世代ギャップ映画『トップガン マーヴェリック』感想文

《推定睡眠時間:70分》

そもそもの話トム・クルーズの何がどうすごいのかまったくわからない俺にはこの映画のトム・クルーズが単なる若作りの激しいオヤジの自覚のない面倒臭いオヤジにしか見えず見た目も取り立ててハンサムではないし演技がうまいわけでもなくジェニファー・コネリーとのこってりしたラブシーンなど『ザ・ルーム』とまでは言わないがオヤジと熟女の回春なんか見て何が楽しいんだとさえ思ってしまう。

たぶんね、こういうの世代間ギャップ。俺は前の『トップガン』は観てないし観ても面白くない確信があるんですけどある世代にとっては『トップガン』ってたぶんめちゃくちゃ影響力のでかい映画じゃないですか。『トップガン』とあとトム・クルーズの映画って。面白いとか面白くないとかじゃなくて世代的な共通体験だからその思い出っていうのが持つ力ってすげぇ強いと思う。そういうのがある人はこの映画は超たのしめるだろうし、それがなくても世代に素直に憧れることのできる人も超楽しめると思う。で、俺はどっちでもなかったという話。

だからまぁ、別につまんなかったわけじゃないですけど、戦闘機とか? 海軍とか? とくに趣味っていうわけでもないし、なんか若いパイロットたちの青春? みたいな? そういうのが描かれてたっぽいですけど、なんか爽やかな青春みたいなのが基本的に嫌いだし友情とかも嫌いだし、じゃあスカイアクションはどうなんだっていうと、もうちょっと速度の遅い空飛ぶ乗り物ならアクションも楽しめる感じあるかなって思うんですけど、現代の戦闘機だと早すぎてなんか面白くなくない?

顔アップがすげぇ連発されるんですよ、戦闘機だから。で顔アップと顔アップの間に超早くてどこをどう飛んでるのかよくわかんない戦闘機がビューンって飛ぶシーンが入るんですよ。それなのねこの映画基本。それは…まぁゲームとかだったら面白味もあるかもしれないけどちょっと工夫がなくないっていうか、なんか、臨場感とかそういうのとは違わないか? まぁ臨場感なんてでかいスクリーンで観ればどんな映画でも出るのででかいスクリーンで観れば面白いかもしれないですけど…でも俺も結構でかいスクリーンで観たんだけどな。ちょっとそれで目を回して寝ました。じゃあ臨場感あるんじゃん! でもほら芸が無いっていうか…。

序盤は訓練と友情と確執と恋愛とみたいなことをやってたっぽくて終盤は実戦ですけどこれ大規模戦闘じゃなくて軍事作戦じゃないですか。だから目標に向けて飛んでってミサイルみたいの落として帰ってきてっていうだけで、それもまた淡泊っつーかさ、だって作戦成功するんでしょ? 身も蓋もないけれども。

それは別にジャンル映画を観るときにはわかった上で観ますよそういうのは。だけど地上のアクションだったらどうやって成功に至るかっていうバリエーションがいろいろ作れて面白いじゃないですか。小道具たくさん使うとか地形を活かすとか。だけど空って何もないじゃん。あるとしたら雲と山ぐらいじゃん。そしたら戦闘機がただ飛んでる画しかないわけじゃん。飛んでるか墜落するかじゃん。そこにアクション的な面白さがあるかなぁって言ったら俺ないと思うんですよね。

あとなんかパイロットたちが海で遊ぶシーンがやたら長く入ってきてさ、スローモーションでその水と汗のキラキラしたしぶきと躍動する筋肉を捉えるんですけど、こういうのなんなの? まぁ顰蹙を買うのを承知で書けばおっぱいのでかいおねーちゃんが水着ではしゃぐ姿なら確かにスローモーションで観たい。しかしこちらは海軍のパイロット男性たちですよ。ものすごい笑顔で。それはもうすごい笑顔で。眩しいなぁ。でも俺がおっぱいのでかいおねーちゃんの水着が観たいように筋肉モリモリ兵隊男性のキラキラ水辺遊びが観たいという人もいるであろうからこれはまぁいいか。人によりけりだからな何に興奮するかっていうのは。

トム・クルーズは最近スタントダブルなしでアクションをするというのでインターネットの映画界隈で人気が高いらしくこの映画でもたぶん色々やっているのだろうが、俺はこれもよくわからなくて、ジャッキー・チェンがダブルなしですごいシーンをやったらそれはすごいかもしれないですけど(基本ダブル使ってるけど)トム・クルーズはジャッキー・チェンじゃないから身体能力っていうか身体表現力なんかたかが知れてるし、もうおじいちゃんなんだから無理にダブルなしのシーンを撮るよりダブルを入れてアクション撮った方が絶対に映えるじゃないですか。

なんでも自分でやりたがるっていうのはそりゃ渡瀬恒彦が俺には俳優としての武器がねぇからっつって自分でスタントもこなすようなのはまぁわかるけどさ、トム・クルーズの俺スタントなんて単なる金持ち俳優のエゴじゃないですか。そんなもの何がありがたいのか…とまぁ俺は思っちゃいますがだからそれはさ世代ギャップなんだって! トム・クルーズの魅力っていうのが世代の記憶としてないから本当わかんないのよ。

まぁいいんじゃないすかと思いますけれどもでもねぇ、最近こういうさ、世代狙い撃ちみたいな映画が洋邦問わずメジャー作で多い気がして、それはなんかつまらないよなぁ。もっと斬新な企画を当てに行けよって思っちゃいますけど、そうもいかんのでしょうな中々。世知辛いよ。

【ママー!これ買ってー!】


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『トップガン』は観たことないんですがパロディの『ホット・ショット』はテレビでやった時に観てて好きだった記憶がある。

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