不可解いっぱい映画『よこがお』感想文

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《推定睡眠時間:0分》

平穏な人間関係がドミノ倒しの要領でバタバタ倒れて人間の裏表がひっくり返っていくお話だったので『よこがお』というタイトルは知っている人の知らなかった側面を指しているのだろうと思ったんですがそれなら普通は横じゃなくて裏の顔って言う。
よこがお。わたしは真っ直ぐあなたを見つめているのにあなたはわたしとは別のなにかを見ている時の、わたしから見えるあなたの顔。片思いのすれ違いと連鎖が悲劇を生むというお話でもあったのでなるほどそういうことか、と納得しかけるがなにか釈然としない。

不可解な映画だった。タイトルも不可解だし冒頭が池松壮亮の勤務してる美容院に訪問看護師の主人公・筒井真理子がやってくる場面なのですが、冒頭に置いてるぐらいだから物語の起点なんだろうと思いきや、そのしばらく後の場面で筒井真理子が訪問先一家のニートっぽいズボラ長女・市川実日子から教わる妙な呼吸法をここで実践しているから物語の時系列に沿ってはいないらしい。

じゃあ時系列に戻すと具体的にどこなのかというとこれがよくわからない。それっぽい見立てはできるけれども見立てを補強するかすがいがない。う~ん不可解。池松壮亮の台詞まで不可解だ。「前にどこかで会いましたっけ?」この場面の後、ふたりはたまたま(?)再会して親交を深めるのですが、時系列に沿っていないのだからその再会の前には今わたしが見た場面とはまた別の、画面には映らない場面があったはずなのだ。

まるで騙し絵。筒井真理子が介護している市川実日子家の認知症老婆は一向に完成しないジグソーパズルをやっているが、この物語はピースが欠けている。ピースというかピースに見える暗喩や寓意や心象風景ばかりの映画。それをいくらちゃんと嵌めようとしても綺麗な一枚の絵にはなりゃしないですよね。林の中をカポカポ歩くマグリットの馬のように前が後ろになったり後ろが前になったりしてしまう。謎ばかりの映画。人間はグロテスクな謎でいっぱい。

視線のすれ違いの映画ということでダークな『愛がなんだ』っぽくもあったかもしれない。逆に言えば『愛がなんだ』も本質的にはこれぐらいダークですよね、なんか見た目ふわっとしてますけど。片思いは狂気。そういえばどっちも動物園デートの場面がある(そしてあこがれの人と同化しようとする場面もある)
この動物園の場面よかったな、どうぶつがいっぱい出てきて。ちゃんとどうぶつを撮っていて。そういうことを言い始めてしまったら映画がどうとかの話ではなくなってしまうが、でもどうぶつ良かったんですよ本当に…生々しく撮れていて…。

あとジャージ姿のズボラ市川実日子は最強でした。こういうの好きになってしまうからやめてほしいとおもう。こっちは画面の外からそのよこがおを眺めることしかできないわけですから…それが映画というものかもしれないけれども。

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最近はソフト出るの早いっすねと思いましたがもう半年ぐらい前の映画なんすねこれ。ロングランのせいでそんな感じ全然なし。

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