『マイ・ジェネレーション ロンドンをぶっとばせ!』感想文

《推定睡眠時間:45分》

マイ・ジェネレーションのマイって誰を指してるんだろうと思いましたがナビゲーターのマイケル・ケインでした。
それはもちろん観客に対しての言葉でもあろうがマイケル・ケインはスウィンギング・ロンドンの時に出てきた労働者階級の人だったのだということでマイ・ジェネレーション。

そうだったのかー全然知らなかったー。もう全部知らなかったよ、マイケル・ケインの英国文化内ポジションも知らなければスウィンギング・ロンドンも…『ビギナーズ』の時代かなぁと思ったがあれはプレ・スウィンギング・ロンドン。これは恥ずかしい。

ビートルズもストーンズもちゃんと聴いたことはない。ツィギー、あぁなんか名前だけ聞いたことあるなぁ…でも知らん。マリアンヌ・フェイスフル…誰だろう。マリー・クワント…いやもうそこまで来ると名前も知らないし魅力も感じられないし教えてもらってもよくわからん。ファッションの人か。ファッションの人とか誰一人わかりません…。

俺のマイ・ジェネレーション、見事に全滅。でもこの映画のどこか一部でも(世代を問わず)マイ・ジェネレーションとして受容するチャンネルを持った人ならその限りではないだろう。
スクラップブックみたいな映画なのです。文章の付かないスウィンギング・ロンドン版の『ハリウッド・バビロン』と言えばよろしいか。なにかよろしくない気もするが語彙力がないから…。

ゆるく章分けされてはいるがなにか大きなストーリーを描くたぐいのドキュメンタリーではなくて、ファッションならファッション、ロックならロック、映画なら映画(これがマイケル・ケイン)と各分野のアイコン的な人をピックアップして当時の風俗映像なんかと一緒にコラージュ。
なにかしらチャンネルがある人は共感したり郷愁に浸ったりしてたのしく見れると思われるが、残念ながら俺には何もなかったから…オープニングのキンクスぐらいでしたね、わぁってなったの。

したがってもうぶっちゃけ書くこともない。目の前を通過していく貴重なのか貴重でないのかすら分からない当時の映像を眺めながら、へぇオシャレっすねぇ、と思うばかりの空虚な映画体験だった。

一点なにか思うところがあるとすればマイケル・ケインがスウィンギング・ロンドンの一角を成す(のか?)ドラッグカルチャーを冷ややかに突き放していたことで、若者たちの時代はドラッグによって終わってしまったのです的な結末が一応この映画には用意されているが、覚醒剤とかならともかく(映画に出てくる大抵の人がやっていた)マリファナとかLSDでそれは大袈裟じゃないかっていう。

それってなんかいかにも年寄りくさい、スウィンギング・ロンドンの精神から離れたもんになってないですか。だいたいドラッグ汚染なんてその後の世代の方がよほど酷いし。
スウィンギング・ロンドンの負の側面として(そうかどうかは知らないが)ドラッグ文化の萌芽をっていうんならまだわかるんですけどそこまで射程を広げた映画でもないしなぁ。

という、それぐらいなことしか書けないスウィンギング・ロンドン完全門外漢の感想でした。

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スウィンギング・ロンドンと縁がないならプレ・スウィンギング・ロンドンなんて輪をかけて縁がないが、MV出身監督ジュリアン・テンプルの悪戯っぽい軽やかな映像感覚のおかげで(あとデヴィッド・ボウイのおかげで)全然好きな映画だったりする。
どうも『マイ・ジェネレーション』の映像感覚は狂騒の空気を伝えない鈍重なものに感じられたので、ジュリアン・テンプルが監督してくれたらよかったのになぁとか思うのですがジュリアン・テンプルはジュリアン・テンプルでたぶん別にスウィンギング・ロンドンものドキュメンタリーを撮ってるだろう、ロック系ドキュメンタリーよく撮ってるから。

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