読んだら死ぬ『アントラム 史上最も呪われた映画』感想文

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《推定睡眠時間:10分》

一家に一台バフォメット焼却炉。予告編で異様な存在感を放っていた謎のバフォメット像ですがその正体は焼却炉(かまど?)でした。焼かれる! 食われる! 楽しそう! 配給に叶井俊太郎が関わってるらしいから宣伝用にレプリカ作って試写に来た人の感想ペーパーとか焼却供養してほしかった。全盛期の叶井俊太郎&アルバトロスならそういうのやっただろう。やらないか。

観ると死ぬ。ロマンがあるよね。なんでもこの『アントラム』という映画は観た人がなんらかの事故で死んだりする呪いの映画。呪いといってもオバケの仕業とかではない。いったい誰がどんな目的でそんなことをしたのかは分からないが、元々あった映画がどこかで勝手に編集されてしまい、人間の精神を崩壊させるサブリミナル・メッセージが仕込まれてしまったらしいのだ。

だから正しくは観ると狂う、狂った結果として死ぬ、と言った方がよいだろう。たとえば、ある上映館ではこの映画を観ていた観客がパニックを起こして出口に殺到、しかしなぜかそこには鍵がかけられていたことから観客たちはお互いに殴り合ったりなんかして死者が出た。これが『アントラム』効果だろうか? ある意味ではそうだが、事実はより奇っ怪である。

この映画館の従業員T氏が『アントラム』上映前にポップコーンのバターにこっそりLSDを混入、知らずにポップコーンを手に取った観客はそのために場内で恐慌を来したのだ。しかし、どうしてそんなことを? T氏は故殺で逮捕・収監されているが、動機に関しては不明のままだ。T氏は『アントラム』を事前に観ていたのだろうか? だとしたら、いったいそこから何を受け取ったというのか?

これら様々な事件を経て(その決定打となったのはブダペストでの上映時に起きた火災だろう)『アントラム』のフィルムは行方不明となっていたが、この度発見されたということで制作されたのが本作『アントラム 史上最も呪われた映画』。その内容は『アントラム』本編…これはおそらく一部フィルムが欠落している不完全版だが、現時点では最良のものだろう…に加えて、識者による『アントラム』解説とフィルムの科学分析結果を本編前後に付けたもの。これ一本観れば『アントラム』という世にも恐ろしいフィルムの全容が掴めるというわけだ。

果たして謎だらけの『アントラム』とはいったいどんな映画なのか。アントとラムだから蟻さんと羊さんの映画だろうか。これより先は読むと精神に異常を来す恐れと明日学校とか会社に行きたくなくなる恐れとまだ寒いからせっかく早起きしても布団から出たくなくて目覚ましが鳴ってから一時間ぐらいは結局布団の中でごろごろしながらスマホとか見てしまう恐れなどがありますのでご注意ください。最悪死にます。

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まぁ、ざわついていたね、上映後の場内。『スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け』ぐらい明かりが点いてからざわついていたね。これは事件ですよ。この予算規模の映画でこれだけ観客をざわつかせるなんて。それがなんかたのしかったからよかったな。あと火はつかなくてもいいですけどやっぱり劇場の入り口の所にバフォメット焼却炉と紙と鉛筆とか置いておいてほしかったね。ふざけんなとか紙に書いてバフォメット焼却炉に投函して叶井俊太郎に読んでもらう。

おもしろかったところの方が少ないからおもしろかったところから書きます。お前らなんでパンツ丸出しなんだよ! なんだあの樹海で切腹自殺しようとしてたトランクス一丁の謎の日本人ヤクザ! 切腹はお前の自殺スタイルだからこっちは口出しできないけど思いとどまって帰る時はちゃんとズボンを履いて帰れよ! あと頭に牛角付けた悪魔村のオッサン! お前もか! なんでお前もブリーフなの! 履けばいいんじゃないズボン!? あとお姉ちゃん足臭い! お姉ちゃん足臭いらしいよ! しょうがないよねそういうのは、分泌物とかの問題だからね!

以上おもしろかったところでした。ほかはあんまおもしろくないというか、基本的にまったりしてるのですごい眠い。寝て起きてもまだまったりしてる。これは確かにフィルムが精神に何かしらの影響を及ぼしているのかもしれない。ただその結果眠って体調ちょっと良くなりましたからむしろ健康によかったね。睡眠導入剤代わりに『アントラム』を見れば副作用もなく快適に眠れる。世の中にはしょうもない映画もあるものだなと思えて少しだけ心が軽くなるかもしれない。『アントラム』健康法が見えた! 見えて、ない…!

ストーリーとかはあってないようなもので、飼ってた犬を安楽死させられた弟が姉と一緒に地獄に続く穴を森に掘りに行く、そしたらなんかトランクス一丁の日本人ヤクザとか悪魔村の人が寄ってきたりケルベロス(犬)が穴から出てきたりする。このどういう表情をしたらいいのかわからない展開の中にスナッフフィルム的なイメージショットであるとか、これは『女優霊』オマージュじゃないかなぁみたいな暗闇にうっすら浮かぶ笑う悪魔とか、サブリミナルなシンボルとかっていうのが後から何者かに挿入された設定で随所に入ってくるという仕掛けで、「何か変なものを見た」感を楽しむ映画というところ。

その変なものが微妙なのでなんとも言えない後味なのですが、でもまぁ『女優霊』ライクなお笑い悪魔はこわかったし、意味不明かつへっぽこなZ級ストーリーはその圧倒的無予算っぷりと相まって、貧乏ホラー特有の居心地の悪さを醸し出していたからまぁいいか。雰囲気は味わえた。森の穴から悪魔が這い出てくる『リング』の直球オマージュとか、ホラー好きの遊び心には苦笑しつつ和んでしまうけれど(映画の最初の方のドキュメンタリーパートでは中田秀夫の方の『リング』が見ると死ぬ映像として引き合いに出される)

『アントラム』パートが終わると「あなたは『アントラム』の全編を視聴しました」みたいなメッセージが出る。なんだかファミコンゲームのエンディングみたいで達成感ありましたな。なんの達成感なんだ。

【ママー!これ買ってー!】


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ビデオ屋でホラービデオを借りたらそこに写っていたのはジャケットと全然違う謎の男のホームビデオ。こいつ実はシリアルキラー。DVで撮り貯めた自分の殺人を人に見てもらおうと勝手にレンタルビデオに自作スナッフビデオをダビングしていたのだった…。
怖さそこそこのアイディア一本勝負みたいな変形モキュメンタリーで、個人的には結構好き。でもこの設定だとそのうち何が怖いのかわからない人も普通に出てくるんだろうなぁ。

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