優良B級『ネイビーシールズ ナチスの金塊を奪還せよ!』の感想

《推定睡眠時間:20分》

シールズものにも色々あると思うがこれは『ネイビーシールズ』(2012)側じゃないな『ネイビー・シールズ』(1990)側だな。要人誘拐、隠密作戦、あっさりバレて肉弾戦のち大乱戦、RPG着弾にボートで増援、戦車チェイス、ヘリと戦闘機の非対称ドッグファイト、カミカゼ兵士、湖中の秘宝、金塊の山、通信塔も鉄橋もみんな壊せ。俺たちシールズ。イエー!
果たしてこれが2018年最新のシールズ映画の光景なのか。時代まで『ネイビー・シールズ』に遡った気がしたが舞台設定的にはボスニア紛争下の1995年サラエボだからその意味ではあの頃シネマ感が理に適っていた、単に時代錯誤というわけではなく。

だがそういうのは一作品として見たときの客観的分析的総合的な感想であって個人的な体験としての感想でいえば今これやるの!? っていう驚きからの今これやるの!! 正直かなり興奮した。
まぼろしの金塊奪取作戦だなんて。J・K・シモンズ演じる上官の体育会系説教だなんて。SASに嫌味を言われて殴り合うシールズ隊員。作戦の後は酒場で女を口説いてフラれる例のアレ。そして爆破。
いつやるの! 絶対今やる映画じゃないだろ、その流行語が既に死語だというのに。

早い話がスター的な人の出てこない『エクスペンタブルズ』のようなもので新橋文化系アクション、シネパトス系アクション、浅草中映系の陽気なB級ミリタリーアクションだから、『エクスペンタブルズ3』から早4年(!)、B級とドンパチと泥臭くも気前の良い男たちのイエー的なやつに飢えた心の隙間を埋めるにはあまりにもちょうどよかったから通常の何倍もボーナス付いておもしろかったし興奮したね。
あとからNetflixとかで見たら絶対そんなおもしろくねぇんだよなんならちょっと飛ばすんだよ、途中のダレるとこ。でもスクリーンで浴びた直後の今の気分だと50点満点で120点だ。ボート増援! 俺は敵兵のボート増援と倒壊する通信塔が見たかったんですよ!

若干ふてくされ気味の隊員を一列に並ばせてバカチン説教を垂れる上官の、怒号の合間にさりげなく差し挟まれる小粋なジョークもな!

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でもよくこれビデオスルーならなかったな。内容もさることながら出てくる人が本当に地味で。地味っていうか全然知らない人で。いや本当に知らない人で揃えてきてた主役のシールズ隊員。
一人だけ見たことあるなと思ったらスパッド、『トレインスポッティング』の。それが、でも後方支援要員で基本前に出てこないからな…こういうのリアリティを追求しての演出とかじゃないんだよなたぶん。だって体格も顔つきも誰もシールズに見えなかったもんあのシールズ隊員。
だからもう、誰? って感じですよね。キャラ付けも薄いから知らない人が仕事頑張ってるの遠くから見てる感じで…それさえも魅力と言えなくもないからマジックワードだB級というのは。

主役が知らない人のくせに脇を固める人はわりあい豪華の謎。得意のドラミング説教炸裂のJ・K・シモンズ、後方支援要員と言いつつ結局美味しいところはかっさらうスパッドことユエン・ブレムナー、で、見ている間は少しも気付かなかったがシールズが惚れた現地の人シルヴィア・フークス、『ブレードランナー2049』のラヴ。

なにか、新人発掘企画みたいなものなのか。監督のスティーヴン・クエイルという人もジェームズ・キャメロンの映画でセカンドユニット監督をやっていた人とのこと。脚本と製作はリュック・ベッソン。
まぁ作り手の意図は知らないが、ともあれ顔と名前の一致しない知らない人たちのお仕事を影ながらサポートするベテラン勢の鉄板芸で知らないシールズにはノれないが結果、ちょうどよい湯加減でわりと飽きずに最後まで見れてしまうのだった。

あとおもしろポイントとしては、これも今やるの的レトロB級カーアクションだった『スクランブル』で筋者にしか見えない筋者をやってたクレーメンス・シックがいかにもな冷酷将校で出ていて。
いやぁ。怖くて良かったなぁ。怖くて良かったのに出番が少ないそして結構あっさり決着がついてしまったのが残念でならない。じゃああの知らないシールズにクレーメンス・シックの存在感に対抗できる人材が居たかと言えば居なかったと思うのでこれでいいのかもしれませんが。

良い悪いは別として今のアクション映画は詰め込みすぎのきらいがあるからな。こういう中身がないのもたまにはやはり、見たくなる。中身はないけどスカっと小粋なやつ。105分で終わる。えらい。
105分というか、エンドロールが長いから本編のランタイムは90分台だろうな。3曲も4曲もBGMに使ってたから10分ぐらいはあった。10分エンドロール流すほどの映画かと思うが10分エンドロール流すほどの映画に思えないB級アクションにも膨大な人間が関わっているんだなぁ、と妙にしみじみしてしまい、こんな映画でというのも失礼ではあるがなんか充実した映画体験になってよかったです。

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いい男といい女と悪いやつと水中宝探しだけ入れたらおもしろい映画になるからみんなあまり深く考えないでいいんじゃないですかアクション映画作る人。

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