やりたい放題映画『温泉しかばね芸者』感想

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《推定睡眠時間:0分》

東京映画カルチャーにもウェッサイとイェッサイがある。イェッサイという用語が業界に存在するかどうかはさておき、俺が言いたいのはつまり新宿以西のミニシアターには独特のカルチャーが…こう、ライブハウス的なっていうか…そういうノリの小屋が多い。気がする。

なんでその話から入ったかというと『温泉しかばね芸者』、ポレポレ東中野で観たんですが、観たんですが、そうだななんていうか…正直に言えばめちゃくちゃつらかった。大事なことなので2回言う。めちゃくちゃつらかった。

これは一応言っておかなければいけないと思うが映画の内容じゃねぇんですよ、小屋の空気が本当に俺の苦手な感じで…それも一応言っておかなければならない気がしたがポレポレだけじゃなくてウェッサイ系ミニシアター全般が既に閉館したところも含めて俺むかしから苦手で、更に付言しておけば新宿以西のJR中央線沿線の街並みがなんか抵抗あってってそれもう全否定じゃねぇか。

いやまぁ住めば都と言いますし普段から通っていればまた印象も違かろうとは思うのですが、なんだろうなぁ…あのこじんまりした飲み屋とか小料理屋が並ぶ感じがダメなのかなぁ…そもそも飲み屋の雰囲気が俺好きじゃないしなぁ…もうどんどん飛び火の範囲が広がっていくな。

やめよう。この話はここで一旦切ろう。読んでるあなたも得をしないだろうし書いてる俺も得をしない…ようするにTOKYOウェッサイに俺は俺の居場所を見出せない、とりあえずそういうことにしておいてほしい。

いや、良いところよ! 俺には良さがまだ分かりませんが良いとこだからTOKYOウェッサイ! 中野! 阿佐ヶ谷! 高円寺! みんな良い街!
全然説得力ないし説得するつもりもないですけど街否定に入っちゃった手前、やはり、それも、言っておかなければならない気がしたのだ…やめようこの話は!

スイッチングミスにより山手線に脱線しかけた中央線を元の路線に戻すと、映画館入って入場待ってたら他の待機客からすげぇ関係者トーク的なのが聞こえてくる。
その時点でもう(これ苦手なやつだ…)ってなってしまう俺なので場内入って上映時間来て幕が上がる、客席から拍手ある、内心帰りたくなる。

いや、だってまだ映画始まってないじゃん! 映画終わって面白かったら拍手するのは分かるし素晴らしいことじゃん! でも映画始まる前に拍手入っちゃってるじゃん! そしたらもうバンドじゃん! ライブじゃん!
うわもうウェッサイ映画カルチャーだわー。悪いことだとは思えないけれどもーイェッサイ映画カルチャーに慣れちゃってるんだものー苦手だわーこういうノリー。

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別に静かに黙って映画観たいんじゃないんですよ。なんか「観るぞ!」みたいな感じで客全体が内輪的前のめりになって観る空気がつらいんですよ。能動的な観客を求めるムードみたいなのが。だから応援上映とかも行かないしね。
そりゃ俺だって好きな映画はいつだって前のめりですけど、劇場の空気として前のめりっていうのと個人として前のめりっていうのは別じゃん、前のめりカテゴリー的に。

そういうのがさぁ…不満じゃないんですよ、ここは強調しておきますけど不満じゃねぇんです。でも俺には無理だと思ったんだよ、もう映画始まる前から。
で、映画観てる間もすげぇ客席の反応良くて、これは作り手にしたら超嬉しいだろうなぁって思いながらでもやっぱつらい。その客席大爆笑の場面、俺には全然面白く感じられなかった。

内容的には『デッド寿司』とかあぁいう系の意図的なZ級ホラーコメディで、監督の好きなものやりたいことがアタマからケツまで詰まった感じの清々しい映画だったんですが、こういうのよく映画館で大人数で観たいっていう人いるじゃないすか、一人で観ても面白くないとか言って。

俺おもしろくないとしても一人で観たいと思ったよ家で。これも映画の名誉のために言っておきますけど俺は『デッド寿司』とか『東京残酷警察』とかそういうサブカルっぽいのは全部一人で観たい派ですからね。
一人仏頂面で観てる方がサブカル映画を楽しめるっていう人種も世の中に…もういいよそういうのは! 映画の感想を書けよ! 書く。

しかばね芸者なのでうつくしい芸者ゾンビ(ナカムラルビイ)が出るんです、書きたいものを書かせてもらえずストレスフルな脚本家・辻凪子ら映画スタッフがロケハンに訪れた温泉宿に。
何故かというと辻凪子の創作欲求と鬱屈が悲劇的な死を遂げた芸者ゾンビのソウルと共鳴し…たように見えたが詳細不明。

とにかく辻凪子が怨念ぶちまけたホラー脚本を宿で書いてたらそれが全部現実になっちゃったんで、脚本に書いたとおり芸者ゾンビ出る、ほかのゾンビも出る、映画スタッフどんどん殺されたりなんかしてパニック。
中盤からはストーリーもあるようなないようなで、表現者の頭の中を延々見せつけられるような感じになる。エロ・グロ・ナンセンスとファンキーな唄、あとサイケデリック。東映的なやつが好きなんでしょうね、タイトルがタイトルだし。

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で、観て思ったのは、ちょっと面白かったけど俺これそんなに好きではない。なんでかって言うと辻凪子のイマジネーションが爆発するところにカタルシスがあるストーリーのはずなのに、辻凪子のキャラクターがシナリオ上で記号的に処理されてしまうので、やっちまえ感みたいのが少ない。

監督はこれがやりたかったんだろうなっていうところと映画の中の辻凪子はこれがやりたかったんだろうなっていうところが重ならなくて、内容っていうか不名誉な事故で話題になった映画ですけど、映画より監督の顔が前に見えてしまうっていうのは映画を観ても変わらなかった。
客の勝手な期待ではあるんですけど俺それが覆るのを期待して観に行ったとこはあったんで…楽しかったんですけどこれは監督のキャラの楽しさで、映画自体の楽しさとはちょっと違うなぁと感じたな。創作物と創作者を分けて考えることができないのは承知の上ではありますが。

でもまぁなんか、今ちょっと金が無かったり仕事探したりしてて元気なかったんですが、多少元気になりましたよ、これ観て。
俺はこの映画のシナリオの中にたとえば辻凪子の脚本家としての葛藤が殆ど(真に迫った形では)見られないのは、ドラマが盛り上がらない分だけ映画としてつまらないところだと思うんですが、そういう暗さがないからなんとなくヒーリング効果があるって面は否定できない。

ナカムラルビィ周りのシリアスな場面は全般的に良かった。自殺シーンなんかかなり怖い感じで、その映像一つで芸者のゾンビ化を納得させるだけの力があったように思う。
まあそういうシリアスなものは全部バカ演出でぶっ壊していく映画なわけですが、その合間合間にバカで覆い隠せない切実さがちょっとだけ顔を覗かせたりして、こういう映画を作る人は大抵その気があるんじゃないかと思いますがこの監督もあけすけに見えて存外シャイなところがあるのかもしれないとほらやっぱ、映画より監督のキャラが目立ってしまうんだよ、良くも悪くも。

なんにせよ夢に向かって頑張る人というのは見ていて気持ちがいいもので、そのへんの監督のキャラの強さもヒーリング効果に寄与してる…のかなぁ?

※ちなみに監督ほかメインキャストの舞台挨拶付きの回で観たんですが、例の不祥事に関しては監督わりと本当に申し訳なさそうにしていて少しだけ気の毒になってしまったので、被害を受けた側とは話ついてるし、そんなに言わないでやってくれください。どうしても言いたいなら俺はあんまり面白くなかったですが、せめて観てからってことでひとつ。

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