下ネタめっちゃ濃い映画『スラムドッグス』感想文

《推定睡眠時間:0分》

いかなる理由かアメリカ人はやたら犬を喋らせようとするのだが犬が喋るアメリカの動物映画でグッときたものなどマイケル・J・フォックスがフォックスなのに犬の声をアテた『奇跡の旅』ぐらいしか個人的には記憶になくその『奇跡の旅』にしてもワンちゃんネコちゃんたちの達者な芝居とアクションがよかったということなので喋り要素はあくまでも俺の場合はということだが別にいらなかった。

いったい動物が喋って何が面白いのか…その答えはこの映画にあった。たしかに動物がただ普通に喋るだけならば面白くなどないだろう。だが、初めから終わりまでずっと下ネタとブラックジョークを言い続けたとしたら!? 不快なだけだろお前らワンちゃんになんてこと言わせるんだなどと言ってはいけない。ワンちゃんがおよそ100分間ひたすら下ネタを言いブラックジョークを言いウンコを垂れションベンを垂れ勃起しまくりセックスしまくる! アメリカ的にはこれはおそらく大爆笑のはずである。アメリカの笑いは底知れない。

お話的には最近よくあるやつであなたを傷つけるパートナー(人間)は本当はあなたを愛していないんだよという啓発もの。オナニーとハッパが趣味で仕事もせず親からの仕送りで生活しているカス飼い主に愛されていると思っていた被虐待犬がついにカス飼い主から捨てられてしまい愕然、自分が本当は愛されてなどいなかったという真実を知りこんにゃろうオナニーが大好きなお前のチンコを噛み切ってオナニーできなくしてやる! とスラムで出会った野良犬たちとともに飼い主のもとへ向かう中でウサギの虐殺や幻覚キノコによるトリップなど様々な経験をし、本当に自分を愛してくれるパートナーと出会ったりする。

ベタベタながらイイ話だがあまりにも直球の下ネタばかりをずっとやっているのでこれにはとくに下ネタに抵抗のない俺でも辟易してしまった。下ネタが無理という今風のヤングピープルなら誇張でなしに途中退場してしまうのではないか。実際ヤンキー風の男友達数人で観に来てた人らはマシンガン下ネタに全然笑う気配がなくエンドロールに入ったらさっさと帰ってしまった。ヤンキー風の人すら引かせるのだからエグみハンパない。

まぁワンちゃんというのは発情期ともなれば交尾ばかりしている野蛮な生き物ではありますし「可愛いだけじゃねぇんだよ! 可愛いワンちゃんとか忠犬ワンちゃんなんてイメージを押しつけるのは人間のエゴなんだよ!」とでも言われればうっかりそれもそうだなと納得してしまいそうになるが、それならお前らの都合で犬に下ネタばかり言わせるのもおかしいだろと思うので、作ってる側にとくに深い理由などなく、やっぱ単にワンちゃんがめっちゃ下ネタ言ったら面白いなというだけの映画だろう。主演ワンちゃんの声をアテているのはウィル・フェレルだから大御所芸人ウィル・フェレルがしょうもない下ネタ大乱発! という面白さもある(しかし吹き替え版で観てしまったのでそのへん確認できなかった)

ともかく、このアメリカンなエグみの深いジョークを許容できればまぁまぁ楽しく観られる映画ではあるだろうワンちゃんたちかわいいしとは思うのだが、台詞の途切れることのない往年のエディ・マーフィ映画みたいな脚本に合わせ、CGでワンちゃんの口を動かしているのはどうぶつ映画としてわりあいガッカリポイントであった。まぁよい、ワンちゃんたちがチンコマンコ言いまくりセックスしまくっても別にそれはいいが、CG加工はしないでほしかったなぁ~。ワンちゃんズのセックスとか排便も生ワンちゃんに芝居してもらってるのではなくCG動かしてるんだろうと思われるので、それだったらいっそのことアニメで作ればよかったんじゃないのという気がしてしまう。アニメで作ったらR指定下ネタ大作『ソーセージ・パーティ』になってしまうのだが。

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