アシッド教育映画『トロールズ ミュージック★パワー』感想文

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《推定睡眠時間:0分》

なんか新規タイトルかと思ったらシリーズの何本目からしくて前のやつは劇場公開されずソフトスルーとかになってたらしい。そうと知っていれば心構えもできようものだが知らなかったのでうわ~ってなりました。サイケだね。アシッドだね。元気いっぱいのトロール女王様園児がペロペロキャンディで歯磨きして歯が七色になります。わっふー! 音符の滑り台に飛び込んでMCハマ――で踊っちゃおう! それ子供じゃないだろお前の趣味だろ。お前って誰!

たぶん過去作もこんなんだろうな。も~うずっと色彩が弾けてノリノリのポップ・ミュージックが鳴り響いてキャラも背景もフェルト地の絵がふわふわで大変。いろんなものが曲がったり千切れたりくっついたりしてたのしいけど大変です。アメリカ、こういうのあるじゃないですか。児童向けアシッドアニメみたいな。むしろアシッドよりアシッドだろ的な。たぶん『トロールズ』そういうシリーズ。アメリカ人って本当にドラッグ好きですよね。こういうアニメでドラッグの英才教育が国民的にされているからアメリカ人はマリファナごときでガタガタ騒いだりしないのだ。すばらしい。

それでなんかポップ・トロールっていうのがいるんですよ。主人公の女児トロールがポップ・トロール族。本人は知らなかった。女児女王トロールの親父が語るところによれば元来この世界には様々な音楽を鳴らす六色のハープの弦があった…だが音楽性の相違により先祖トロールたちは喧嘩をはじめ、平和を取り戻すべく先祖トロールの長たちは一本ずつ弦を持ってそれぞれの国を作ったのだという…だから女児トロールが治めるこの国はポップの国。広い世界には他にもクラシックの国とかハードロックの国とかカントリーの国とかテクノの国とかファンクの国があるのだ。いや世界狭いな。

さてそんなある日、海底に住むテクノ・トロールのレイヴを何者かが襲撃する。彼らはハードロック・トロール。どういうあれかはよくわからないがなんかハードロックトロールの女児女王様はすっかり耄碌してしまった先王オジー・オズボーンに変わってハードロックで世界征服をすることに決めたのだ! ギャギャーン! ふぉふぉふぅお~ん(泣きのギター)! どうだ参ったか! 女児女王のギターが発するバトル音波に誰も敵わずハードロック・トロール族は次々と世界中の弦を手中に収めていく。

なんてことだ…テクノの弦がロックに盗られたらアンダーワールドとかなんか知らんけどああいう音楽が生まれてしまうじゃないか! クラシックの弦が取られたら…イエスとかドリーム・シアターが!? 良いことしかないじゃねぇか。でも主人公は主人公なのでハードロック・トロールと戦うのでした。守れポップ! 追い出せロック! 汗臭いハードロックなんかにこの世界を支配されてたまるか! それは超同意。

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それにしてもアメリカだな~っていうか、冒頭でテクノ・トロールが鳴らしてたのはダフト・パンクのワン・モア・タイムでしたが基本的にはアメリカ音楽マップという感じなので色んな国があるとは言ってもそこにあるのは音楽で色分けされたアメリカなのでした。アメリカはポップ・ミュージックの国なので主人公はポップトロール族だしロックとかカントリーとかファンクとか言ったところで結局どれもポピュラーの枠組みからは出ないわけですな。

その意味では楽しいが結構容赦のない映画であった。クラシックの国はポップじゃないので早々に滅ぼされて『風の谷のナウシカ』みたいになってしまいカントリーの国もかつてはポップに属していたかもしれないが今は老人音楽なので足蹴にされてしまい国すら与えられなかったジャズ・トロールは唯一スムーズ・ジャズの使い手だけが賞金稼ぎとして存在を許される。例外的にめっちゃ扱いがいいのはファンク・トロール族である。UFOに乗ってキラキラとフィーバーしておりました。カントリーの国なんか娯楽ゼロで電気すら無く児童労働当たり前だったのに!

このへんの扱いの差、酷くて笑ってしまうね。ハリウッドリベラルが作ってるんだろうなこのカントリーへの風当たりの強さ。粗野で無知なカントリー蛮族たちを見て「悲しい音楽を聴きたがる人もいるんだね…」ってポップ女児女王様が言うわけですがまずカントリー悲しいだけの音楽じゃないし年端もいかぬガキになんでそんな風に憐れまれないといけないのかとカントリーをまったく聴かない俺がなぜかぐぬぬ感を覚えてしまう。

でもそういうぐぬぬ感は一応物語の中で拾ってくれるんです。ポップ・ミュージック至上主義こそが音楽多様性をぶっ壊してるんじゃないのみたいな。ゆーても子供向けアニメですからそこまで深く突っ込みませんし問題解決の仕方も雑ですがこのへん面白いところ。ちょっとだけ昨今侃々諤々ネタになっている文化の盗用問題も視野に入ってるっぽい。あくまでちょっとだけですけどね。

そうだなぁ、踊れる音楽と気持ちいい音楽いっぱいで最高だったんですがそこらへんもうちょっと音楽映画として攻めてもっていうか遊んでも面白かったような気もするなぁ。ロック弦とジャズ弦を一緒に弾いたらフュージョン・トロールが生まれました! みたいな。そういうのは無い。無いですが色とりどり狂いとりどりのキャラどもが織り成すサイケかつスラップスティックなギャグ模様を見てるだけでもちょうたのしいのでよい映画だったと思います。謎生物のミスター・ディンクルスが天国への階段を上るところ、ドラッギーで最高!

※あくまでポップ・ミュージックの映画なのでっていう作品の方向性も音楽ジャンルを子供向けに擬人化しているのも分かるのだがロックといえばゴリゴリのハードロックでその首魁なら黒革ジャンにソフトモヒカンだろみたいな「こち亀」的ロック感もカントリーとは別の意味で酷くて笑う。それにしてもアメリカ人のハードロック好き、なんなの。

※※あとK-POPトロールというのも主人公たちを追う賞金稼ぎ枠で出てくるんですがK-POPはポップ・トロールじゃないんだっていう。それはそれで扱い酷いな。っていうか全体的に音楽的デリカシーがない(そこがよい)

※※※ちなみに字幕版が近くでやってなかったので吹き替え版で観たんですが、吹き替えの出来自体は全然悪くないものの歌もの映画ということもあり、やっぱ本職歌手起用も多数のオリジナル版が観たかった…。

【ママー!これ買ってー!】


トロル2~悪魔の森~ [VHS]

こちらは『トロールズ』ではなく出来が酷すぎてアメリカでカルト映画化した『トロル2』。

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