『ホーンズ 容疑者と告白の角』を観た!(※ネタバレなし)

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例によって居眠りしながら観たが、角の生えた主人公(ダニエル・ラドクリフ)が催眠術みたいの使う映画だから、きっとそのせいだろう。
最初の45分くらいとても面白くて、あっはっはーって笑いながら観れる。角の力で意図せずして相手の秘められた欲望を解放しちゃう主人公がアッチコッチうろうろするワケですが、そのせいでみんなその場でヤり始めたりチンポコ露出したり殴りあったり放火したりする。
人々の唐突な奇行にダニエルくん唖然。それが笑える。ブラックコメディになってんのだ。

その後、ちょっとホラーになったりラブストーリーになったりしながら、最後はダークヒーローものになる。
ヘビの襲撃シーンなんて結構エグいが、そのあたりアレクサンドル・アジャ監督だなぁって感じ。あとアレ、主人公に翼が生えるシーンはビックリしました。

撮り方も演技もワリと淡白なんで、実はあんまり印象に残るシーンとかなかったりするが、アバズレ役のケリ・ガーナーって女優さんはなんか良かった。
この人ちょっとしか出てこないが、そのブヨブヨした肉付きといい喋り方といい、すげーいかにもな田舎のアバズレねーちゃん。

あと主人公のアニキ役のジョー・アンダーソンって人、この人ほかになんの映画出てんだか知らないが、これまた意志の弱い役柄の感じが全身から出てて面白かった。そしてこの人もちょっとしか出てこない。なんか、チョイ役のダメ人間がとても輝く映画である。

テンポは良いしなかなか笑えるし急展開に次ぐ急展開なんで、観ようかどーしよーか迷ってる人は観たら良いと思う。
デヴィッド・ボウイの超名曲『Heroes』とかピクシーズ『Where is My Mind』とか選曲も超かっけー。二時間長さを感じない面白い映画だった! だったが…。

原作がとても面白かったんでどーしても比較して考えてしまう。で、言ってしまうとコレ、脚色があんま上手くいってないと思う。
原作はジョー・ヒルって人でモダン・ホラーの帝王スティーブン・キングの息子。キングの映画化の九割は失敗作とか言われるが、ヒル原作の映像化もどうやら難しいようである。

つーのもまず、原作は文庫本にして600ページ超もある。映画はコレを凝縮して可能な限りそのままのカタチで2時間に収めようとした。
結果、ポンポンとハナシが進んで面白かったが、なんかダイジェストみたいになっちゃったのだった。

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どうにも2時間に収まらずオミットされたと思しき部分の大部分は中盤にある長い長い回想シーン。
ここだけで200ページくらいあるんで、映画はその中のほんの一部だけを取り出してるが、そのせいでほとんど意味不明になってしまった。

んで回想シーンをダイジェストするってなるとそこで展開されてた細かい人物描写とかも全部ダイジェストなんで、主人公以外の登場人物の影が超薄くなった。
とく犯人な。映画は犯人は誰だ? なミステリーを基調としてるが、実は原作はそうではなく、始まって100ページ目くらいで早々に犯人が明らかになる。

で長い回想シーンなんかを通して犯人がどういう人間かを描いていて、一章丸ごと犯人のおぞましいようなファンタスティックなような過去を暴いたりすんのだが、映画じゃそういう部分は全部無かったことにされてんので、正直犯人出てきても誰?くらいなもんなのだった。これはかなりイタイと思う。

その代わりに犯人探しのミステリーと併せて映画に導入されたのはダークヒーロー要素だった。
こういうのは原作にもあったりするが、しかし色んな要素がありすぎてあまり前景化しなかったんである。

ファンタジーとはいえR15なんで、映画には結構悪趣味なところがある。その悪趣味とダークヒーローの組み合わせには悪趣味王ブライアン・ユズナのダークヒーロー映画『ファウスト』(2000)を連想してしまう。主人公がヘビに命じて人を殺させるシーンなんて『ファウスト』の1シーンって言われても納得しちゃいそうである。

もう一本思い出したのはサム・ライミの『ダークマン』(1990)かなぁ。『ホーンズ』のスピーディでユーモラスな展開はこの映画に通じる気がする。
アジャはホラーオタクなんで、『ファウスト』とか『ダークマン』が念頭にあったのかもしんない。

ダークヒーローものならダークヒーローものとして徹底的にアレンジしまくっちゃえば良かったと思うが、残念ながらそうはならなかった。
でもって犯人がエキストラ並みの存在感になっちゃたんで、ヒーローが犯人と闘うシーンもなんだか燃えない地味なものになったのだった。

原作を読んでこれを映像にしたらどうなるんだろうとワクワクしたシーンが二つあった。一つは犯人の回想のシーン、もう一つはラスト近くのSF的大仕掛けのシーン。
そこだけで600ページもある長い物語の印象を一気にひっくり返すようなインパクトのある名シーンだったが、どっちも映画ではオミット。

なんというか、原作の大筋を変えないでいかに映像に落とし込むかに腐心するあまり、原作のエッセンスが削がれてしまった映画だったように思う。面白かったが原作ものの映画化としては…。

【ママー!これ買ってー!】


ホーンズ 角 (小学館文庫)

とゆーワケで、やっぱ原作。
確かに長いが、各章ごとにスタイル変えてるんで中短編の連作みたいにも読める。
正直『ホーンズ 容疑者と告白の角』観て原作大したコトねーなと思われちゃったら困るんで、立ち読みでもいいから読んでみて下さい。
多分、見方が180度変わると思う。


20世紀の幽霊たち (小学館文庫)

でもやっぱり長いの読むの嫌って人は短編集から読むと良いと思います。ここに中に収録されてる短編『年間ホラー傑作選』こそアジャに映画化して欲しいんだよなぁ。

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