育児恐怖映画『ラ・ヨローナ ~泣く女~』感想文

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《推定睡眠時間:15分》

この名前はなんだか聞いたことがあるぞと思ったらそうだメガテンシリーズ屈指の名作『デビルサマナー ソウルハッカーズ』の登場悪魔だった(ラ・リョローナ表記)。
更にデータを掘るべく表紙がエロい公式攻略本を押し入れに探すが見つからないのでネットで検索。あぁそうそうこんな絵の悪魔でしたね、フラメンコ踊ってる感じの。ドクロ柄のドレス着て。画面上では解像度の都合そこまでわからないが。

種族は鬼女、スキルはメディアと引っかきとファイナルヌードか。魔力偏重のパラメータだからリョローナのファイナルヌード結構強かったんじゃないか。レベル27ということは仲魔にできるようになったぐらいのレベルのパーティならメディアもわりかし使えたかもしれない。出現ダンジョンがかなり限られているのであんまり敵として遭遇した記憶はないし仲魔にはしたようなしないような。VRホラーハウスに出た気がしたが天海フロートらしい。そうだったかなぁ。

という映画とは無関係だし未プレイ勢にはなんのことだかわからない懐古話はさっさとムドで呪殺してリョローナじゃなくてヨローナの方の感想ですが、いやぁ思ったよりおもしろかったなぁ。
金子画伯作のリョローナは魔力で襲ってくる感じですがジェームズ・ワン製作のヨローナは意外や肉体系。肉体系ってエロい意味じゃないのでファイナルヌードとか使ってきません。物理攻撃で攻めてきます。引っかきなんてレベルじゃないです家をぶっ壊す勢いで襲ってくるのでハッカーズで言うところの新月時の闇討ちです。つよーい! あまり伝わっていないだろうというのは想定済みなので大丈夫。

でも悪霊ヨローナのおそろしいところはそんなに強いのに物理で殴り殺したりしてこないところです。フィニッシュは必ず溺死。もうなにがなんでも溺死させないと気が済まない。湖水、じゃなくてこすい手段でターゲットを水辺に誘導、それが効かないとわかると腕ずくで引っ張ってって溺れ殺すんだからこわいですね。こういう変な拘りのある殺人霊が一番厭なんですよ。

風の便りによればこのラ・ヨローナはジェームズ・ワンの死霊館ユニバースには今のところ出演予定のない独立系悪霊とのこと(世界観は共有してる)。
なんでもかんでもユニバースにしたがる風潮には異を唱えたい派なのでこの仮決定にはとくに異存がないが、でもヨローナ、殺しには独自の美学があるしシトシトと泣いていると思ったら唐突に激怒してぶっ殺しにかかってくる極端なメンヘラ性格だし、あと力偏重のパラメータで物理的に強いしでよくよくキャラが立っているので、単発で終わらせるのももったいないよなぁという気もしなくもなかった。

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ヨローナは客を沸かせるタイプのエンタメ悪霊だったがストーリーの方は案外真面目で、三人の母親の情念が呪いの連鎖を生んでしまう的な正統派の怪談話になっていた。
主人公は児童福祉相談所のソーシャルワーカー。警官の夫に先立たれ、精神的にも肉体的にも負担の大きい仕事をこなしながら単身二人の子供を育ててる。

でこの人が虐待事案のお宅を訪問したことから惨劇幕開け。その家庭もシングルマザーで子供二人、とりあえず家の中に入ってみると室内は怪しげな呪具で飾り立てられ、姿の見えない子供たちはどうも呪印の描かれたクローゼットに閉じ込められているっぽい。
「聞こえる? あの声が…」わけのわからぬことを言い出す母親を見てこれはやべぇと主人公判断、出したらいかん出したらいかんの懇願を無視して呪印の扉を破ってしまう。果たしてそこには子供がいたが、子供以外の何かも居たのだった。

ところでこの案件、実は上司の計らいで若手に回される予定だったところを職場復帰間もない主人公が長年私が見てきた案件(のわりには母親の心理的な変化に気付いていなかったっぽいが)だからと半ば強引に奪ったものだった。
この人は責任感が人一倍強い。こういう仕事では保護者との信頼関係の構築がなにより大事だと知っていたからこその判断だったが、皮肉にもその保護者との距離の近さや子供を想う気持ちの強さが悪霊に付け入る隙を与えてしまう。

伝えられるところによるとラ・ヨローナは夫の裏切りに激怒し発作的に二人の子供を川に沈め殺めたものの、その後正気に返って自分のしたことに超絶ショック。泣きながら他人の子供を水に引きずり込む悪霊になってしまったのだという。
えらい迷惑な話だが、それはともかくお話のポイントは一人で色々抱え込んで爆発してしまった母親、というところにあるんだろう。

憤激から子を奪ってしまった母親、奪われて悲嘆に暮れる母親、奪われるかもしれない恐怖に怯える母親。が、呪いで繋がってしまう。
その呪いの連鎖を止めるためにあんまり頼りにならなそうな地域神父(こいつも良いキャラしてましたね)が割って入ってくるあたり教会本来の役割という感じで、この人のバトル霊媒仲介のもと三人の母親は呪いとは別の繋がりを作り上げていく。

そのへん過度に前に出さないところがジャンル映画として好感度が高いが、孤独の中で苦悩する母親たちがバトりながら呪い合いながら孤独と不安を癒やしていく話なのだと思えば、額面以上にイイ話なのであった。
あとお化け描写ですが天井からポツ…ポツ…と水が滴っていて見上げるとそこに、式のケレンの効いたイヤァなショットが多めで普通に怖かったです。そこも、好感度高し。

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よーく

ラ・リョローナはリャナンシーとの精霊合体でウンディーネにするというのがとても重宝した記憶があります。確かウンディーネは天使のランクを上げられるから使い勝手いいんですよ。戦闘で使った記憶はとんとないですけどね…。
映画の方は王道的な分かりやすいホラーものでありながら結構クリティカルに母子家庭の問題とかも描かれてて良かったですね。
>孤独の中で苦悩する母親たちがバトりながら呪い合いながら孤独と不安を癒やしていく話なのだと思えば、額面以上にイイ話なのであった。
これはほんと昔ながらのベタな物語りパターンとしては喧嘩した後二人の番長が土手で寝そべって「お前やるじゃねぇか」「お前こそな…」みたいなのと似たような効果を出すように意図したのかなとも思いました。まぁもちろん作中の3人は和解できるような関係性ではないですが、少なくとも呪い合いを経て落ち着くところに落ち着いたよなっていう感じで良い終わり方だったなと思います。