極限災害黙示録映画『ジオストーム』を浴びる!(ネタバレは反転で)

《推定睡眠時間:0分》

地球の気候がなんだかおかしい。尋常ならざる異常気象に人類が出した答えは天候コントロール衛星網の構築であった。ありえない大寒波、あり得ない大干ばつ、ありえない大熱波、ありえない大洪水、読んだことがないから知らないが旧約聖書をひっくり返したような大災害の数々はこうして治まりましたとさと油断していたら管理衛星大暴走、尋常ならざる異常気象を遙かに凌ぐこれはもう天候とか科学の問題を超えた黙示録的超異常事象が人類に降りかかる!
具体的には触れると人間が瞬間凍結する氷結津波がリオ・デ・ジャネイロのビーチに到来するとかですけど氷結津波ってなに? …まぁ、黙示録だから!

リオは氷結津波ですが東京は直径数メートルとかの雹が降ってきます。そういえば去年はとんでもない通り雹が東京を襲った。俺そのとき外歩いてましたからめっちゃ怖かったですよ。
あれやばかったですよね。それまでなにもなかったのに急にバケツぶん投げたみたいにドカァ降ってきて。降ったのはたかだか十数分程度なのにその十数分で道路冠水しちゃって。

本当に急だったから逃げ場がなくて、俺は近くにあったマンションの倉庫みたいなところの庇の下にとりあえず避難したんですがー、その庇が数十センチ程度しかない。雹もすごいが風もすごいからバンバン雹が入ってくる。
当たる。痛い。ほぼ石。死の可能性が脳裏を過ぎる。

避難先の斜向かいには屋根付きのバス停があって、そこに中学生が3人避難しているのが見えた。そのシチュエーションと距離感になんとなく『ミスト』を連想、『ミスト』好きだからガンガン雹に当てられながらちょっと興奮してしまうのだったが、見ていると3人の中の2人がカップルだったらしく抱擁し始める。
同じ屋根の下で蚊帳の外に置かれた男子生徒が無言で抱擁生徒を眺めるのを雹に打たれながら遠巻きに眺める俺。怖いと思いましたね、雹。

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ちなみに映画の方は別の意味でこわさがあり製作・脚本・監督は『インデペンデンス・デイ』製作と脚本のディーン・デブリンでしたが当時クリントン政権下のホワイトハウスを爆破させた『インデ』に続いて『ジオストーム』では民主党の党大会を爆破するのでなにか若干のバノンみを感じてしまう。

大統領役はアンディ・ガルシアですが劇中党大会でオバマ的フレーズを放つこの大統領は環境問題にご執心な人であるからオバマに加えてアル・ゴアをイメージした風、この人が異常気象をどうにかしようとして音頭を取ってしまったことが黙示録事象の発端なわけだから、アメリカではクリスチャン映画というのがジャンルとして定着しているというがこれはリパブリカン映画とでも言うべきだろう。
つーかクリントン政権の副大統領じゃないですかゴア。どんだけゴア嫌いなんだよ!

それにしても大味な映画だ。破壊王ローランド・エメリッヒの座付き作家であったディーン・デブリン入魂の一作はエメリッヒのディザスター終着点『2012』のだいぶ遅れた対抗作(『2012』はデブリン関わってないのだ)の趣で、やってる地球破壊行為もだいたい似たような…しかしデブリン初監督作はエメリッヒとは本気度が違うからな!

エメリッヒはデブリンの脚本とか絶対鼻で笑ってますから! あいつ嫌なやつなんですよ! 遊び半分で人を殺すし地球壊すからね! 『インデ』の宇宙人歓迎ニューエイジャー大虐殺、『2012』の運転の遅いババァに対する「どけババァ!」台詞からのせり上がった地盤でババァ粉砕、『インデペンデンス・デイ リサージェンス』での友好的宇宙人誤爆、の演出のキレの良さ。全部大爆笑で超面白いけど人でなしが如実。

こういうエメリッヒの悪ふざけと「アメリカ人てこういうの好きなんでしょ?」的な嫌味演出にデブリンとしては忸怩たる思いもあったんだろう、気象管理衛星を作ったのか気象管理衛星の仕組みを作ったのかそれとも気象管理の仕組みを発明したのかよくわからないエンジニアの主人公ジェラルド・バトラーが場面によっては宇宙ステーションの設計にも携わっていたり管理衛星のシステムをいじっていたり宇宙服着て船外活動していたりエンジニアをなんだと思ってるんだよ的な大味シナリオだが映像は迫真。

香港大崩壊の場面とか『2012』でも見たような気がするが極限災害を俯瞰して嗤う『2012』と違ってぐわんぐわん客を揺さぶるダイナミックなアクション連鎖で魅せるから手に汗握りましたよ!
リオのケレンもノッたもん勝ち! ビッグウェーブだけに!

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もしかしたらこれもシナリオそっちのけの破壊行為見本市だった『2012』への不満が込められているのかもしれない。宣伝では黙示録事象ばかりを推す『ジオストーム』ですが、ストーリー的にはちょっとだけ『アウトランド』を彷彿とさせるような渋めのSFポリティカル・サスペンスの色合いが濃かった。

いったい気象管理衛星に何が起きているのか。気象管理衛星の暴走が黙示録事象を引き起こしているらしいが、だとしたらなぜ暴走したのか。単身宇宙ステーションに送り込まれた(なんでだよ!)ジェラルド・バトラーは信用できない地上の背広組とか信用できないオタク風システムエンジニアとか信用できない保安担当の外国人とかに囲まれて疑心暗鬼に陥りつつ、背広組に堕した地上の弟と確執を深めたり関係を修復したりしつつ、とりあえず邪魔するやつは殴って道を切り開きつつ真相を探る。

うーん、男の映画。アメリカの映画。ジェラルド・バトラーのいかにも融通の利かなそうなお芝居が若干パラノイアックな空気を発散、存外サスペンスに満ちていてハラハラドキドキおもしろいがゲイ公言のエメリッヒはこれ苦笑いしかないだろうな。
ぼくもしょうじき苦笑いであるがその理由はネタバレになるから古典反転処理にしときます見たい人は勝手に見て。

管理衛星の暴走はウィルスによるものだったそうです。『インデペンデンスデイ』の頃とまったく変わらぬデブリンのデジタル理解。ウィルスは再起動すれば駆除できるとジェラルド・バトラーがなにひとつ根拠なく豪語するが実際に再起動したら直りました。もっとちゃんと解決してくれそうなオタク風SEは実はやっぱり裏切り者だったのでジェラルド・バトラーが殴り殺してしまっていた。
気象管理衛星に問題があるらしいとわかったので一基つかまえて宇宙ステーション内で調査しようとする。すると突然(おそらく裏切りSEの仕業)作業アームが暴走! 衛星がガコンガコン壁にぶつかったのでハードディスク壊れて調査できないとかスタッフが言い出す。叩けば壊れるとか叩けば直るとか昭和的発想すぎないか。
あと宇宙ステーションは自爆装置があるので例のマザーコンピューターが爆破まで何分ですとかアナウンスする展開になるがものすごい派手に爆発してたから最終的にウィルスなくなって良かったねみたいになっていたが爆破デプリであの衛星網全部ダメになったと思うしウィルス感染も含めて全部アメリカの独断でやったことなのでハッピーエンドっぽいがあの後ロシアとか中国と戦争になったとおもいます。

背広組の弟と現場主義の兄の確執。アメリカ映画だ。エンジニアとものづくりの現場への信仰に近い憧憬。俺たちのアメリカ映画だ。ああ…なんというアナクロニズム。それが欲しいときもあれば、うんざりさせられるときもある。
楽しくは見たけれども強烈な加齢臭、政治臭、聖書臭に辟易させられたのも事実。これはネタバレですが最後のシーンは雲間から差す一条の光です。福音のイメージか。これぞ、アメリカ映画だ…。

【ママー!これ買ってー!】


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