超級普通映画『デス・ウィッシュ』の感想

《推定睡眠時間:0分》

観に行ったの数日前だし珍しく一睡もしていないのに特に後半の展開がどんなだったか早くも忘れている。
それぐらいの方がいいっすよねこういう仕事帰りアクション、アフター6アクションは。忘れているが適当におもしろかった印象は残っているからおもしろかった。記憶に残る映画ばかりが良い映画じゃあないんだよ。

でもどうおもしろかったかと問われればかなり答えに困るなこれは…普通で、もうすげぇ手堅くて、タイトルを『ウェルメイド』にしたらいいんじゃないかっていうぐらいのウェルなメイドっぷりで…監督イーライ・ロス、ちょうど『ルイスと不思議の時計』も本邦では公開中ですがあれも俺好きですけどめちゃくちゃソツがない優等生映画でしたからね…。

残酷新世代の旗手としてロスの名を知らしめた『ホステル』だってゴア描写がやべぇゴア描写がやべぇっていう映画秘宝の煽りを信じてどんなにやべぇ映画かと観に行ったらゴア描写は確かにやべぇかったですけど演出とかストーリーテリングは極めてオーソドックスで外さないっていうむしろそこに驚きがあったぐらいだから真面目な人なんだ。

長編デビュー作の『キャビン・フィーバー』の公開に際しては“リンチの愛弟子”として宣伝されていたロスですが、『キャビン・フィーバー』の公開は2002年。
その頃はまだカルト帝王としてのリンチ神話も生きていたが、今ではリンチが超ジェントルメンで超常識人で超気さくで超普通の良い人(少なくとも私生活においては)であると知らない人はいない、とまでは言わずとも素直にリンチ神話を信じてる人も少ないでしょうたぶん。
あれから16年、“リンチの愛弟子”のキャッチコピーが意味するものはなにやら怪しいやばい世界に属する人から常識を弁えた気の利く人に取って代わったのだ。

それで『デス・ウィッシュ』、チャールズ・ブロンソンの『狼よさらば』のリメイクだそうですがその改変どころの無難さときたらある意味すごくてある意味全然すごくない。
脚本ジョー・カーナハンというからもっと硬派な感じかそれとも活劇に振り切れるかと思いきや、ロスの手腕で完璧に中道路線。

血飛沫は上がるは腸は飛び出すわで血の気の少ない映画では決してないと思うが嫌悪感も笑いも興奮も催さない爽やかさ。
全年齢(R15ですが)・全人種・全ジェンダー対象のダイバーシティ残酷バイオレンス映画だ。それはバイオレンス映画と言えるのだろうかという気もするが別に公式がバイオレンス映画を謳っているわけでもないからいいのだ。

【ママー!これ買ってー!】


アンブレイカブル(字幕版)

わりと『アンブレイカブル』と似てました。

↓オリジナル


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