俺が選ぶ新成人の顔面に叩きつけたい映画10選+2!

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新成人のみなさん! おめでとうございます! いやぁ! いいですね新成人は! いやぁ、いいなぁ…いいっすねぇ…すいません特に言うこととかないです。成人式行ってないし。あとその頃フリーターだから同世代の友達との交流的なやつとかないし。っていうかそれは今でもあまりありませんが…やめろ! やめるんだ! 悲しくなる!

いいんだ俺の友達は映画なんだ。映画が友達。映画がコイビト。エイガガカゾク。オレヒトリジャナイ。エイガアル。思わず人外化してしまう。
そんなことはどうでもよい。新成人ともなればもはやティーン常識は無効。君たちはこれから魑魅魍魎渦巻く社会に出るのです。社会に出るに必要なものはなにか! 金か! 土地か! いや違います映画です! 映画こそ社会人の羅針盤!

ということで新成人なら観ておきたい映画10選+1! 最低限これさえ観ておけば社会に出ても何の心配ないだろう! 年収200万前後のプロフリーターの俺が言うんだから間違いなし! 俺は人生を間違ったが!

『不思議惑星キン・ザ・ザ』(1986)

新成人ともなれば今までにエンカウントしたことのない様々な種類の人間と第三種接近遭遇を果たす必要も出てくるだろう! 当然ながら衝突も絶えない! そして場合によっては破滅的な事態を招きかねない!

そんな不測の事態を避けたければSF映画史上最強クラスの異文化交流ムービー『不思議惑星キン・ザ・ザ』を観ておくのがよいだろう! 壮絶にひょんなことから宇宙の果ての貧乏惑星に飛ばされたソ連のオッサンと巻き添えの音大生! どうしよう! 言葉が通じない! お金もない! 現地の人間はみんながめつい! 諸々意味がわからない!

ウルルン的なヒューマニズム及びSFドリーム皆無の異星旅はある意味スーパーリアルな疑似海外旅行体験! 同時に他者に他者として、しかし敵対的ではなく関わる方法を容赦なく笑わせながら叩きつけてくれる社会人の教科書でもある!
合言葉はクー! アラフォーぐらいの旧ソ連圏の人間は大体観ているらしいから、とくにそのへんの国と縁が出来そうな人は必見だ! 試しにクーってやってみればそれ見たことあるって言われるから! いや本当!

『ゆきゆきて、神軍』(1987)

『不思議惑星キン・ザ・ザ』をクリアしたお前! それで他者を学んだつもりか! 甘ったれるな! 社会にはお前の理解なんぞ遙かに超越した他者が存在する! それもお前のすぐ隣にな!
「田中角栄を殺す」こんな力強いメッセージをDIY街宣車に刻んで街を爆走する南方帰りの元殺人犯かつ政治犯と遭遇したらあなたはどうするだろうか! 絶対目を背けるだろ! 絶対に目を合わせないようにするだろ! 俺もそうだ! だから映画で見るのだ!

アクションドキュメンタリスト・原一男の代表作にして色んな意味でこれを超える怪人系ドキュメントは今後出てこないだろうし出てきてもらうとむしろ困る一線も二線もオーバーしてしまった邦画ドキュメンタリー史上最狂ランクの大カルトは、神軍平等兵・奥崎謙三の平和活動に密着した地獄変!

神軍ってなに? 大丈夫だ! きっと見てもわからない! この映画に感銘を受けて奥崎謙三の従軍回顧録まで読んでしまった俺でもわからないから間違いない!
だが、わからない人間はどうわかろうとしてもわからないということ、そしてわからないからといってわからない人間を恐れるべきではないということ、その狂気…いや勇気をこの映画は与えてくれるのだ!

『マージン・コール』(2011)

就職! 生き方が多様化した現代社会でも依然として就職は多くの新成人の前に立ちはだかる最初のビッグ関門だ! だったら映画で就職後のイメージトレーニングぐらいはしておいても損はないだろう! この映画に出てくるのはウォール街のエリート金融マンたちだからどの程度参考になるか分からないけどな!

なにがあったか突然会社を去ることになった大手投資銀行リスク管理部門のベテラン金融マン!
「用心しろ」急な事態に戸惑う若手金融マン二人がその言葉と共に渡された餞別代わりのUSBメモリーをふむふむチェックしてみると、なんとそこにはリーマンがブラザーズしたようなデータが入っていたではないか!
うわウチの会社めっちゃやべぇじゃん! 潰れるぞこれ! いや潰れるどころじゃねぇわこれ経済崩壊あるわ! かくして若手金融マン地獄の残業が始まるのであった…!

リーマンショックとサラリーマンショック、どっちのショックの仕組みも学べる極めてお得かつ超硬派なリーマン映画だ! 全リーマン必見!

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『ちょっと今から仕事やめてくる』(2017)

辞められると思っているだろう! 自分に合わないと思ったら会社なんてすぐ辞められると思っているだろう新成人! 舐めるな! お前らは決して会社を辞められない!
投資銀行みたいな給与スケールと社会的責任の大きい会社のことじゃないぞ! そこらへんのアホみたいなどうでもいい会社でさえ我々は辞めることができないのだ! そんな下らない会社にさえ我々のメンタルは容易に支配されてしまうのだ!

その仕組みが知りたければ『ちょっと今から仕事やめてくる』が最適だろう!
恫喝による思考力の奪取! 責任のなすり付けによる倫理感の低下! 不合理な会社ルールの強制による一般常識からの乖離! こうして抵抗力の低下した社員を競争・相互監視させることで…そう! 人は会社にもはや立ち向かうことができなくなってしまうのだ! カルトですね!

非正規とはいえ俺もアラサー! こんな風にしてブラック企業に人間性が殺されたソルジャーを今までに何人も見てきている…だからそうなる前に観ておこう、そして軽はずみに言えるように練習しておこう! 『ちょっと今から仕事やめてくる』と!

『ウエディング』(1978)

結婚もまた社会人の一大イベントだ! 結婚する人もしない人もいるだろう! だがいずれにせよ、結婚式という通過儀礼と一切関わりなく生きるのは難しい! 映画で結婚式を予習しておくのもいいだろう!

アメリカン・ニューシネマの異端児にしてパノラマ群像劇の旗手、ロバート・アルトマンの『ウェディング』はだいたい50人ぐらいの登場人物が結婚式で好き勝手に振る舞う予測も要約も不能な結婚式ムービー!
50人! 50人とか出てきちゃったらもう誰が誰で何が何だか分からないが、ある意味そのカオティックな人間模様こそが結婚式の真髄!

ハウツー的な意味ではまったく使い物にならないとしても、結婚式が知りたければこれ一本でお腹いっぱい、ゲロが出るくらいだろう! 未だ誰からも結婚式に呼ばれたことのない俺が言っても説得力がないのだが!

『理想の出産』(2011)

新成人たるもの、いや新成人でなくとも出産には備えておかなければならない! だがこの映画はR-18! 恐らくリアルな交接シーンがあるからだろうが、出産の生理学的側面ではなく実際に妊娠したらどうするか、どうなるかという生活的側面を女性目線の辛口コミックエッセイ的なタッチで描いた妊娠教科書映画の決定版がR-18とは!

詮無いこととはいえ映倫の及び腰とジャパニーズ性教育の低レベルに若干呆れるが、ともあれ新成人なら堂々と観られるわけだから問題ないな!
ちなみに俺が観たのは新宿のミニシアター、新宿シネマカリテのこけら落し上映でだったが、イチャつきながら観ていた隣のカップルが上映後に食べかけのポップコーンをドリンクホルダーに残して行ったことに義憤と敗北感と嫉妬と切なさとあとなんかわからないが色々ない交ぜになった感情を覚えて映画本編の記憶が大幅に上書きされてしまった!

よって俺にとっての『理想の出産』はあのカップルとポップコーンだ! それでいいのか! よくない!

『リトル・チルドレン』(2006)

定職に就いた! 結婚した! 子供もできた! これで私も立派な大人! そうだろうか! いやそんなことはない!
仕事があっても金があっても家族があっても社会的地位があっても、その他もろもろ大人っぽい立派な何かをどれだけ持っていたとしても、人は死ぬまで哀れで惨めで情けない滑稽なリトル・チルドレン!
その笑うしかない現実はすっかり成人しきった中年老年よりも、むしろ新成人がしかと目に焼き付けておく必要があるだろう!

ボストン郊外の閑静な住宅地に不穏なムードが立ち込める! なんでも小さな子供に手を出して臭い飯を食っていたロリコン性犯罪者男が街に戻ってきたとのこと!
退屈な専業主婦生活にうんざりしていたサラ、妻との収入格差および能力格差に不満を溜め込むブラッド、週末サッカーがなにより楽しみな元警官の脳筋ラリー、そして帰ってきたロリコン・ロニーら大人になれない大人たちのリトル・チルドレンが今、静かに目を覚ます…!

SNSの発達した現代、ザ・大人なムードを纏った知識人や政治家のお前どんだけ幼稚やねん的ガッカリ発言に遭遇することなど日常茶飯事だろう!
だがそんなものだ! パーフェクトに大人な大人など誰一人としていない! なんなら大人になれなさを自覚することが大人であることの逆説的条件であるとさえ言えるだろう!
そのことをシニカルに、しかし同情的に教えてくれる『リトル・チルドレン』なのである!

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『ゾンビ』(1978)

もしも世界がゾンビで溢れてしまったらどうすべきだろうか! これは新成人が考えるべき、いや、新成人に限らず大人であれば終生考え続けるべき人生の大課題である!
車で逃げるか? バカめ車なんか渋滞に巻き込まれてすぐ役立たずになるわ! 日本みたいな国土の狭い国だったら特にな! じゃあ大人しく家にでもこもっているか? ライフラインどうするのライフライン! 電気も水もガスも全自動で永久に提供されるわけじゃないんだぞ!

このようにゾンビ・パンデミックを考えるということは社会を考えると同義! モダンゾンビの生みの親、ジョージ・A・ロメロはそのことを死ぬまで考え続けた偉大なるゾンビ社会学者だ!
ロメロの代表作にしてモダン・ゾンビの頂点『ゾンビ』はゾンビというフィルターを通して我々の社会がどのように成り立っていてどのように動いているか、そしてそしてどのようにして崩壊するかをジャーナリスティックに活写する!

そのパノラマ的なビジョンは21世紀においてなお、いやむしろ崩壊と分断に向かう現代でこそ新鮮な腐臭を放ち続けるであろう!
嗅げ! その腐臭を! 食え! その腐肉を! そして先行きの見えない現代をサバイブするのだ!
『ウォーキング・デッド』も『バイオハザード』も『カメラを止めるな!』もこれなしにはあり得なかったという意味で、『ゾンビ』はもはや現代人の基礎教養である!

『ロッキー・ザ・ファイナル』(2006)

人生ほど重いパンチはない! これほど重い台詞がかつて映画史上に存在しただろうか! したかもしれない! そうだ、したかもしれないんだ!
したかもしれないから諦めるな! 諦めたらそこで試合は終了だ! ロッキーだって『ロッキー・ザ・ファイナル』で最後かと思いきやその後『クリード』に看板を掛け替えて絶賛生存中なんだ!

闘う意志がある限り! 俺たちの人生は終わらない! スタローンがロッキーであろうとする限り! 『ロッキー』もまた終わらない! 『ランボー』もまた終わらない!
聞こえるか! あのファンファーレが! 俺には聞こえるぞ! 君にもきっと聞こえるはずだ! 聞こえなかったら走り出せ! 走って階段を駆け上がれ! そして両手を突き上げ雄叫びを上げるんだ! どうだ聞こえてきただろう! どうだ聞こえてきただろう!! 聞こえなかったら知らねぇよ!!!

何を書いているのかも知らねぇよ。

『お葬式』(1984)

お葬式の映画です。人生最後はみんなお墓。たとえ就職を回避しても結婚を回避してもゾンビを回避してもお葬式だけは回避できません。
する側は最悪回避できてもされる側は…それもまぁ回避できるかもしれないが、どうせ死んでるから回避しても意味はないだろう。

エッセイの名手でもある伊丹十三の才気溢れる第1回監督作品で、義理の父の葬式で人生初喪主を務めることになった山崎努の奮闘と葬式に集う人々の人間模様をアイロニカルに、遊び心たっぷりに描き出す。
伊丹映画を特徴付けるアダルティなエロも既に実装。楽しく笑いながら社会勉強ができてそのうえ喪服セックスまで付いてくるなんて。贅沢な大人のお子様ランチですね。

題材選択はもとより狂騒的でひねくれた作劇でもアルトマンとは共通するので、『ウエディング』とセットで観ても面白いかもしれない。かもしれないっていうか、かなり推奨。

【番外編1】『道』(1954)

観た直後はしっくり来なくても十年二十年と経ってふと、しっくりくる瞬間が来る晩成型の映画というのもある。
人生もまたそのような出来事の連続なのではあるまいか…といった意味合いで残念ながら樹木希林追悼ムービーになってしまった(しかしあの映画が遺作というのは役者として幸福なことです)『日日是好日』にも引用されたクラシック中のクラシック。大胆極まる一文字タイトルがさすがクラシックな風格である。

『道』レベルになると面白いとか面白くないとかの話じゃないので観るのは時間の無駄だと思っても無駄遣いしておこう。
いつの日かきっと、本の間に隠したまま忘れていた1万円札に仕事を失って貯金もゼロの時に出会って感涙とそのような感じの邂逅があるはずである。なにかが違う気もするが…。

【番外編2】『十二人の怒れる男』(1957)

いつの間にか始まって今でもまったく実施してる感がない(やってますが)裁判員裁判ですが、20歳以上で選挙権があれば誰でも裁判員候補。
ということはあなたも俺も明日にも裁判員の通知が届くかもしれない。早く来ないかなぁ。なんとなく悪趣味ではあるが実は楽しみに待っているのだ。

すべては『十二人の怒れる男』のせいです。裁判員と陪審員だと諸々違いがあるとはいえ、少年殺人事件での陪審員のディスカッションのみを描いたこのハードコア裁判映画を観て以来、こんなにサスペンスフルで面白いゲームなら是非ともやってみたいと…(もっとも裁判員に向いてない性格)

ともかく、『十二人の怒れる男』はそれぐらい衝撃的だった。ボリス・カウフマンのシャープな撮影、名匠シドニー・ルメットの緩急自在な演出力、いかにもリベラル的な書割悪役を人間味豊かに演じ切ったリー・J・コッブ、密室ディスカッションも役者が揃えばこんなに面白くなる。
ちなみに三谷幸喜の初期の映画仕事(脚本)にこれの設定をひっくり返した『12人の優しい日本人』がある。

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買ってくれ新成人! 俺に! なんなら新成人じゃなくてもいいから!

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よーく

新成人に叩きつける!というのなら俺は『フルメタル・ジャケット』を選出しますね。
オラ!もう学生時代とは違うんだよ!社会は人生は戦場なんだよ!!人間性が剥奪されても働け!死ぬまで働け!それができないならできるようにしてやる!!
とまぁ俺はこの映画で色々と学んだ気がしますね。
というか戦争映画で特に主人公が新兵とかの場合は初陣がある種の社会的な通過儀礼的に描かれてることはよくあるな。
新成人は戦争映画観るべきですね。
そしてひとしきり戦争映画観た後に『ゆきゆきて、神軍』を観るべきだ。