『ジョニー・イングリッシュ アナログの逆襲』見た感想

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《推定睡眠時間:0分》

すごい長いわけでもないしめっちゃ短いわけでもない微妙な製作スパンで3作目まで来てしまった。人気あるのかなぁ。ないのかなぁ。
面白いのか面白くないのかもよくわかりませんが『Mr.ビーン』ブームの時にはライブからドラマから出せるもんは全部出しとけ的な感じで出演作のVHSがレンタルビデオ屋に並んでいたローワン・アトキンソンも最近とんと見なくなったので(かなり仕事を選んでいるらしい)、その芸を劇場で見れる貴重な機会だ『ジョニー・イングリッシュ』。

これは見なければいけないなと無駄に期待値とシリーズの価値が上がったがそのくせ上映時間89分とかで凝ったエンドロールもなくストンと終わる超ささやかな映画だったので思い切りがいいというかなんというか、いやまた7年ぐらい経って続編やったらたぶん見ますけど別に待望する感じにもならない微妙な面白加減。

でもいいんじゃないすかねこういうの。テレビの洋画劇場で放送する時にあんまカットする必要がなさそうな、目を皿にして真面目に楽しもうとする必要もないような、流す側も受け取る側も負担が少ない気楽な娯楽。
劇場の雰囲気もよかったですよ、なんか。流行りの映画に追いつけなさそうなご年配も流行ってる最新映画しか見なさそうな若いねぇちゃんもそこそこな感じでカカカカ笑ってて。

などと書くとゆるい映画みたいですがこれが結構エスプリの効いたっつーかシンプルな分だけ物語の核が明確な力強い映画で、いくらでも要素の盛れそうなところをあえてシンプルに踏み留まったストイックな作劇の放つ凄みを、ローワン・アトキンソンの代わり映えのしない名人芸の数々も当然合わせて強く感じるのだった。

どういうお話かと言えばMI6的な英国スパイ部門のMI7がクラッキングされて全諜報員の情報が漏れてしまった。これじゃあ現役のスパイは使えないから引退してデータ残ってないやつ使おうってことになって、白羽の矢がぶっ刺さったのはもちろんジョニー・イングリッシュ。
この人スマホもネットもなにも使えない。ipadで許諾署名を求められると全力拒否。最新のハイブリットカーとか電気自動車なんて嫌いだから乗るのはアストンマーチンの古いやつ。

これは日常生活で関わると確実に面倒くさいタイプだ…が、そんな単にデジタル社会について行けないだけの老害イングリッシュを超イイ奴の相棒ボフが適宜通訳的擁護。
「つまりイングリッシュ氏は…スマホはGPSで追跡される危険があるから使えないと仰っているのです!」「イングリッシュ氏が言いたいのは…電子制御の最新車は外部にコントロールが奪われる可能性があるため乗れないということです!」

他愛のないユーモアだったが確かにそうだよなって激しく納得させられるのだった。

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MI7のセキュリティが突破されたぐらいなのでクラッキング被害はイギリス全土に及んでいた。
システムの中枢はクローズドネットワークとして設計されていたとしても全体を密閉することは結局できないので、信号がやられて交通が麻痺したり発送電がやられて全域停電になったりと大混乱。

台詞ではそんなことは決して言わないがEU離脱交渉で大事な時にふざけんじゃねぇよとメイ首相的な英国首相(エマ・トンプソン)死ぬほど焦る。
そんな折、首相は世界的に有名なIT長者のTED講演みたいなやつをテレビで目にしてしまう。これだ! こいつを呼べ! こいつに解決させろ! なんか『キングスマン』みたいな話になるのであった。

『キングスマン』はデジタルデバイスに慣れ親しんだ労働者階級ティーンが主人公だったが、スパイ引退後のイングリッシュは由緒正しい英国式寄宿学校でこっそりと生徒にスパイ術を仕込む面白教師。

うーん、この偶然とは思えない対照的な。オールドスクールな映画なのでメタ的に直接劇中で言及されたりとかはしないが、『キングスマン』とか『コードネーム U.N.C.L.E.』とか21世紀対応型の英国系スパイ映画群はキッチリ視野に入れてんだろう。
イングリッシュに近づく敵か味方かわからない謎の女を演じるのは『007 慰めの報酬』の元ボンドガールのオルガ・キュリレンコであった(なぜ今)

現代スパイ映画への舅の小言的アンサーとしての『アナログの逆襲』はなにからなにまで保守的なので、そういえば1作目もそうだったなぁと今思い出したが、差し迫った政治的課題に対する安易な小さな政府的発想こそがイングリッシュの敵になる(サッチャーのもたらした傷は深い…)

改革なんかしなくていい。英国は英国のままでいい。電気自動車には燃費の悪いアストンマーチン、海上のサーバー船にはボロボロの原子力潜水艦、タッチ一つで世界支配を目論む電脳戦士にはしなやかな身体と伝統的パントマイムで対決だ!
このご時世にそれでいいのかと思うがそれなりに面白かったからそれでいいんじゃないすかね。アトキンソンの座付き作曲家ハワード・グッドールによる勇壮なスパイ映画的テーマ曲もかっこよかったですよ、普通に。

あとあれですアストンマーチンの走行シーンが無意味なまでに長いのはたぶんガチなカーマニアのアトキンソンが口を挟んだんだと思います。そこは…それでいいのか?(※走行BGMにFGTHの”Two Tribes”が入ってたりしたからいい)

【ママー!これ買ってー!】


Doomsday(サウンドトラック)

その”Two Tribes”が最高の形で聴ける映画といえばこれで完全に監督生命が終わったと思いきや『ゲーム・オブ・スローンズ』の演出家の一人としてガッツリ生き延びていたニール・マーシャルの『ドゥームズデイ』ですが、サントラ盤はアダム&ジ・アンツ”Dog Eat Dog”で幕を開けそのまま”Two Tribes”へと続く超フルスロットル展開も権利上の都合からかスージー&ザ・バンシーズの”Spellbound”がオミットされる残念仕様、そういえばファイン・ヤング・カニバルズの”Good Thing”も入っていなかった…なんの話でしたっけ?

↓それなりに面白かった1作目と車椅子チェイスの場面しか覚えていない2作目

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