偏見と偏愛のクリスマス・ホラーはこれを観ろ15選!

投稿日: カテゴリー 無気力レンタルビデオ屋さんタグ , , , , , , ,

クリスマスだからとどいつもこいつも浮かれやがって! 俺は一人で映画を観るからな! 家にこもって暗い部屋でツイッターやりながら人体がめっちゃくちゃになったりするホラー映画を観るからな!
…というコンセプトでここ5年くらいずっとクリスマスシーズンはクリスマスを舞台にしたホラー映画を観ることにしていたのですが今年は疫病のせいで世間も例年ほど浮かれずリアルにサイレントナイトが現出してしまいそうなので逆張り的ホラー映画鑑賞欲が失せてしまった。

やっぱりね、健全な社会あってこそのホラー映画ですよ。光が明るければ明るいほど影は濃くなる。暗い世相にあってはホラー映画鑑賞も興が乗らない。というわけで来年こそはキラキラのクリスマスに怨嗟の念を差し向けながら楽しくも陰気にクリスマス・ホラーを観られるように今年は家でおとなしくしときましょ。そのための俺が偏見と偏愛で選んだステイホームなクリスマス・ホラー映画15選。君たちが今Go Toすべきなのはトラベルじゃない、血と臓物にまみれたGo To Hellだ!

血みどろのクリスマス

なにはなくとも雪が降らないとクリスマス感が出ないのと同じようにとりあえず血の雨の一滴でも降らないとホラー感も出ないというもの。まずは基本のスプラッター編です。

『悪魔のサンタクロース2』(1987)

クリスマス・テーマのホラー映画シリーズ『SILENT NIGHT, DEADLY NIGHT』の二作目。ベタな幼少期のトラウマから殺人サンタとなって大暴れした前作の殺人鬼の弟が血は争えねぇっていうんでこっちも殺人サンタ化。兄貴の仇を討つべくクリスマスを血に染める。

すごいのは映画の半分が回想形式での前作のダイジェストという客を舐めきった作りである。いや新しく撮れや。俺それもう観たわこないだ。と、言いたくもなりますが、このダイジェストとは要するに殺人シーンばかりを集めたDIEジェスト。それに加えて映画の残り半分はストーリーなんか知ったことかどうせお前ら人殺しが観たいだけだろうがっ! という身も蓋もない新撮のクリスマス殺人祭。つまり、殺人×殺人。ストーリーなんかあって無いようなものだが、スラッシャー映画としてのコスパは(作り手的にも)かなりのものだろう。

とはいえ回想形式を取っている都合、一応トラウマがトラウマを呼ぶというストーリーはあり、そのトラウマに決着を付けようとした殺人サンタ(弟)の末路はちょっとだけ沁みるものがある。予算のかけたくなさを逆手に取った演出とまで言えるかどうかは微妙なところだが、ストーリーの薄さがかえって殺人サンタ(弟)にならざるを得なかった男の空虚な心境を反映しているかのようでもあり、殺人行脚の末にようやく人としての顔を取り戻す殺人サンタ(弟)に得も言われぬ哀感が宿るのであった。


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『楳図かずお恐怖劇場 プレゼント』(2005)

インディー・ゴアというゴア描写だけを売りにした趣味の悪い自主映画のジャンルは世界中で一定の需要があるそうで、俺はそのへんはあまり詳しくはないのですが、俗悪ビデオメーカーのJVDが一時期クソみたいな吹き替えを付けて乱発していたようなやつと言えば分かる人には分かるだろうと思う。キモイ・キタナイ・カネガナイの3Kが揃っていればだいたいそれがインディー・ゴア。

これはあくまで商業映画として作られた楳図かずお原作の競作シリーズの一本なので厳密にはインディー・ゴアではないのですが、内容的にはビデオ撮りの安い映像も含めて正統派のインディー・ゴアで、とにかく鮮烈なゴア描写が見所のすべて。なんかですねクリスマスにですね合コンしてた若人連中がですね山奥のラブホに行くんですよ。そしたらそこに殺人サンタがいて全員グッチャグチャのバァラバラにしていくのです。ストーリーに多少ファンタジックな捻りがあるとはいえ基本的にはそれだけの映画。

まあこの惨殺劇が容赦ない。殺し方も裂いたり突いたり潰したりと酷いのですが、その後の死体解剖シーンがなんとも凄惨、最近では『スパイの妻』の爪剥ぎ拷問が怖い怖いと話題になりましたがこちらの爪剥ぎはそんなもんじゃあなかったね。ポキポキグチャグチャ爪は剥ぐし脳みそだってズルズルヌチャヌチャ抜いてしまう。殺人サンタの行動目的が一切わからない気味悪さも相まって実にイヤァな余韻を残す迫力のゴア描写で、それを楽しめない人には一切面白くないだろうが、楽しめる人にとっては国産クリスマス・ホラー屈指の傑作なんじゃないだろうか。


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『ナイトメア・オブ・サンタクロース』(2010)

サンタクロースの元ネタ候補兼バリアントとしてオランダにはシンタクラースというものが伝わっており、このシンタクラースも基本的にはサンタクロース的性格を持っているのでプレゼントをくれたりする良い人らしいが、実はそれは後年仮構された偽りの姿、実際のシンタクラースは海賊の手下どもを連れて村々を渡り歩いては略奪&虐殺していた恐ろしい存在で…という創作異聞ネタのスプラッター・ダーク・ファンタジー。怒った村人たちに殺されて船と一緒に海底に眠っていたシンタクラースと海賊ズが恨みパワーでゾンビ化して現代オランダのクリスマスを大襲撃します。いい迷惑!

これはかなり面白い映画でなんというかクリスマス・ホラーの大盛りサービス定食みたいな感じ。まずシンタクラース出るでしょ。このシンタクラースがゾンビ白馬を駆って現代のアムステルダムを縦横無尽に駆け回るダークにしてファンタジーな絵面がいいですよね。それからシンタクラース自身もゾンビですけどもっとゾンビっぽい見てくれの武装海賊ゾンビもたくさん出ます。この海賊ゾンビが実にアクティブに人を殺していく。真冬のアムステルダムはみんな身体が柔らかくなっているので首とかスパンスパン飛んでいってわぁいです。

これだけでも映画一本分のネタとしては充分ではありますがその上にシンタ率いるゾンビ軍団と警官隊との銃撃戦があったり突然のゾンビ軍団襲撃に揺れる偉い人たちの政治的思惑が出てきたり幽霊船が浮上したりオモシロ要素を88分のランタイムの限界まで盛る。気付いた人は気付いたでしょうがこれ要はあれですよね、スパニッシュ・ホラーの有名シリーズの二作目『エルゾンビⅡ』の結構そのまんまなパクリですよね。いいんだよパクリでも! 面白いから!

景気のいい人体損壊描写にノリの良いストーリーテリング、ダイナミックなカメラワークやパワフルなアクションは変な設定のアクション・ホラーで独自の地位を築いたオランダの鬼才ディック・マースの面目躍如。万人にお勧めしたい。


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バカでゆかいなクリスマス

海外のサイトでクリスマス・ホラーのランキングなんかを見ると『グレムリン』や『クランプス 魔物の儀式』はほぼ確実に入ってる。『クランプス』はともかく『グレムリン』はいくら甘く見てもホラーとは言えないのでここでは除外しているが、こういう映画がランキングに入るということはクリスマス・ホラーにみんなでわいわい観られる楽しさが求められているということだろう。というわけで俺激選のみんなでわいわい系クリスマス・ホラーです。

『キラー・スノーマン』(1997)

雪だるまが殺人鬼になったら面白いじゃん的な身も蓋もない映画と思って観ると良い意味で裏切られるコメディ・ホラー。しょうもない映画であることは間違いないがやっつけ感のあるしょうもなさにはなってないところが唸りポイントで、ツララをロケットパンチみたいに飛ばしたりニンジンの鼻をチンコ的に活用したり一旦溶けて再度固まることで被害者を凍死させるなど、雪だるまの特性をフルに組み込んだシナリオが見事。

反撃に出た被害者たちがドライヤーで雪だるまを溶かそうとするとかやってることはいちいちバカなのだがちゃんと頭を使ったバカ映画という感じで、若者カップルがいかにも殺人鬼が出そうなひとけのないところにセックスするために入っていく…というスラッシャーあるあるが、服を脱ごうとしたら冬場だから何枚も着込んでいてなかなか脱げないというパロディネタになっていたりするあたり、出落ち映画には終わらせまいとする作り手の気概を感じる。下品な『グレムリン』かバカ寄りの『チャイルド・プレイ』と言ったら言いすぎだとしても、印象的には結構そんな感じなのである。

ちなみに続編では復活した殺人雪だるまが分裂してみんなで殺人雪玉雪合戦をやる。これもバカで面白いし殺人雪玉が可愛いのでお勧め映画なのだが、残念ながら日本未公開・未ソフト化。


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『サタンクロース』(2005)

サタンクロース! いいですよねこの邦題、勢いがあって。原題は『SANTA’S SLAY』だからサンタの殺しと至って平凡。やはりサタンクロースだ。声に出したい邦題。サタンクロース!

ところでSLAYという単語を殺すの意で使うのは古いらしく現代アメリカでは笑い転げさせるの意で使われるらしいとたった今検索して知った。確かにファンタジーの世界ではドラゴン討伐を生業にする人をドラゴンスレイヤーとか言うが現代でネズミ駆除をする人をラットスレイヤーとか呼んだりすることはない。まぁふざけて言う人もいるのかもしれませんが。

というわけでこの原題『SANTA’S SLAY』は殺しと笑かしのダブルミーニング。プロレスラーのビル・ゴールドバーグが元気いっぱいのナマハゲ的殺人サンタに扮するスラッシャーものなので人体はぐしゃぐしゃに壊れ血はぶしゃぶしゃ噴き出しますが基本的にバカなので無残な感じも怖い感じもゼロ。このサンタ空飛ぶジェットソリでティーンを追いかけながら爆弾投げてくるからね。悪い子はいねがー!

ナマハゲなのでやってることは悪辣ですが物語自体は説話的構造というか、悪いことしたらいけませんよみたいな教育的側面あり。そういう意味でも笑いながら気軽に見られるたのしいスラッシャー映画って感じでしたね。首とか平気で飛ぶので子どもには見せられないと思いますが。


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『ビースト 悪魔の黙示録』(1995)

スペインの鬼才アレックス・デ・ラ・イグレシアのキャリア初期の一本。不義理不人情にまみれネオナチとオカルトタレントが妄言を垂れ流す世紀末感バリバリのマドリッドに一人の神父が降り立った。黙示録を解読したと言い張り今度のクリスマスこそ反キリスト誕生の日と信じてやまないドン・キホーテ神父は悪を討つべくマドリッド地獄巡り開始、たまたま知り合ったヘビメタ大好きレコード店員とオカルトタレントも流れで神父と行動を共にするのだが、その行く先には思いも寄らぬ結末が。

最近の映画でいえば『バクラウ 地図から消えた村』が雰囲気というか映画の作りとして似ているのだが、アクションもホラーもコメディもチンコも爆発もオッパイも漫画もネオナチも悪魔もバイオレンスもショットガンもババァもヘビメタもオカルトもドン・キホーテも、とにかく面白そうなものなら何でも詰め込めんだ世紀末的闇鍋感がすごい。

詰め込みまくったせいですぐ話が脇道に逸れるので緊張感に乏しく笑うに笑えずストレートに面白い映画とは言い難いが、とはいえこのカオスですよ。この祝祭的カオスは大いに見物。やっぱクリスマスもお祭りですからね。なにがなんだかわからんまま「反キリスト」との対決になだれ込む終盤、マドリッド地獄巡りの末に一行が辿り着いた崇高な自己犠牲とささやかな奇跡には、バカバカしくもクリスマス映画の真髄があったと言い切りたい。


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世にも不気味なクリスマス

ゆーてもホラーを観るなら怖い思いをしたい。血まみれのスプラッターもコミカルなわいわいホラーもいいがやはりちゃんと怖いクリスマスを…という人にはこの三本。雰囲気抜群なムーディ・ホラーです。

『悪魔のバイオ親衛隊』(1989)

バカっぽい邦題にされてしまったが中身はかなりの本格派。例によってティーンのちょっとしたおふざけから謎クリーチャーが街に放出、クリスマスの夜を血に染める…と書けばはいはいいつものやつですねという感じですが怖いのはクリーチャーだけではなかったというのがポイントで、出てくる人間出てくる人間やたら怪しく気味が悪い。よく知ったはずの人々までなんだかいつもとは違ったように見える。

果たして彼らは何者なんだろうか。謎クリーチャーとはいったいなんなのだろうか。…というミステリーで引っ張りつつもクリーチャーの殺戮劇もおろそかにしない。これがまた陰惨な殺しでゴア描写は控えめだし手口も比較的ありふれたものなのだが、ジャーロ的な照明とねちっこいカメラワークが利いて厭な雰囲気アリアリ。物語の異様な全貌もなかなかに意表を突くもので、後味の悪さしか残さないその顛末やクリーチャーの醜悪な造形も含めて心に爪痕を残すクリスマス・ホラーの秀作だと思うのだが、これDVD化されないですかねぇ。


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『暗闇にベルが鳴る』(1974)

これまでに二度リメイクされたクリスマス・ホラーの金字塔。子どもを寝かしつけて居間で暇を持て余していたベビーシッターのもとに何度もイタズラ電話がかかってくるのでベビーシッター警察に相談。「今度かかってきたら逆探知します」「お願いします」…「かかってきました。犯人はどこから電話をかけているんですか?」「逃げてください! 電話の発信元はその家の子ども部屋だ!」…という有名な都市伝説をネタにした映画としても有名。スラッシャー映画の元祖的存在としても有名といろいろ有名な偉い映画。

いやーこれは怖いっすねー。女子寮の屋根裏部屋に殺人鬼が潜んでる、言ってしまえばそれだけの映画なわけですが、その見せ方が巧いよな。一人また一人と消えていく寮生! どんどんヤバさを増していくイタズラ電話! 呑気に隠した酒をあおる寮母! いやふざけて言っているんじゃないんだよ寒々しいムードの中にこういうユーモアが入ると一瞬緊張感が和らぐじゃないですか、で和らいだところで殺人鬼主観の狂乱の殺人シーンが入ったりするんです。だから怖い。劇伴をあまり使わずに床の軋みや電話のベルなんかの効果音で恐怖を高めていくところもそうですが、淡々と展開しつつも緩急の付け方が見事なんですよね。

観客は屋根裏部屋に殺人鬼が潜んでいることを知っていて、一方被害者の寮母や寮生たちはそのことを知らない。こういうのはサスペンスの古典的なテクニックですが、その時間が最初から最後までずっと続くので覗き趣味的というか、ある種インモラルなムードが漂うというのもこの映画の怖さの所以。正体不明の殺人鬼。禍々しい死体。そして暗闇に浮かび上がる目! 超怖い。


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『聖し血の夜』(1974)

『暗闇にベルが鳴る』と同年製作のこの映画も電話で被害者とコンタクトを取る狂った殺人鬼が出てくる屋敷もの殺人劇、というのはちょっとだけ面白い共通項。こちらはカルトなオカルト映画『センチネル』の原作・脚本で知られるジェフリー・コンヴィッツが原案・脚本・製作を手掛けたプレ『センチネル』といった趣のホラーで、負の相続やまつろわぬ民の群れのモチーフはほとんどそのまま『センチネル』に受け継がれることになる。

お話的にはどことなく横溝正史の香りがする田舎の因縁もので、無茶があると言えばだいぶ無茶があるストーリーではあるが、屋敷の異貌やどこか信頼の置けない村の人々、度々挿入されるセピア色の家族写真や8mm撮影と思しき断片的な回想シーンの放つただならぬ妖気が血塗られた屋敷ヒストリーに説得力を与えていて、ギリでツッコミを思いとどまらせる。

とくに回想シーンですよね。憎悪と悲嘆の入り混じるサイレント映画風の回想シーンがやっぱこの映画最大の見せ場、その後の謎解き&解決展開は明かされる真実はえー! ってなるやつなのに案外あっさり済まされてしまうものだから尻すぼみ感かなりある。その呆気なさがむしろ味、とまで言ってしまえばヨイショが過ぎる気もするが、あの屋敷にはこんな因縁がある…で幕を開ける回想形式のおかげで事件のすべてがどこか夢幻的な様相を帯びて、果たしてこれが事実であったのかそれとも屋敷の魔が産みだした悪夢なのか判然としないまま幕を閉じるというのが、なんとも気持ち悪くて良いのです。


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後味胸糞クリスマス

クリスマスは善意の日。人と何かを分かち合う日。その日だけは許せないことを許してあげたくなる日…糞食らえだ! そんな拗らせた君たちには胸糞クリスマス・ホラーをプレゼントしよう! さぁ胸糞悪くなれ! フィルマークスとかアマゾンレビューで胸糞のあまり星一点を投げつけろ! 最悪な気分で最悪な現実を乗り越えるのだ!

『ベター・ウォッチ・アウト:クリスマスの侵略者』(2018)

雑誌とかで読者投票のクリスマス映画ベスト&ワーストランキングがあったら俺一人で100通ぐらいワースト編にハガキ送ってこの映画をワーストにしたい。一言で言えばクリスマス版『ファニーゲーム』。最悪である。そんなもん最悪でしかないでしょ。最悪に胸糞。

まぁでも胸糞にもいろいろあるんだよ。この映画は結構わかりみが深いところが胸糞というタイプで、わかりたくないけどわかっちゃうから溜め息出ちゃう。でも同時に視点を変えればすげぇ怖くもあるわけですよ。わかるけど怖い。怖いけどわかる。共感と恐怖のアンビバレンスでなかなかに感情がパニックです。勃っていいのか大人しくしなった方がいいのかで股間の方もパニックですよ。酷い映画だよ~これは~。

なんだか抽象的なことばかり書いているな。それはこの映画が基本的には悪意の塊の映画だからで、そういう映画は事細かに内容を説明してしまうと悪意が削がれてしまうからです。浴びたいでしょう、悪意。できるだけ純度の高いまま。みんな本当はそういうの大好きなんでしょう? だったら黙って観て黙って最悪ムードに浸ろう。大丈夫、笑えてスカっとする映画ですよ、あっはっは。

※2020/12/24現在劇場公開中。前はネットフリックスで配信されてたんですが今は観られないみたいです。

『ATM』(2012)

内容的にはソリッドシチュエーション+スラッシャー映画という感じだが血は出ない。クリスマス・パーティで酔っ払った男女三人が駐車場のATMコーナーに立ち寄ったら外になんかパーカーのフードを深々と被って顔を隠した怪人物がおる。狙いはまったくわからないがこの怪人物は三人をATMから出す気はないようで、出ようとすると襲ってくる。仕方がないからとりあえずATMに籠城する三人だったが怪人物はあの手この手で三人を追い詰めて…というお話。

曖昧さを残したラストをどう解釈するかで結構見え方が変わる映画で、俺にとってはたいへん恐ろしいラストだったのだが、ネットの評判をざっと眺めるとどうもそうではない。なので提案なのですがみなさんこれを100人単位で殺したりするアメリカのシリアルキラーの映画として観たらどうですか。至って普通の日常生活を送っているように見えるたとえば近所の人の良いおじさんが実はその傍ら、誰にも知られることなく、あんな風に残酷な実験を繰り返して、次はもっと、次はもっと、次はもっと…そう考えると怖いし、胸糞。


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わけわからんがクリスマス

一応クリスマス・ホラーとされているが実際に観るとこれは果たしてクリスマス・ホラーと呼べるのだろうかというなんだかわけのわからん映画も狭いようで広大なクリスマス・ホラーの世界には存在します。普通のクリスマス・ホラーに飽きてしまったら飛び込め異次元。

『新・死霊のしたたり』(1990)

回を追う毎にクリスマスから離れていく『SILENT NIGHT, DEADLY NIGHT』シリーズの4作目は人体自然発火現象の謎を女記者が追う! もうクリスマスでもなんでもない気がするが一応設定はクリスマスになってます。舞台LAなので雪も降ってないしクリスマス感全然ないですけどね。

こんな邦題になったのは監督が『死霊のしたたり』プロデューサーの悪趣味人ブライアン・ユズナだからで、監督作『死霊のしたたり2』でタッグを組んでこの時期のユズナの右腕的存在となったSFXアーティスト、スクリーミング・マッド・ジョージの病気で陽気なぐちょぐちょSFXが本家『死霊のしたたり』さながらに爆発する内容だから。なんだかもうすごいことになりますよ家の中とか。蟲がもう、蟲が! 粘液まみれの蟲いっぱい! グロいしエロい!

クリスマスと人体自然発火現象と蟲がどう関係するんだという話だがそのへんはパッションです。映画は理屈じゃねぇんだ勢いなんだ、小説じゃねぇんだ見世物なんだ! というゲテモノ精神は立派ですね。でもその見世物丸出しのグラン・グニョル劇の大枠に女性解放のテーマを持ってきているあたり意外にも社会派っぽさがあり、昨今ウィッチ・フェミニズムなる思想潮流(?)がにわかに脚光を浴びて映画でもアニャ・テイラー=ジョイ主演の『ウィッチ』や『ヘレディタリー/継承』といった魔女ものが話題を呼んだので、今日の視点でその先駆けとして見ると単なる悪趣味映画とはまた違った面白さがあるかもしれない。

『レア・エクスポーツ ~囚われのサンタクロース~』(2010)

なんとも形容しがたい怪ブラックコメディ。野生のサンタを捕獲して世界各国に輸出するという内容の短編映画を長編化したもので、原作短編の時点でそこそこキていると思うが長編になったらルシファーの如し巨大凍結サンタの発掘計画が進行し謎の全裸中年男性群団が雪原を駆け回り町は『ダイ・ハード』的ダイ騒動に巻き込まれ…ってなんなの?

一応ホラー的な演出はあるが全裸中年男性に襲われても…という感じなのでコミカルなところはないのだが怖さよりも変な笑いが勝つ。といって全編笑える感じでもなくミステリアスな展開はそれなりに緊張感もあるので、よくわからない映画というほかない。よくわからないけど面白い映画です。


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一人寂しくクリスマス

寂しい。なんだかんだ言ってやっぱクリスマスに家で一人でホラー映画を観るのは寂しい。大丈夫、クリスマス・ホラーはそんな君のためにこそ存在するのだ。悲しい気分の時には無理に明るい曲を聴くより悲しい曲を聴いた方がメンタルヘルス上よいという研究結果もあるらしいので、寂しい時にはやはり寂しい映画を観た方がいいだろう。というわけで最後は一人寂しくクリスマス編です。メリー殺します!

『P2』(2007)

監督のフランク・カルフンはその後リメイク版『マニアック』を手掛ける人物とあってこちらも『マニアック』同様の寂しい男の凶行ホラー。クリスマスだというのに遅くまで残業していたOLがふと目を覚ますとそこはビルの地下駐車場の管理人室。目の前には頭に円錐形の例のあれとかを載せたクリスマス・スタイルの管理人と警備犬。視線を下ろすと拘束された両手両足。ヤラれる! っていうんでOLは逃亡を図るわけですがせっかくのクリスマス・パーティをぶち壊しにされた管理人は身勝手にもキレ散らかすのであった。

何層にも渡るアメリカ都市部の広大な地下駐車場は一種の密室ダンジョンとしてよくサスペンスやホラーの舞台になる。深部では携帯の電波も届かなかったりしますし人でなしが獲物を罠に掛けるにはお誂え向きの場所ですが、『P2』はオーソドックスな地下駐車場ものと言え、ぶっちゃけ管理人VS主人公の攻防にさほど面白味があるわけではない。血なんかも全然出ませんしね。

でも、この独りぼっちのクリスマス感がいいんです。クリスマスだからと一目惚れした女を拉致してまでパーティをしようとする男の哀しさ、クリスマスなのに仕事に追われてそれどころではない女の哀しさ、助けを求めても誰も振り返らない都会の不人情の哀しさ。冷たい哀しいクリスマスだよこれはー。


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『サンタが殺しにやってくる』(1980)

ホラーと言ってもホラー的な見せ場はごく僅かで、サンタ殺人鬼がなぜ殺人を犯さなければならなかったかという動機の部分を丹念に見せていくという点で『暗闇にベルが鳴る』の元ネタ都市伝説をより忠実に映画化した『夕暮れにベルが鳴る』に近いところがある。

人外系を除けばサンタ殺人鬼は誰しも幼少期のトラウマを抱えているものですがこのサンタ殺人鬼も例外ではなく、サンタに扮したオッサンと母親が不倫するところを扉の隙間から衝撃目撃! …ものすごいベタで安易なトラウマな気がするが、その記憶に縛られて屈折したまま大人になってしまったサンタ殺人鬼の悲哀は実に沁みる。

そもそもこの人は殺人鬼ではなかったのです。近所の子どもを遠くから眺めては「悪い子だ…3点…君は良い子だね…8点…」とか勝手にレイティングすることが趣味とかいうヤバい人ではあるが、それはあまり恵まれた家庭環境ではなかったらしいかつての自分を救い上げるかのように良い子にオモチャのプレゼントを届けるためであった。この人はオモチャ工場勤務の平工員なのである。

だが子どもたちにオモチャをの願いは同僚に嗤われ会社の方針転換で理想は砕かれクリスマスに浮かれる町に出れば誰も自分なんか求めていないし自分の居場所なんかどこにもないと知る。かくして男はサンタ殺人鬼になるのであったが小児性愛系変態の素質はあるとしてもそもそも殺人鬼の素質のない気弱な人である。

大した殺しもできぬままたいまつを手にした怒れる群衆に追われやがて最後は…なのですが、人生に失敗した人すべてに捧げられた(かもしれない)寓話的で慈悲深いそのラストは、さながら路地裏の『クリスマス・キャロル』なのであった。必見。


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