もう歯医者さんもこわくない映画『ゴジラ×コング 新たなる帝国』感想文

《推定睡眠時間:40分》

対象年齢がおそらく6さいの映画なので地底世界に住んでたゴジラが虫歯になって人間のお医者さんに直してもらうために地上に出てくるというシークエンスから映画が始まるのでしたがこの下りに物語上の意味がまったくなかったのでそれではこれはなんなのだというと虫歯になって痛い痛いしたらちゃんと歯医者さんに行こうねというキッズ啓蒙のためのシークエンスとおもわれた。これを観てさえいればやだー! 歯医者さん行きたくないー! ギュイーンてするー! とキッズが抵抗したらば親御さんは「あ、キングコングもそういえば虫歯になって歯医者さんに治してもらってたな~。痛くなさそうだったね~」などと説得をすることもできるだろう。対象年齢6さいの映画としてとても配慮されたオープニングに唸らされる。

あとは基本的に寝ていたのでよくわからないがどうやら今回は地底世界にキングコングの仲間たちがいてそれを暴力で率いるギャングコングとキングコングが戦いゴジラもそれに助っ人するという映画のようであった。ディーディーコングとスペシャルゲストもオマケとしてついてくるのでキッズなら大喜びだ。もぎりのところでとくに入場者プレゼントらしきものはもらえなかったが俺はこの内容なら走るゴジラくんマスコットか背中のヒモを引っ張るとドラミングする吠えるコングくんマスコットのどちらかを映画を観に来た6さいのみんなに配るべきだったと思う。

俺は怪獣映画に愛着がないのでそれ以外に何か思うところもなく、まぁすでにバカ映画として散々SNSなんかで擦られてるしここでわざわざそれを書いても仕方がないので、もう感想としてはそれぐらいだな。なんか楽しかったからよかったとおもいます。子供と一緒に観られるし子供の歯医者さん教育にもなるし。いや、だが、こんな映画にあれこれ言うのは野暮だと思うが、やっぱり早くも前言撤回してもう少しだけ思ったことを書いてみると、明和電機の魚コードみたいの振り回して戦う敵のギャングコングが怪獣としてかなりキャラ造型がつまらないっていうのと、あとこうラストバトルに向けて物語が進んでいく感じが弱いっていうのがね。

前作の『ゴジラvsコング』はそれぞれ別のフィールドで活動してたゴジラとコングが決戦に向けて少しずつ近づいていくみたいなシナリオ構成に一応なってたじゃないですか。怪獣映画の王道だよね。昭和ガメラの『ガメラ対バルゴン』で南洋から来たバルゴンと北の方から来たガメラが名古屋城かどこかで激突するみたいな。ああいうわくわく感今回の『ゴジラ×コング』なかったな。まぁ敵もポッと出の知らない怪獣だし。だからどうも対決が盛り上がらない。最終的には地上戦とはいってもバトル的な見せ場が無重力バトルというのも文字通りふわっとしていてどうも…。

それにゴジラとキングコングが戦ったらさ、なんかどっちが勝つかで人類の命運が決まる! みたいな感じもあるじゃん。でも地底世界でなんか悪いことしてるギャングコングなんでしょ? 最後は地上に出てきて悪いことしてましたけど、でもその敵意ってコングに向いてるから人類の危機って気がしない。身内の喧嘩が人類が15万人ぐらい死んでる気がするので大災難とはいえ、う~んでもなんかそれはもうそっちで勝手にやってくれたらいいんじゃない? っていう気はどうしてもしてしまったな。

まぁでも6さい向けの映画だからこんなもんだろって言われたらそれもそうか。怪獣がたくさん出てきて世界各国でお馴染みの群衆が逃げ惑うシーンがあって…映画を観ながら自然と世界の地理も学べますからやはりこれは6さいに観せる映画としては優秀であろう。大人があれこれ口を出すことではないね。てかツイッター構文で怪獣映画の皮を被ったヤンキー映画みたいな表現がこれの感想で流行ってますけどヤンキー映画ってここまで対象年齢低いの…?

※そういえば今回のゴジラは地上に怪獣が現れると海から出勤して倒すと海かコロッセオ(おひるね場)に帰る平成ガメラみたいなキャラだったが、そんなだったっけ?

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