麻薬乱戦映画『THE INFORMER/三秒間の死角』感想文

投稿日: カテゴリー 居眠り映画館タグ , , , ,

《推定睡眠時間:15分》

映画館に貼ってあるポスターを見たら梅沢富美男が推薦コメントを寄せていて誰得なんだよって思いましたが映画自体は俺得でした。
なんかやらかしてムショで臭い飯食ってたイケメン犯罪者ジョエル・キナマンにFBIから救いの手かもしくは奈落の手。麻薬捜査官の手先となって従順に働いてくれればすぐに出してやるとのこと。シャバで待ってる家族と一刻も早く再会したかったキナマンはFBIの提示してきた条件を飲む。良い奴である。

シャバ帰りしたキナマンを出迎えたのはFBI捜査官ロザムンド・パイク。キナマンはパイクの命を受けて麻薬組織の連中と行動を共にする。そこで得た情報を使って組織を挙げようというのがパイクらの目論み。刑期短縮のリターンを前払いで貰っているとはいえバレたら家族もろとも殺されるに決まっているのでリターンとリスクのとっても釣り合わない仕事である。

むろん、キナマンもバカではないので唯々諾々とパイクの指示に従っているわけではない。パイクやFBI連中と交わした電話はこっそりテープに録音しておいていざとなったらそれを突きつけてやろうという算段。ケチな犯罪者にはもったいないぐらい周到なキナマンである。
だがその慎重さがアダとなった。今日の麻薬取引相手はどうも怪しい。取引場所に現れた胡散臭いメキシコ人をあれこれ問い質しているうちにキナマンは気付いてしまう。こいつは潜入捜査官だ。

変なことに巻き込まれたくないのでひとまず潜入捜査官を追い返そうとするキナマンだったがその不自然な行動に潜入捜査官は気付かれたことに気付く。最悪の行き違いである。身の危険を感じた潜入捜査官が拳銃を抜くとキナマンの麻薬仲間も拳銃を抜く。倒れたのは麻薬捜査官の方っていうんでキナマン大ピンチ。外で監視してるパイクに向かって秘密のレスキューサインを送るが衝撃! パイク、作戦失敗を恐れた上司クライヴ・オーウェンの命令に従ってキナマンを見捨ててしまうのだった。

悪いときには悪いことが重なる。部下の復讐を誓った潜入捜査官の同僚、NYPDのコモンが執念の捜査によりキナマンを捕捉、彼を犯人と断定してしまう。こうなるとFBIも困った。自分たちのミスでNYPDの潜入捜査官を死に至らしめたなどとは言えるはずもなく、といってシラを切り通すにはキナマンの存在が邪魔すぎる。スッポン刑事コモンは現場付近の監視カメラからパイクとキナマンの繋がりに勘づいているから今更関係を解消する選択肢も意味がない。

広告

さてパイクとオーウェンがド焦りしている中、キナマンはキナマンで別のやばい話に巻き込まれていた。潜入捜査官殺しはキナマンがやったことではないが罪をなすりつけて恩に着せるマッチポンプは古今東西ギャングの十八番。潜入中のポーランド系麻薬ギャングの元締めからケジメを要求されたキナマンは実行犯の身代わりとしてムショに逆戻りするハメになってしまう。

ムショの中はジャンキーの培養池。ムショ内麻薬市場を独占できればシャバの麻薬市場だって独占だ。ちょうどいいから中で販路拡大してくれ。そこを牛耳れば出てきた時にそれなりの待遇を…などと言われてもただただ家族と一緒に穏やかに暮らしたいキナマンには響かない。響かないがさりとて断るわけにもいかない。
救いはまたしてもFBIである。今現在ムショ内麻薬市場を仕切っている連中のリストを頑張って見つけて渡せば今度もまたすぐ出してやるとのこと。

だが一度は自分を見捨てたFBIを信用などしていいんだろうか。不安要素しかないが、とにかく家族のためにも前に進むしか道はない。かくして無事ムショ帰還を果たしたキナマンはFBI、NYPD、ポーランド系麻薬ギャング、ムショ内麻薬グループと誰が敵か味方かもわからない奴らを相手取って孤軍奮闘するのであった。相手、多過ぎ。

この手のV級(※VHS級)クライムサスペンスは劇場で公開されるだけで嬉しいので細かいことはもはやどうでもよくなってしまう。脛に傷を持つ主人公、全員悪人な世界観、その悪人どもの騙し合い殺し合いの中に咲く一輪の義理人情。よいじゃないですか。たいへんよいですよこういうのは。

内容はV級ですが出演者はわりと豪華。主人公の人はあまりよく知らないが脇を固めるのがロザムンド・パイク、クライヴ・オーウェン、コモン、アナ・デ・アルマスってこの予算感の映画でよくそんな顔ぶれを揃えたな。ロザムンド・パイクの組織の論理と人の倫理の間で苦悶する姿、コモンの正義一直線な人情ブラザー刑事、よかったですね。時にバッティングすることはあれどそれぞれがそれぞれの正義に従って戦ってるのが良い。その外堀の戦いがやがて内堀で孤軍奮闘していたキナマンの生死をかけた賭けに収斂していくあたり、ちょっと感動的でしたよ。

キャラクターが多いので全編サスペンスフルで中だるみナシ。ジョエル・キナマンの男気も悪い奴の悪さも素敵な好編でしたね、『THE INFORMER/三秒間の死角』。さすが梅沢富美男推薦!

【ママー!これ買ってー!】


暁に祈れ(字幕版)[Amazonビデオ]
暁に祈れ [Blu-ray]

最近おもしろかったムショものノワール。

500