見た人向け感想『レディ・プレイヤー1』(イースターエッグ解説とかは無い)

《推定睡眠時間:0分》

雪原決戦泣いたよ。ガンダムもメカゴジラ(あれメカゴジラなの?)も別に興味ないんですけどあのぐっちゃぐちゃしたカオスなゲームフィールドね。処理落ちするやつあれ絶対処理落ちするやつ。興奮のあまり涙出たわ。
でもどういう種類の興奮って俺にヤラせろっていう興奮ですよね。もう身も蓋もないんですけどこのゲーム超やりてぇっていう。この映画超やべぇっていうかこのゲーム超やべぇっていう。
俺はガンダムで行くぜ! じゃあ俺は初代アーマードコアの肩キャノン付けた四脚で行くよ! そういうの出来るんでしょこのゲーム、コイン稼ぐか課金すれば。じゃあするよ…。

こんな映像表現を見せられたら勃たないわけがないので見ている間は今年最高のハートBPMを記録したが、ストーリー部分とかはわりと陳腐でざっくりしてるので正直言えばもうストーリーいらねぇよそれ飛ばせねぇのかよせめてオプションで台詞速度変えたりできねぇのかよっていう。
この“オアシス”とかいうドリームVRオンラインゲーム最高だったので最高過ぎて諸刃の剣。ストーリーがケレンたっぷりのアクションを見せる動機程度にしか機能しないっていうのはなんかすごくスピルバーグっぽいが。

特に現実パートがつまらなくてこれは結構つらい。つらいって別に普通に面白いのだけれども、より面白いものと同居しちゃったらそれはやっぱり相対的につらく感じてしまう。
なんすかねぇ、なんかゲーム内のイベントと現実の危機がリンクしながら進行してくんですけど、これ明らかに興味の配分がゲーム世界の方に偏りまくってるので現実の危機が全然ハートに迫ってこなくて。
もうなんなら主人公死んでもいいやみたいな。なんならっていうか死んでもいいんですよ。俺あいつのキャラクターには全然興味持てなかったしね。

むしろ死んだ方が面白かったな。死んだあいつの跡を仲間が引き継いでいって、でその仲間も一人一人(現実で)殺されてって、それで最後に残った女キャラが三つ目の鍵を手に入れてクリエイターと対面、神との対話のあと顔につばを吐きかけて去って行くとか。
それじゃあまるで押井守の『アヴァロン』だ。でもそっちのが燃えないすか? 俺たちの居場所は現実じゃねぇ、ゲームの中だ! ゲームのためなら死ねる! みたいな感じで。

ゲーム的な精神っていうのはそういうことなんじゃないかと思ったな。で、ストリーミング配信用の映画(例:『アナイアレイション』)とかならまた別なんでしょうけど、一般的な娯楽映画ってたぶんその精神は物語に組み込めないんですよ。
小説は写真を描けないし、写真は映画を描けないし、映画はゲームとかインターネットを描けないっていうもんで。
夢のゲーム世界をスクリーンに現出させるためにこんだけ権利関係クリアしたハリウッドの底力的な大作っていうのが逆に、そのへんの限界を浮き彫りにしていたように感じたなぁ。

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最初見た時はワッ! ってなったんすけどね主人公が住んでるスマートな九龍城塞みたいな集合住宅ビジュアルとか。でもこれ前見たなって思って。
この場合の前見た感はチャッキーのアイテム使ってみたいとかシャイニングのゲームおもしろそうとかそういうポジティブなやつじゃなくて、あれだよリメイク版の『トータル・リコール』が同じような住宅地のビジュアルで。
俺はリメイク版の『トータル・リコール』はすげぇ好きであのスマート九龍城塞でのパルクール・アクションとか超キマってたと思うんですけど、『レディプレ』は単なる背景みたいな感じでそれ以上発展しないから悪い既視感だけ残っちゃって…。

悪い既視感っていったらビンス・マクマホンみたいなやつが率いる悪の大企業(雑)のオフィスが『マイノリティ・リポート』の使い回しかっていうぐらい似た印象あって。こうなるとちょっとやっぱ、萎えてくる。
見てる俺からしたら早くそんな見飽きた現実捨ててゲーム世界行けよってなるわけだから現実逃避のための人々がゲームに没頭するディストピアっていう、(『トータル・リコール』と『マイノリティ・リポート』原作の)ディックで言ったら『パーキー・パットの日々』みたいな世界観設定にはある意味合ってると思うんですけど、でも物語の着地点はやっぱ現実を大事にしようって話になるわけじゃないですか。

だったらその現実の描写はもうちょっと力入れてもいいじゃん。どんな人が住んででどんな社会になっててどんな生活があって、とか。ジャック・タチの『プレイタイム』みたいに。プレイタイムの演出には生活の土台が必要だみたいなことラストで言ってたでしょうが。
そこ本当薄いんでなんかな、なんかドラマとかキャラクターとかどうでも良くなってきちゃうんだよ。どうでも良くなって小ネタとかイースターエッグとか含めたゲームの魅力だけが浮いちゃって。

シクサーズだってもう少しストーリーに絡んでくれても…っていうか漠然と超最高なゲームっていうのは見てて分かるんですけどシステム周りどうなってんのかとかアバウトだし、後ろ向きに走るのが正解のショートカットルート(それにしてもここからの眺めは格別だ)っていうことに誰も気付かないとかどう考えてもこの規模のゲームでありえないし…なんか書いてたら粗さばっか気になってきたな。

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雑魚キャラでもいいからもっと色んなプレイヤー出してくれてもよかったのになぁ。対戦型オンラインゲームの面白さ(またはストレス要因)って結局は多種多様なプレイヤーにあるんじゃないの。
主人公一派VS悪の大企業のジュブナイル構図はわかりやすくていいんだけど、そのへんの感覚はやっぱリアルにゲームオタクなポール・W・S・アンダーソンみたいな人とは違うと思ったよ。
ポールが監督したジェイソン・ステイサム主演の実写版『マリオカート』は馬鹿みたいな濃いキャラいっぱい出てたもんな。だいたい一瞬で死ぬけど。

見たかったですけどね、ランク争いとは無関係にFPSのステージで武器使用禁止の鬼ごっこやってる初心者サーバーとか。全然プレイに入らないでロビーで雑談してる人とか。マイクラでせっせとなんか建ててるだけの人とか。プレイヤーキラーの集団とか。
アバターは人型ばっかりですけどどうせゲームなんだから可愛い人外アバターがもう少し居ても…ていうか俺は可愛いやつになりたいんですよ! アイルーの権利とか取れなかったのアイルーとか!
ルーニー・テューンズの火星人は映ってるの確認したからダフィー・ダックのアバターでプレイする人とかならいけただろうワーナー映画なんだし…。

超最高だったんだよ。でも俺が最高だったのは繰り返しになりますけどやっぱり劇中のゲーム世界だったんだよ。全世界規模のスマブラ+スパロボ+マリオパーティみたいなあのゲーム。
だから面白い映画なんですけどなんでこれゲームじゃなくて映画なんだろうって、なんでコントローラーねぇんだよっていう、超面白いのに歯痒いっていうすげぇ捻れた感想になってしまったな。

ゲームはもっと豊かな可能性があるはずなのに、映画の枠組み(それにゲーム=男の子的な古典的イメージ)がそれを押しつぶしてしまっている気がして、俺はアトラクション型上映の次の段階として映画のゲーム化とゲームの映画化は早晩不可逆的に実現するだろうと思っているのでこれはその過渡期の作品として受け止めましたけど、それだけになんかモヤっとした後味が残った。

スピルバーグお得意の大人になれない大人の悔恨とノスタルジーにはジワっときますが(しかし要するにそれは、いくら魅力的なゲームを描いても決定的に映画からは逃れられないということなのだ)

【ママー!これ買ってー!】


真・女神転生 NINE スタンドアローン版(通常版)


デビルサマナー ソウルハッカーズ
デビルサマナー ソウルハッカーズ – 3DS

荒廃した世界でオンゲに興じる人々と聞けばメガテニストですからすぐさま『真・女神転生NINE』の記憶が浮上するのだがその記憶を引きずりつつ映画を見ていると悪の大企業の本社ビルがツインタワーの間にO字型の連結通路という社名(IOI)を象った建築構造でおやこれはメガテンシリーズの中でも特にサイバーパンク色の強かった『ソウルハッカーズ』の天美モノリスと同様の構造ではないか! 二週目だからもう暗号知ってるのにいちいちツインタワー周ってコード集めなくちゃいけないメガテン的マゾ仕様の!
加えて主人公一派の現実世界のアジトがグラフィティで装飾されたバンっていうサイバーパンク的表象も『ソウルハッカーズ』で見たぞ! ハッカーズのアジトはもっと金かかった近未来的なトレーラーでしたけどね!

このような作り手の意図せざるバグ的イースターエッグというのも鑑賞者の妄想次第で無限産出されてしまうのでやばい『レディプレ』です。

追記:
クリエイターの記憶をヒントにステージをクリアするとかステージを通してプレイヤーがクリエイターの苦悩を追体験するとか、トゥルーエンドがクリエイターの孤独な過去の開陳とか『真・女神転生if…』要素まであるじゃないですかこれは!
ハ、ハザマァァァ! アキラァァァ! チャーリィィィ! せめて貪欲界は行かせろよチャーリーてめぇふざけんなよ。

↓原作とその他のヤツ

ゲームウォーズ(上) (SB文庫)
メイキング・オブ・レディ・プレイヤー1
アヴァロン Avalon [DVD]

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よーく

観てきましたよ。
これは確かにめっちゃおもろいね。もうおもろい以外の要素はないって感じ。最初は目が回るような映像に戸惑うけど慣れてくると、ははーんここはこういう世界なんだな楽しいやんけ、となってくるのは買ったばかりのシステムも理解してないゲームに徐々に慣れていく感じに似ていた。こんなゲームあったら食事と睡眠とうんこ以外はずっと籠ってしまいそう。こういう楽しくてドリーミーで刺激的な映像はさすがスピルバーグ、老いてなお盛んって感じで感服ですよ。本当、オタク少年みたいな感性が原点なんだろうな。
しかし現実パートがいまいちに感じるってのは確かにその通りで何なんでしょうね、あの落差は。現実世界の世界観がよく分からないっていうのもあるのかな。
原作とか読んでないんであの世界ではゲーム会社が法や司法も支配するディストピア的な未来なのかと思ってたけど最後にあの悪役のおじさんも逮捕されてたから多分そういうわけでもないんだよな。じゃあ中盤でドローン使って主人公を爆殺しようとしてたけどそれかなり危ない橋じゃね?警察がちゃんと捜査すれば足がつくんじゃないの?とか思ってしまったけど、まぁそういうのを気にしながら観るようなもんじゃないんだろうなぁ。こまけぇことはいいんだよ!っていう。
IMAXの3Dで見たけど全然金返せよとか思わなかったですよ。ただまぁやっぱりこれは映画として鑑賞するよりゲームとしてプレイしたいよなぁ…と思いました。死んだらコインロストして装備とかもなくなっちゃうけどあの最後の決戦とか絶対参加しちゃうよね。あそこに参加しなけりゃゲーマーじゃないよ。だって楽しいし!ていう身もふたもない感じがTVゲームぽいんだよな。
蛇足ですがディズニーの『シュガーラッシュ』を見たときにも思ったけどこういう映画にマリオとかリンクとかの任天堂キャラが出ないのはなんかもったいないよなぁとも思いました。権利関係とか面倒くさいのかな。出てなかったよね?
ちなみに俺はガンダム大好き人間なので例のシーンはちょっと泣きそうになりました。理由を書き連ねると長くなるので省くけど。あとメガテンはデビルサマナーとソウルハッカーズと真3のマニアクスが死ぬほど好きです。
では。

よーく

ゲームオーバーで全部ロストするけど抜け道的な感じで他人に譲渡したアイテムはロストしない、みたいなシステムがあって、じゃあその抜け道を使ってゲーム内でトランクルームみたいなのを経営しているプレイヤーもいたりするのかな、というような妄想も広がって楽しいです。
もっとこのゲームの懐の深さを見たいっすよね。もう、そういうゲームしろよって話でもあるけど。

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