シャレオツ映画『プアン/友だちと呼ばせて』感想文

《推定睡眠時間:20分》

白血病で死にそうになってるイケメンがニューヨークでバーを経営するリッチイケメンをお供に元カノたち探訪の旅に出るというお話が人生初めての恋人をどうにか作ろうと会社やマッチングアプリなどで奮闘しながら日々メンタルダメージを負っている俺に響くはずもなくお前それだけ付き合えたんならもう死んでも別にいいじゃんぐらいの鬼畜思考に平気でなってしまったので拗らせ童貞とはおそろしいものだ。あと俺友達もほとんどいないし。

しかしそうした個人的な事情を除いてもそれほど優れた映画とは思えず何がよくないってこれはシナリオがよくない、よくないということはないが観てて思ったのは日本映画にわりとありそうだなということで、日本版予告編が匂わせていた終盤のどんでん返し(的な)は実際に観ると驚きもなにもなく肩すかしもいいところ。それは2人のイケメンのうち主に金持ちイケメンに関わることなのだが、実はこうだったと言われたところでそりゃそんなもんだろとしか思えない。そんなもんだろを超えるツイストがないのだ。

映像面がハリウッド映画みたいに充実しているだけに惜しいとも言えるし、なまじ映像面がリッチなだけにシナリオの貧弱さが目につくとも言えるかもしれない。これがメジャー日本映画的な作り込みの浅い絵作りの映画だったら案外気にならずに素直に感動作として観れていたんじゃないだろうか。そうしてシナリオの陳腐さが際立つことで、せっかくのカッコイイ映像もなんだか薄っぺらく感じられる負の相互作用というものを俺はこの映画にちょっと感じた。

元カノ探訪旅のBGMはカセットテープに入った懐メロだがこれもカッコイイというよりは白けるところで、というのも最近カセットテープをオシャレアイテムとして小道具に使いたがる映画が多すぎる。普通にスマホとかで聴けばよくない? そりゃまぁそうできない理由はこの映画では一応あるけど、でもそれ物語上どうしても必要な設定ってわけじゃなかったからな。カセットのA面とB面の裏返しを物語の視点の切り替えに使う演出も陳腐だし。

そりゃ悪い映画だとは思いませんよ。テンポはいいし美男美女がたくさん出てくるしDJ的に既成曲かけまくり、楽しい映画だとは思うけれども、でもガッカリ感はやっぱり強い。映像にしてもシナリオにしてもその過度な欧米志向がタイらしさを消してしまうところは、これがニューヨークでの夢に破れて母国タイでたらればの日々を送っている人たちを巡る映画であることからすれば、あえてのスタイル選択だとも言えるが、そのあえてのもたらす効果がどれほどあったのかはわりと疑問だったりもする。まぁ、なんかオシャレな映画が観たい時にはちょうどいいんじゃないすか? そんな感じの映画でしたね俺にとっては。

【ママー!これ買ってー!】


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余命幾ばくもないスターウォーズファンにどうにか公開前の『スターウォーズ/エピソード1』を見せるべくオタク仲間たちがスカイウォーカー・ランチへと向かうオタクネタ満載の珍道中映画。死に際の人間に旅をさせるならこれぐらい面白いことをしろ。

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