なんだか煮え切らない映画『ドント・ブリーズ2』感想文

《推定睡眠時間:15分》

前作が面白かったから続編はちょっと格が落ちるなぁ…という声もあるようだが前作がそもそもそんなに面白くなかった俺はそのへんのギャップがないのでそんなに面白くないなりに普通に楽しめたというのは良いことなのか悪いことなのかわからないが、それはともかくとして俺が感じた前作最大の不満は殺傷数が少ない! 少なすぎる! マイホーム持ち座頭市の恐怖を描くのならちゃんと座頭市のヤバさを見せるために少なくとも5人ぐらいは殺され役の学生とかを座頭市のバトルグラウンドに投入すべきではないのか! あれじゃあ座頭市が強いのかそうでもないのかよくわかんないじゃないか!

ということだったんですがこの続編を見てなんとなく納得したのは今回『ターミネーター』の殺人アンドロイツェネッガーが続編『ターミネーター2』では味方として再登場したような感じでわりとヒーロー的なポジションで出てくるわけですこのマイホーム座頭市が。なるほどそうですかそうですか、それなら一作目で大量殺戮なんかできやしませんね、善玉化を見越しておったとすればね! 大量殺戮しちゃったら観客が感情移入して応援できないもんね!

それは邪推かもしれないが家の地下に子供産ませ用に女を監禁してた変態マイホーム座頭市を善玉化されてもいやそれズルくねぇ!? って感じです。いいよ別にそれならそれでいいですけど筋は通して欲しいっつーか、もうあいつは悪党ってこっちとしては分かってるわけだから悪に吹っ切れて家を襲撃してきた武装集団なんかめちゃくちゃ残酷にぶっ殺しまくって欲しいというものです。なんなのこの「一体どっちが悪なのか…」みたいな同情の余地を残そうとする歯切れの悪い展開は。向こうはともかくこっちは絶対悪だろう!

でもその「どっちが悪なのか…」みたいなのを最後まで引っ張る。でなんか結果的にちょっとイイ話風になる。変態マイホーム座頭市は今回もあんまり人は殺さないし(たぶん10人以下)しかもまだ続編狙ってるので敵に鉄槌は下すが無抵抗なやつは逃がすとかいう無駄な義侠心アピールもする。いらんだろ! お前はどうせ鬼畜なんだから鬼畜は鬼畜らしく人を殺せや! 客の情けに甘えるんじゃない!

いや、面白かったですよ? 面白かったですけど、ただ普通。普通のよくあるアクション。その点ではカーペンター風の限定空間アクションとして前作はよく出来ていたなと思う。この続編も序盤のマイホームバトル編はそんな感じで結構手に汗握って(握らないけどな!)面白く見れますけど、ただ後半はなんかな、残酷なわけでもアクションが面白いわけでもなく、どうもストーリー展開の面白さを見せようとしているようだが、そのストーリーそんなに面白くないしわりと読めるだろ。変態マイホーム座頭市のキャラクターも活きないし。

まぁでもいいんじゃねぇの。どうせ続編作るわけでしょ。そっちに期待しよう。イイ話路線はもういいから次こそは「今度は戦争だ」を見せてくれな。変態マイホーム座頭市の抱える哀しみがどうとか興味ねぇしもう大体こっちも把握してるから。だから次こそは! 変態マイホーム座頭市がデアデビル並の超戦闘力を発揮して100人ぐらい近づく者を殺していく無慈悲に面白いやつをお願いします! やっぱりドンブリ、100人殺っても大丈夫! …何もかかってない!

【ママー!これ買ってー!】


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俺が見たかった『ドンブリ2』は可能な限りインスタントかつスピーディに死体の山を築き上げていくよくばりセットだったのだ。この本は別に関係ないが…。

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