香港爆発映画『SHOCK WAVE 爆弾処理班』感想文

投稿日: カテゴリー 居眠り映画館タグ , , ,

《推定睡眠時間:0分》

もう色々とすごいんですがとりま一番うわこれ超いいなって思った場面、1000キロのプラスチック爆弾と大量の銃器を抱えた重武装強盗団にジャックされた香港海底トンネルに広がるパニック映画的光景をドローンでスーっとトンネルの手前から奥まで(または逆)ワンカットで納めるところ。
まるで『史上最大の作戦』に出てくるノルマンディー上陸作戦のパノラマ空撮。いや興奮しましたよ。こんなの出来るんだねぇって。市街地だと色々と難しいかもしれない史上最大の群衆パニックもトンネル内ならやれんじゃねぇのみたいな発想かもしれないがいやでも思いついてもやらないよねぇ普通ねぇ。香港映画の普通ラインがどこらへんか知りませんが。

だいたい導入部からしてテンションがおかしい。チアン・ウーがリーダーの強盗一味に爆弾処理班のアンディ・ラウが犯人は爆弾をよく使うからとかいう人命軽視も甚だしい理由で潜入捜査、一味が計画していた銀行強盗に同行するハメになるがこの強盗一味はハッキングとか警備員の買収とかそんな回りくどいことはしねぇ、『ダークナイト』の覆面つけて自動小銃ぶっ放しながら正面突破だ! 撃つ! 撃たれる! 撃ち返す! 金庫の扉? そんなもんは爆弾で粉砕だ! ドゥオーン!

この思い切りのよさはどうですか。今更『ダークナイト』のパクいや全力オマージュとかいう謎も込みでハートビートが止まらなくないですか。
なんでそんなもん都合よくあるんだよ的な駐車場行き緊急避難すべり台みたいなやつにバババっと金庫から奪った金を落としてそのままテメェらもすべり台ツルー、着地即待機車に乗車、逃亡。

やべぇことになった。アンディ・ラウ、強盗直後または直前に一味をとっ捕まえてもらうつもりだったが意外としぶといこの一味、警察を振り切って市街地カーチェイスに突入してしまう。
ここで爆弾強盗の本領発揮。猛スピードで逃げ込んだ先の駐車場には爆弾がいくつも仕掛けられていて追跡ポリカーめがけて遠隔操作で駐車車両を爆破! これが、こう、実に都合のよい方向に吹き飛んで爆破車がポリカーに次々激突していくすげぇ。超快感。

爆破&カークラッシュの大混乱の中、強盗一味の後続車両に乗り込んでいたアンディ・ラウも身バレ覚悟で車内バトルをおっぱじめる。
なんか内も外もすごいことになっているな。なんかのっけからすごいことになっているな! すごいカーチェイスはラスト爆破による道路陥落と追跡ポリカー落下クラッシュで閉幕、どうにか香港から脱出した強盗リーダーのチアン・ウーだったがアンディ・ラウのご活躍で捕らわれた弟が心残り。

いつか弟を取り戻す。そんでもって弟を捕縛したアンディ・ラウに復讐してやる。かくして香港海底トンネルで史上最大の強盗作戦へと物語は歩き始めるのだった。

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すげぇのはあと『ダークナイト』もそうですけど確実にスタローンがトンネル事故に挑む『デイライト』もパオマージュしてますからね。そこまで遡るかよ! 節操とかねぇかよ! ねぇよ!
香港を感じるな。あぁ香港映画だなって思ったよ。軽く『ダイハード3』みたいなところもあるしいつの時代の映画かわからんくなるが面白い懐かしハリウッドアクション映画の面白いところだけを節操なくパッチワークしたらむしろ本家より超面白くなってしまった気がするから職人仕事やべぇ。

『八仙飯店之人肉饅頭』と『エボラ・シンドローム』のという偏見塗れのイメージはそろそろ我々も刷新すべきではないかと思わず主語を大きくしてしまった香港の破壊王ハーマン・ヤウの迷いのないダイナミック演出よ。
共同で脚本と撮影も兼任したとにかくこの絵を見ろよの連続は冷静に見直せば筋が通らない可能性もあるが、異様なテンションを伴って異様なスピードで事態が転がっていくので脇目を振る余裕がない。

二枚腰三枚腰の二転三転シナリオがまた風刺も効いていてちゃんと何気ない台詞が伏線になっていたりして泣ける感じにもなっていてかつちゃんとパクっているという…プロじゃん! いやプロなんでけど。
大規模立てこもり事件が起きても経済優先、ニュースの関心事は爆弾設置の恐れから閉鎖していた別のトンネルの封鎖が解除されるかされないか。ロビン・フッドを名乗るチアン・ウーは香港海底トンネルの政府買い戻しを要求する…と社会派な視線も結構本気で感心しきり。

思えば『八仙飯店之人肉饅頭3』もノンシャランな若者どもが人を殺めちゃって食うことも食わせることもなくひたすら後悔する話だったから見た当時はふざけんなよと思ったがあれわりと真面目に現代香港の若者群像を捉えようとした社会派映画だったのでは。
なんだか『エボラ・シンドローム』もそんな映画だった気がしてくるから昔からこういう爆発的な演出と香港社会を見つめる視線の同居する人だったんだなこの人は。変態だと思っていてすいませんでした。

トンネル内のノルマンディー海岸的パノラマはパニック琴線にビシビシ来るものがあったわけですがトンネル内といえばアクション監督ディオン・ラムの停車車両をフルに活用した集団立体アクションもテンション上がったなぁ。
ヒーロー然としないアンディ・ラウの抑えた演技も職人的ノーマル警官の矜持がよくよく出ていて素晴らしく…いや面白かったすねぇ。

【ママー!これ買ってー!】


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ラリー・コーエン原案の快サス『セルラー』の香港リメイクも容量いっぱいまで詰め込まれたサスペンスネタとアクションアイディアでたいへんなことになってしまっていた。

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