クリスマスホラー映画10本観たから感想書く2019

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例年この時期になるとクリスマスホラーを一人でたくさん観て世間に文字の形をした血を吐きかける奇祭を執り行っているのですが今年も何か劇的な予定が入ることとかなかったので10本観て吐きました。5年目だからこれで50本くらいクリスマスホラーを観て吐いたことになるな。あと5年続けたらクリスマスホラーだけを集めた映画秘宝ムックが作れそう。映画秘宝、これを書いてる前日(2019年12月18日)に休刊が発表されましたが。合掌。

※ちなみに記事タイトルの2019は俺が2019年に観たクリスマスホラーという意味で2019年に公開・リリースされたクリスマスホラーという意味ではありません。

前の↓
これでクリスマスも寂しくない! クリスマスホラー映画集めたぞ10本+1!(その1)
続・クリスマスホラー映画集めたぞ10本+1!(その2)
真・クリスマスホラー映画10本集めたぞ!(その3)
新・クリスマスホラー映画10本集めたぞ!(その4)

『屋敷女』(2007)

映倫審査拒否の残酷描写(黒塗り処理)が話題を呼んだフレンチ・スプラッター。事故で夫を失った傷心身ごもり女カメラマンが家でひとりぼっちのクリスマスを過ごしていると窓ガラスで素手で叩き割ろうとする狂気の屋敷女が襲来。もちろん警察への通報も虚しく家に侵入されてしまうのだが、盗むでもない、殺すでもない、話もあまり通じないし目的がよくわからない。とはいえ放っておいたら何をされるかわからないので女カメラマンは重たいお腹にムチ打って必至に抵抗するのだが…。

主要登場人物ふたり、イコール臨月女カメラマンと屋敷女。他の登場人物はだいたい殺されるためにしか出てこないし恐怖の夜が始まってからは屋敷というほど大きくない普通の一軒屋から外には出ないので、これは出産に関する血まみれの寓話と捉えるのがよいのだろう。と書くと映倫審査拒否の残酷描写がどんなものか大体バレてしまうがまぁ、12年前の映画だからいいじゃないないですかそれは。どうせ日本版ソフトで観ると黒塗りだし。

ジトっとした陰鬱ムードと痛々しいゴア殺し、パカパカバカみたいに死んでいく人々が醸すほんのちょっとの不条理感。出産って怖い。家だって怖い。知らない人も怖いしもちろんクリスマスも怖い。世の中怖いものでいっぱいだなぁと学べる聖夜にぴったりの血糊ぶっしゃぶしゃ系おとぎ話。これを観たらもう、あなたは車には乗れない…!

『インサイド』(2016)

『屋敷女』の英語リメイクで舞台もアメリカになっているが監督が『スペイン一家監禁事件』のミゲル・アンヘル・ビバス、制作総指揮と共同脚本には『REC/レック』のジャウマ・バラゲロというスパニッシュ・ホラー布陣。そのわりには残酷描写がアメリカ的にマイルドだったりするが二代目屋敷女に『マルホランド・ドライブ』の妖艶ラティーナ、ローラ・ハリングを起用するあたりラテン感である。

英語リメイクということで言うまでもないかもしれないがオリジナルの映倫審査拒否な残酷描写はなし。それがなかったら『屋敷女』をリメイクする意味ないじゃん! と公開当時はふて腐れていたが、妊婦レイチェル・ニコルズと屋敷女ローラ・ハリングのガチバトルに物語の焦点を絞りつつオリジナル版の展開を外に向けて発展させたシナリオが面白く、スプラッター度は確実に下がったが変種のホーム・インベージョンものとしての完成度はむしろオリジナルよりも高かった。

オリジナル版のベアトリス・ダルが鬱々メンヘラだったのに対してこちらのローラ・ハリングは殺しにも力強さを感じるアグレッシブメンヘラ(名演)。そのキャラ変が生きてくるラストは例の映倫審査拒否シーンを換骨奪胎したもので、即物的なホーム・インベージョンが一転して出産寓話へと飛躍するダイナミズム、陰性のオリジナルを尊重しつつそこから陽性を取り出してカタルシスを生み出すアレンジの上手さに思わず唸ってしまうのだった。これを観たらもう、あなたは新築の家には住めない…!

『暴行列車』(1975)

映倫審査拒否的な直接の残酷描写なんて一切ないのにどんな映倫審査拒否系の映画よりも不快指数が高いかもしれないイタリアン凄惨レイプバイオレンス。クリスマス休暇を実家で過ごそうといたいけな少女ふたりが夜行列車に乗ったらガラ空きのその列車に窃盗帰りの貧乏ヤンキー連中も乗っちゃった。そんなものはもう凶行展開しか想像できないわけだが、凶暴だが想像力に乏しい貧乏ヤンキーの凶行などたかが知れたもの。不運なのはそこに偶然、欲求不満かつサディストで頭の回転が速くて人の扱いに長けた倫理感などカケラも持ち合わせていない上流階級の有閑マダムが現れたことだった…。

まるで嫌がらせのような鬼畜展開にこんなの誰が喜ぶんだと困惑してしまう。無軌道ヤンキーとインモラル有閑マダムの組み合わせもやべぇがたまたま凶行を目撃した乗客のオッサンが少女を助けるでもなく誰かを呼ぶでもなくただコンパーチメントの外からその光景を眺め、有閑マダムの方もそれに気付きながら見せびらかすようにヤンキーに少女をいたぶらせる場面とか最悪である。なまじジャーロ的な粘性サスペンスで真面目に撮っていくものだからその緊張感が負の方向で解消されるラストには絶望しかない。こんなに絶望的なクリスマス映画があってよいのかと思う。そもそもどれだけの人間がこれをクリスマス映画の枠に入れるかはわからないが。

後味は糞だが犯罪を目撃しつつも何も出来ない中年男の存在や金も知性も余裕もないヤンキーをまんまと利用する有閑マダムの構図は社会の縮図の観もあり、弱者への仮借のない暴力をそのまま描き出すことでそれを許す社会を告発する意図が多少なりともあったんじゃないかと無理矢理思えば、案外社会派の映画である。性暴力の話題に事欠かない格差社会の今だからこそ観たいクリスマスホラーなのかもしれない。これを観たらもう、あなたは夜行列車には乗れない…!

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『アライブ』(2008)

ひとけのない暗がりで女を見かけたらとりあえず犯そうとするヤンキーは初代ポケットモンスターにおけるコラッタばりにどこにでも出没するのでクリスマスまっただ中のアメリカにもやっぱり登場。
クリスマスで賑わうショッピングセンターを訪れた夫が証券マンの金持ち主婦、キム・ベイシンガーは色々ストレスが溜まっていたのでつい駐車場で二台分のスペースを独占するガラの悪い車に「ちゃんと駐車しろ!」の書き置きを残してしまう。その車の持ち主こそひとけの暗がりで女を見かけたらとりあえず犯そうとするヤンキー軍団であった。

一応、物語のメインはなりゆきで人を殺してしまったヤンキー軍団が目撃者のキム・ベイシンガーをぶっ殺そうとして建設中の住宅街とか森の中で追いかけっこを繰り広げるあたりなのだが、演出力の不足でまったく迫力がない上に意外とヘタレなヤンキー軍団が半ば自滅する形でベイシンガーに屈してしまうので恐怖感皆無。クリスマスホラーとして観れば凡庸極まる退屈映画だろうと思う。

ただそのスリラー展開の下に隠れた映画のテーマにはちょっとだけ面白さがあったかもしれない。映画は子供が描いたクレヨン画のタイトルバックで不穏に幕を開けるのだが、これはなにかと言えばキャリアを捨てて家庭に入ったはいいが二児の子育てに疲れ果て、証券マンの夫の支援が得られないばかりか逆に顧客のクレーム対応で神経を尖らせた夫から「結婚して君は変わった!」とかなじられてメンタル爆発寸前のベイシンガーの心象風景であった。

ヤンキー軍団との死闘を終えて家に帰還したベイシンガーの表情はどこか晴れやか。もちろん生きて夫と再会できたからではない。スタッフロールに流れるロキシー・ミュージックの悪魔的な鬱屈ソング「In Every Dream Home a Heartache」を聴けばその理由もわかろうというもの。犯しと殺しを通じた自己の解放を祝福する、なかなかダークなクリスマス映画であった。これを観たらもう、あなたは駐車場には行けない…!

『ATM』(2012)

クリスマスを間近に控えて街は浮かれムードだが証券マンにクリスマスはない。今日も今日とて値崩れにブチ切れた顧客のクレーム対応(お前もか!)に疲弊しまくりな証券マンの主人公だったがいかにも女に手の早そうな同僚男に連れて行かれたクリスマスパーティであんま話したことのなかった同僚女となんとなく意気投合。

良い感じになった二人は若干邪魔な同僚男を車に乗せてパーティから離脱するがその道中、ちょっと小腹が空いてきてしまう。でも小銭無いな。この時間でもやってるラーメン屋(的な)でクレジットカードとか使えないだろ。ATM寄ろうぜ。…ってことでATMに寄る三人だったがお金を下ろしてふと外を見るとそこに、防寒服のフードで頭をすっぽり覆った何者かが立っていて…。

これは怖い。俺にはたいへん怖かったがネットでの評価は概ね糞なので結構怖さに個人差がありそうな映画である。いわゆるソリッド・シチュエーションもので、そこに至るまでの過程はこの手の映画にしてはしっかりしているが、いざATMに入ってからはそこオンリーで物語が展開。ATMに映画を面白くする小道具なんて大してありはしないのでひたすら三人が外に突っ立ってるだけ(ちょいちょい通行人とか殺しますが)の何者かに怯えて壊れていくだけの映画とざっくり言えるので、そこらへん評価の分かれ目かもしれない。

展開の強引さはともかく恐怖演出は丁寧だし極限状態に置かれた人間心理も生々しく描き出す、カメラワークやテンポもよく計算されていると感じるので個人的には才気溢れるミニマル映画。
それになにより、この謎の殺人鬼の正体がおぼろげながら判明するラストがとってもおそろしくてよいのである。日常のどこにでもこんな狂気は転がっている。これを観たらもう、あなたはATMには行けない…!

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『アナと世界の終わり』(2017)

ダークな映画が続いたがこちらは一転ノー天気なクリスマス☆コメディ☆ホラー☆ゾンビ☆ミュージカル。規律至上主義の糞つまらん教頭が支配する学校に突如ゾンビパンデミック発生。教頭のせいでつまらない高校生活を送っていた生徒たちは表面上怖がりつつも親も教頭もいないしゾンビ殺し放題だしついでにクリスマスだしで案外ゾンビパンデミックを楽しんでしまうのだった。

ミュージカル・ナンバーは田舎町に閉じ込められた高校生の鬱屈や欲求を歌ったもの多し。傍目にはユーモラスだが本人的には結構深刻、というギャップが良い。個人的ベストはカフェテリアでの群舞で、そのわちゃわちゃした学園祭的振り付けと絶妙な完成されてなさに高校生のリアルが垣間見え、本当にちょっとだけではあるが涙腺に来てしまったりした。あとへっぽこなお魚ソング&ダンスもよかったですね。

ゾンビ映画としてはトロマ的なオフビートを基調にしつつも王道の終末ゾンビ展開、というなかなか微妙なラインで、『悪魔の毒々パーティ』とちょっと被るがそこまで振り切れた感じはない。ようするに中途半端でモヤモヤ感が残るのだが、でもそれが劇中の高校生たちのリアルな心情とリンクして、なかなか悪くないのだ。
これを観たらもう、あなたは校則を守れない…!

『ビースト 悪魔の黙示録』(1995)

『どつかれてアンダルシア』『13 みんなのしあわせ』などなどポジティブに狂った狂人たちの暴走バイオレンスブラックコメディを撮り続けるスペインの鬼才・アレックス・デ・ラ・イグレシアの初期作にして異端作。劇場公開題は『ビースト 獣の日』(でもビデオリリース時の再題『ビースト 悪魔の黙示録』の方がかっこよくて良い)

ヨハネの黙示録の研究をライフワークとしていた聖書研究者が聖書を読み込みすぎて頭がおかしくなったのか黙示録から獣(すなわちサタン)の現れる日を特定した! とか言いだした。その日はなんと数日後のクリスマス。黙示録には反キリストたる獣の軍勢に諸王が加わり…などと書いてあるので狂った聖書研究者はにっくき獣と合流しやっつけるためにレコード屋のメタルマニアとか絶対にインチキな神秘学タレントとかを巻き込みながら様々な悪事を犯していくのだった。万引きするとかアイアンメイデンを聴くとか。

最初はファナティックな聖書研究者のショボすぎる悪事に笑ってその悪事がメタルマニアと神秘学タレントのせいで悪化していくともっと笑う。悪魔召喚の儀式のために生娘の血を抜き取ろうとする聖書研究者の必死の形相には爆笑。そんなわけのわからない理由で襲われる方からしたらたまったものではないと思うが狂気も突き抜けると笑いになるのだ。

しかしそこからがイグレシアの真骨頂で、悪を求める聖書研究者のへっぽこマドリード大冒険はやがて地獄巡りの様相を呈してくる。ノストラダムスの大予言(による終末の訪れ)を大真面目に信じるオカルト団体、街の浄化を名目にホームレスとか弱そうな奴を遊び感覚で殺していくネオナチ的愚連隊、そんな連中と関わり合いになるのを恐れて自分たちだけの平和な世界に閉じこもる無関心な普通の人々。マドリードは反キリストが現れるまでもなくすっかり偽善と悪徳に染まっていた。

最初こそドン・キホーテに見えた聖書研究者がその中でただ一人正義を為そうとする本物の騎士に転じていく展開の妙、その真摯さにほだされて悪と戦う決意を固めるお供のダメ人間二人との奇妙な友情、そして姿を現すサタンの意外性とほのかな哀しさ。
サタンが出てくるので一応クリスマスホラーに分類したが内容的には幻視派監督ヴィンセント・ウォードの『ウイザード』とかテリー・ギリアムのひねくれたファンタジーに近い。ラリってばかりいるサンチョ的なヘビメタマニア、常時下半身を露出している爺、ショットガンをぶっ放す安宿の暴力女将など脇キャラも立ちまくった傑作に思う。これを観たらもう、あなたはヘビメタを聴けない…!

※ちなみに聖書研究者が黙示録の解読に成功した! と言っているのはこの人が頭のおかしな人だからではなく、黙示録文学は一般的にその当時の権力者を批判する目的で暗喩や暗号で書かれているため。劇中での悪魔の棲み家も日本語字幕を読んでもなんのことやらわからないが、たぶんこれは「悪魔は神を真似る」との台詞からするとアルファにしてオメガであるところの神を模して悪魔は「A」を象った場所に居る、とかそういう意味だろう。結構、いやかなり真面目な黙示録映画なのだ。

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『ジンジャーデッドマン』(2005)

エンパイア・ピクチャーズ/フルムーン・ピクチャーズ総帥チャールズ・バンドが自ら監督したゴミ映画。ダイナーで飯を食ってるところを強盗に襲われ家族が殺されてしまった可哀想なパン屋の娘も今や立派に店を切り盛り。予算の都合上ぜんぜん客の来ないパン屋で尺を埋めるために学生プロレスラーのバイトと中身のない話をしたりしているとジンジャーブレッド用の小麦粉が届いた。その正体は先だって死刑に処された例の強盗殺人犯の遺灰的ななにか。ものすごく不自然に指を切った学生プロレスラーの血が混ざってしまったとも知らずにパン屋の娘が送られた粉でジンジャーブレッドマンを焼き上げると…彼こそはジンジャーデッドマン、再びなんか悪いことをするためにクッキーとなってこの世に戻ってきた強盗殺人犯であった。他に戻ってくる方法あれよ。

とにかくお金がないので意地でもパン屋から出ない。冒頭のダイナー場面とジンジャーデッドマンがパン屋の外で一人殺す場面、エピローグの店の前でクッキーを売る場面以外はすべてパン屋、それもほとんどセットのバックヤードという倹約っぷり。ジンジャーデッドマンにも容赦なく予算節約の大鉈が振るわれるので手間のかかる歩行場面とかはなく、『チャイルド・プレイ』タイプの変形スラッシャーというよりぬいぐるみ人形劇を観ているような気分になる。

台詞のある登場人物も全部合わせて8人ぐらいなので殺される人数も3人ぐらい。その殺しもジンジャーデッドマンを動かせない都合により予想の斜め上をかすってどこかへ消えるアバンギャルド、悲鳴が上がって行ってみたら女が全身をクリームで包まれて乳首に当たる部分にチェリーが飾られて女体盛りならぬ女体ケーキになっていたのでした…ってそれ殺しなのか? わからないが、とにかく、とにかく無駄な金はビタ一文使いたくないというチャールズ・バンドの鉄の意志だけはわかる。さすがハリウッドの倹約王ロジャー・コーマンの衣鉢を継ぐ男だ。

ランタイム70分、キャスト・スタッフ全部合わせておよそ50人、にも関わらずエンドロールは伸ばしに伸ばして8分超。遅々として進まない最徐行スタッフロールを呆然と眺めながら今観た映画のあれこれを思い出そうとしても学生プロレスラーがジンジャーデッドマンを食ってやったらクッキーのくせに肉的な質感で中から血がぶしゃぶしゃ吹き出していやそんなもん食うなよって思ったことしか思い出せない。すごい映画である。これを観たらもう、あなたはクッキーが食べられない…!

※この映画は別にクリスマスが舞台ではなかったが、英米ではジンジャーブレッドクッキーが伝統的にクリスマスツリーのオーナメント兼おやつになっているらしい。

『Jack Frost 2: Revenge of the Mutant Killer Snowman』(2000)

殺人雪だるまがニンジン刺したりして人を殺すバカ系クリスマス・スラッシャー『キラー・スノーマン』の第二弾。今度はカリビア~ンなリゾートを舞台に前作の生き残りが再集結して謎科学により蘇った殺人雪だるまと戦うのだが、なんとなくリッチそうな舞台設定に反して絵面は前作より格段に安くなっている。同じパロディホラーといっても前作は映画としてキチンと作り込まれていたんだなぁとか思ってしまうぐらいなので相当なものだ。

だが安くなった分だけバカのリミッターも外れた。海辺でグラビア撮影をしているグラマラスな水着お姉さんが火照った体を冷やすためにクーラーボックスを開けるとそこに大量のブロックアイス、実はそのブロックアイスは殺人雪だるまの分裂形態だったのでお姉さんの体を触りたいエロ殺人ブロックアイス群が俺も俺もと餌を求める雛のように音声オンリーで騒ぎ立てる…とか思いついちゃったとしてもバカすぎて実際に撮るのは躊躇するようなギャグを平気でやる。

とくに終盤30分はすごい。今度の殺人雪だるまは謎科学の洗礼を受けているので子供を生む。雪だるまの子供、つまり雪玉であった。雪だるまは着ぐるみだが雪玉に入れる人はいないのでこの殺人雪玉群団はぬいぐるみ。リゾートのあちこちに可愛らしい雪玉ぬいぐるみをシルバニアファミリー的に配置したり紐で引っ張って動いてるように見せたりする。死体とか食ってるとはいえあまりにもバカだしあまりにもキュート(まぁやっていることは『クリッター』のパクリなのだが)

ポンコツなキャラクターの面白さである程度は引っ張るとはいえ『ジョーズ』パロディな途中までは前作をただ安くしただけなので大して面白くはなかったが、8歳の子供が考えたような無邪気なバカ決着も含め、殺人雪玉がリゾートを蹂躙する終盤のZキュートな爆発力では前作を超えた。
童心に返って楽しめる良いクリスマスホラーだと思うのでリブート・リメイク全盛の今こそ新作を期待したい。これを観たらもう、あなたは雪合戦ができない…!

『クリスマス・イヴ』(2001)

クリスマス・イヴ! こんなにダイレクトな名詞をこんなに意味不明の安撮りZクラス(ゼータクラスと呼びます)映画のタイトルに持ってきて良いのだろうか。映画屋としてというより人としていいのだろうか。良心の咎めとかないのだろうか。クリスマスだしホラー映画観ようぜっつってあークリスマスイヴだってーっつって何も知らない健気なカップルが前戯導入用にビデオ屋で借りたりするんだぞ。じゃあいいか。それならむしろいい。グッジョブありがとう。

すごすぎるクリスマスホラーである。むろんネガティブな意味でだが、すごさの底が抜けてしまっているのでもはや良いとも悪いとも言えない。なにこれ。なんなの。ゴダール映画より意味わかんないんですけど。すごいな。絶句。
ちゃんと原作があるので大筋では典型的なスラッシャー映画。雪山の山荘に集まった男女たちが一人また一人と…というものだがそのシンプルなストーリーさえ怪しくなってくるわけのわからなさ。なぜこんなにわけがわからないのか。なんでもこの映画、デジタルシネマプロジェクトとかなんとかいう企画で作られた一本で、当時はまだ新しかったデジタル撮影とかノンリニア編集を思う存分活用して作られた技術見本市的な映画らしい。

デジタルで出来ることを追求した結果どうなったかというと、まずひたすらフィルムカメラを置けない位置にカメラを置きまくってフィルムカメラではできない動きをしまくるので上からとか下からとか変な物陰からとか無意味な超クロースアップとか謎ショットのつるべ打ち、モノローグの台詞トラックを重ねまくってサラウンドで右から左から読経の如しささやき声を出したり秒単位の編集でサブリミナル的な効果を出そうとしているのでドラッギーなニコ動の糞MADみたいになっている、ノンリニア編集だと簡単にできるので何度も同じMV的回想映像を使い回したり時間軸をいじって意味もなく過去と現在が交錯、その合間に無造作に現れる損壊死体、爆破だって全部CGでやってやらぁ!…映画として破綻してしまったのだった。

シナリオ崩壊、演技は棒読み、魚眼レンズに謎のこだわり。こんな映画でも下條アトムとデビューしたての玉木宏が出ていたりするのでわけはわからないが必見。これを観たらもう、あなたは映画を信用することができない…!

【ママー!これ買ってー!】


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題材の身近さもあってこの10本の中では一番ストレートに怖かった。

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アナと世界の終わり[Blu-ray]
The Day of the Beast (El D?a de la bestia) [1996] [DVD]
ジンジャーデッドマン [DVD]
JACK FROST 2: REVENGE OF THE MUTANT KILLER SNOWMAN [DVD]
クリスマス・イヴ [DVD]

2 Comments
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∑(゚Д゚)
2020年1月5日 12:34 PM

すっかり年も明けてしまいましたが、今年もクリスマスホラー感謝祭をありがとうございます!
五年後が楽しみですね…年末の風物詩となっております。

今年は順当なラインナップと思いきや、やはり期待を裏切らない選出!!
雪だるまの子供…雪玉…!
そして『クリスマス・イヴ』!!!
アマゾンのレビューがすごすぎて逆に目が覚めそうです。
今年もご鑑賞ならびにレビューをありがとうございました…どうぞ本年もにわか様にとってよいお年となりますよう心より願っております…。