昭和ギャグが暴走特急映画『ノンストップ』感想文

《推定睡眠時間:0分》

韓国カルチャーに詳しいファンの人ならこれはこれこれで一発で分かるのだろうが韓国映画は好きでも韓国旅行は行ったことないし地理も歴史もよくわからない俺としてはこのウルトラハイボルテージなノリはどのへんのものなんだっていうか、やっぱ韓国にも東京と大阪とかニューヨークとテキサスみたいな感じで地域的なセンスの違いっていうのがあるんでしょうけど、日本に置き換えれば明確に関西ノリな、それはもうド関西な、吹き替えを作るとしたらムカつく政治家以外は全員関西弁話者にしていやそれ絶対原語では言ってねぇだろ的な暴走アドリブをむしろゴリゴリに入れていただかないとこのパワーを訳し切れているとは言えないというようなこの猛虎ノリはどのへんの感性なんだろうっていう…勉強してみようかな、韓国。今日本屋行ったら韓国のここは日本でいったらこのへんですっていう本があったんですよ。そういうのいいよね、わかりやすくて。何事もとっかかりは正確さよりもわかりやすさだ。

いやぁ、それにしてもね、濃いね。濃い。もう、濃い。とにかく濃い。カルピスの原液。原液ジェット噴射してる。500メートルぐらい吹き飛ばれてお砂糖で服とかベッタベタになりました。なにこの底抜けハイテンション演技。現場すごそうだな。俺この現場で笑い堪えられる自信ないわ。映画で観るとハイテンションだなーって思うだけで済みますけど現場想像したらめっちゃ面白くないですか。真面目な俳優さんたちが精神を集中させて役に入り込んでてさ、その周りでは技術スタッフがドタバタとセッティングしててさ、演出部の人たちは監督と話しながら台本確認したりしてさ、みんな一生懸命ちゃんとお仕事やってるわけですよ。

それでカチンコかかるわけじゃないですか。はいよーい…スタート! って声かかります。そしたらさっきまでめっちゃ真面目顔だった俳優さんたちが急に江頭2:50が登場する時のテンションで狂喜したり絶叫したり抱き合ったりするんですよ。それでカットかかったらまた急に真面目トーンに戻るんです。俺それもう無理だわ。温度差がオーバーザ許容値すぎて床に笑い転げて仕事にならないと思うわ。

内容もテンション高けりゃなんでもいいだろみたいな感じでなんかすごかったよ、壊れた洗濯機とか叩いて直ってたもん。昭和! 発想すげぇ昭和! オロナミンCの懸賞で当たった憧れのハワイ旅行でハイパー浮かれる下町貧乏家族が主人公とかマジ昭和! どことなく『狂った野獣』を思わせなくもない昭和の勢い至上主義でもってB級映画的オモシロを一分に一個のペースで片っ端から突っ込んで整合性とか統一性とか全然気にしないからな。笑えたらもうそれでいいんです。アクションかっこよかったらそれだけでいいんです。いわゆるナメてた奴が○○映画。この場合はナメてたオバハンがセガールだった的な感じです。いや~おもしろかったな! 文字でこの楽しさを伝えるのは野暮っていうか無理! 映画館で大勢の客と一緒に観ろ!

※あと高嶋政伸みたいな客室乗務員めっちゃ好き。

【ママー!これ買ってー!】


映画 クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶジャングル[DVD]

色んな点で原恵一が監督していた頃の映画クレヨンしんちゃんと似ている。韓国で実写化してくれないだろうか、映画クレヨンしんちゃん。

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