中国におけるウェスト氏の王道な冒険映画『ボルケーノ・パーク』感想文

投稿日: カテゴリー 居眠り映画館タグ , , , , , , ,

《推定睡眠時間:0分》

火山島に滞在していた少女が森の中で空からふわふわ降ってきた不思議な物体を見つけて追いかけるとどうもそれは噴火を告げる火山灰で的な冒頭シーンがモロ『ロストワールド/ジュラシック・パーク』なので今かよ感がすごかった。何十年遅れて便乗しているんだ…まぁオマージュの可能性がないとも言えないが。

アメリカさんが恐竜なら中国さんは火山で勝負です。中国にはあまり火山のイメージがないが最終的にレスキュー隊のみなさんありがとう的な微妙な宣伝展開になるということは国土広いし別にないことはないのだろう。舞台は十年くらい前に大噴火(これが冒頭のシーン)したばかりの火山島。噴火のせいで母親を亡くした主人公の火山学者的な女の人は最新鋭の機器を備えた観測所で火山のメカニズムを解明しようとしている。このあたりは『ツイスター』の二番煎じっすね。それもまた古いな。

次にいつ噴火するとも限らないがそんなスリルこそ無責任な観光客は求めたりする。はいはいこいつが悪役ポジションねと初登場シーンから丸わかりのアメリカ人実業家っぽいやつは火山島に世界初の火山テーマパークをおっ建てる。いつ噴火で崩壊して観光客が死にまくって損賠賠償請求の嵐で儲けどころではなくなるかわからない上にそもそも火山ネタのテーマパークなんか作ったところで別に面白くないだろ火口見てすげーってなって終わるじゃねぇかそれで客来ねぇよと思わずにはいられないハイパーリスキーテーマパークリゾートの建造費が易々と集まってしまうのだからさすがチャイナマネーだ。

もちろん火山は見事に噴火。それがテーマパークの内覧会の日だったので火山学者は学者の設定をガン捨てして火山弾やら火砕流やらを避けつつ救助のために東奔西走。火事場の馬鹿力とか言うし火山場ともなればまぁきっとこれぐらいの力は出せてしまうのだろう。中国人のバイタリティはまったくすごい。そんな中国人をバンバン呑み込んでいくのだから火山はまったくおそろしい。果たして火山学者ほか島に滞在していた人々は島から逃げ出すことができるだろうか?

ちなみにレスキュー要素ありの映画であることからチャイニーズざっくり精神によりエンドロール前に「COVID-19と戦う人々に捧げます」みたいな献辞が出ますがストーリー的にはミリ単位もかすってないので不謹慎の誹りなど考慮の上で一切気にせず金を優先する中国の映画制作者の商魂のたくましさはすごいなとか思いました。それとも同時期公開の他の中国映画も全部かどうかは知らないが同じテロップが出るんだろうか(それはそれでありそうな気もする)

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まぁこういうダイナミックなディザスター映画とかは中国強いよね。噴火怖かったですよ噴火、迫力満点。火山弾なんかダーダー飛んできますしね。死んでも別にいいモブとかストーリーの都合上殺す必要のある登場人物はとりあえず火山弾で一発デリート! 跡形もなく消えてしまうので強すぎるだろ火山弾。あと火砕流も強かったよね~。モクモクモク~っとおどろおどろしい煙が背景を覆いながら時速数十キロはあろうかというスピードで迫ってくるのでこれは地味に恐怖感ありますよ。

しかし火山噴火の主役はやはりなんといっても溶岩流ではなかろうか。アニマル系のパニック映画では性欲を抑えきれずに茂みに飛び込んだ男女の股間が大噴火というところで凶悪アニマルが襲いかかってきてギャーってなったりしますがこの映画では火山が凶悪アニマル代わりなので岩壁に囲まれた隠れ泉で水中ペッティング中の男女を溶岩が襲う! これはおそろしい…陸に上がろうにも上がれないし茹でダコ状態ではないですか。もし噴火に巻き込まれるとしてもこんな死に方はしたくない。

溶岩は姿形を微妙に変えつつ主人公一行も襲う。対する主人公たちはジープみたいなのに乗って全速力で逃げることしかできないわけだがいやできるんかい。中国車の本気すげー。車体の横から予期せぬ溶岩流アタックを食らってタイヤが溶けた時にはさすがにそこからは戦えないだろと思ったものだがタイヤが逝ったぐらいで溶岩流に負ける中国車ではないし中国人ではない。なかなか信じられない不屈のバトルっぷりであった。

と書くとイロモノ映画みたいですがぶっちゃけ普通の面白いディザスター映画です。火砕流の如く次々とぶち当たる障害物を腕力でなぎ倒しながら上から下へと超スピードで流れていくだけの展開は一本調子とも言えるが別の言い方をすれば見せ場の連続。ロープウェイを使った無茶なアクションなんかそんなアホなと笑ってしまうが(ゴ~ンの音が最高である)ナチュラル志向のつまらない展開よりも多少だいぶ相当かなり強引だとしても見せ場を湯水の如く投入した展開の方がディザスター映画としては面白いに決まっている。

それにちょっとした泣き要素もありますしね。なんか『タイタニック』みたいな感じの場面があるのだが、贖罪と自己犠牲っていうアメリカン・ディザスターにお馴染みのモチーフを押しつけがましくない形で織り込んでいて、そこらへんはさすが『コン・エアー』『エクスペンダブルズ2』の職人監督サイモン・ウェスト、アクションとユーモアとヒューマンドラマのバランスが良い。大した伏線ではないが大した映画ではそもそもないのでラストの大したことのない伏線回収もなかなかのキマリっぷりだった。

ゆーても十年ぐらい前まではこういうざっくりしたディザスター映画といえばアメリカ産であったが最近のハリウッドはヒーロー映画にばっかうつつを抜かして大作ではこういうのめっきり作らなくなったからなー。今の映画界のディザスター中心地はこれ作った中国とか去年『EXIT』をぶっ込んできた韓国なんじゃないすか。CG、アクション、笑い、キャラクター、ドラマ…ドラマはまぁちょっとだけ弱いが、でもそれ以外は文句なし(別にドラマ求めて観てないので本当はそこも文句ない)。新味なんかゼロどころかマイナスですけどベタで面白い映画でしたね。中国、金いっぱいあるんだからこういうのたくさん作って浪費してくれ。

※サイモン・ウェストはアンジェリーナ・ジョリー版『トゥームレイダー』の監督なので主人公の女火山学者の性格とかアクションはちょっとだけその流れを感じさせたりした。

【ママー!これ買ってー!】


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火山がこわいディザスター映画といえば『ボルケーノ』。マンホールの場面とか地下鉄の場面とかすばらしいのだ。

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