬱憤を溜め込んでいる女子高生と日本語で交信するとか『ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒』かよ! いやむしろこの意図的なチープ加減からいって河崎実の着ぐるみ特撮映画か『大怪獣モノ』とか! てな感じであんまりサメ映画っぽさはない。

そのためサメ映画愛好家たちがこの映画をどう見るかはよくわからないのだが、河崎実映画をニコニコして観られる俺としてはこちらの方が前作よりも好きかもしれない。一発ネタ的なところがあった前作に比べると今回はキャラクターの内面描写もしっかりしているしストーリーは一捻り二捻りあって河崎実映画っぽくなったのに逆に前作より本格的という謎の進化、メカ温泉シャークの暴走により九州がサメの形に(何を書いているのか不明)変形してしまうなどダイナミックなトンチキもあって、特別出演に鈴木慶一、LiLiCo、渋川清彦と出演者も謎に豪華、なんかこう映画としてしっかりしてる感じである(前作から続投のヒカシュー巻上公一の出番が増えたのも嬉しい)

笑いどころは前作よりも少ない気がするが、チャチながら映画を面白くするための荒唐無稽なアイデアが満載な、昭和ガメライズムとも言うべき特撮映画というのはなんだか大事にしたいものだ。登場人物が多く群像劇的なシナリオのわりには各キャラクターの行動が一つに結びついていかないので盛り上がりが弱いとかそういう弱点はもちろんあるが、謎のマッチョと温泉シャークの来歴も明かされてまだシリーズ続けられそうなので、昭和ガメラぐらい作り続けたら案外現代日本にようやく生まれた新しい怪獣映画として中野ブロードウェイあたりに集うオタクたちにのみ口伝で伝えられる特撮映画史に名を残すかもしれません。

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