SF的金持ち映画『クレイジー・リッチ!』感想文

《推定睡眠時間:0分》

ちょっとリッチの桁が違うので脳内処理落ちしてしまった。このクレイジーなリッチたちは一人一人がウォール街占拠デモの際に言われた富を独占している1%の中の1%みたいな人たちなのでその中のまた1%である東出昌大に小島よしおを配合したような不動産屋の御曹司(ヘンリー・ゴールディング)と巡る華麗なる一族のシンガポール・マレーシア同時多発開催プレ結婚パーティ(御曹司のではない)はその騒ぎっぷりと人の集まりっぷりと浪費をむしろ目的にしたような湯水の如しポトラッチ的無駄な金遣いからSF映画を観てるような感じになる。

一応白馬の小島よしおに求婚されちゃってどうしようフツーなわたし! 的なポジションの主人公レイチェル(コンスタンス・ウー)でさえ二十代そこそこでゲーム理論を教える経済学教授になったニューヨーカーなのでもうそこから世界違わないそこから、とかなります。

冒頭、1995年、ロンドンとテロップ。ミシェル・ヨー率いる華人一家が予約したリッチホテルに訪れると英国人のお家芸アジアン差別を食らう。予約? 知りませんねぇ。あなたがたの部屋はないみたいですよ?

支配人がニヤニヤしているとオーナーがニコニコとご登場。ワー! 来てくれたんだね! 待ってたよ! あ、支配人くん、言ってなかったけどこのホテルは今日からミシェル・ヨーさんがオーナーです。支配人顔面蒼白。

華僑ネットワークの話なのである。アジアンズという語からはもう少し広い人種的・民族的分布をイメージするが各国に散らばった1%の金満華僑が結婚式ってんでそのネットワークの中枢から末梢まで全部集結してポトラッチ合戦をする話なのである。

そう来たか。なにがそう来たかなのかはわからないがそう来たか感がある。金満華僑のステロタイプを逆手にとって、ハリウッド映画の古典ジャンル・オリエンタル観光映画のスタイルを借りて、その偏見を華僑の側から極端に誇張することで屈託のないストレートなコメディにした映画っていうか。

貨物船を改造したナイトプールを公海に浮かべて「ワルキューレの騎行」をガンガン鳴らしながらヘリで向かう場面とか何一つ合理的に理解できないが別にリアルを求める映画じゃないからいいのだ。
『地獄の黙示録』だってある意味オリエンタル観光映画なんだから野蛮解放区としての想像的ベトナムの代わりにオリエンタル・ドリームワールドを、LSDの代わりに札束を過剰摂取してスーパートリップするかオーバードーズするこれは華僑の黙示録なんである。

ちなみに『ゴッドファーザー』パロディと思しきベッドに○○○の死骸が! 的な場面もあったがなにそのコッポラ愛。笑いましたが。

オールアジアンキャストのハリウッド映画ってことでハリウッド映画の脇の方でよく目にする気がするが名前とかはあんまよくわからない人たちが全員じゃないかもしれないが大集合。オールスター映画的なおもしろみもあった。

ケン・チョン・・・ケン・チョンは『ハングオーバー!』で全裸だった人だ! クレリの方でも強引にして唐突なウザ絡みをしてくる変な人だった。
ソノヤ・ミズノ・・・ソノヤ・ミズノはあれだろ放埒で頭の軽い感じのルームメイトとかよく演じる! やっぱ今度もそういう人でした。

オークワフィナ・・・オークワフィナ! オークワフィナ! オークワフィナ! 勢い余って感嘆符付きで連呼してしまったオークワフィナは俺は『オーシェンズ8』の強盗軍団の中で一番輝いていたと思ったのですがもう全開すよ! オークワフィナ全開だね!

平凡(的なポジション)の主人公コンスタンス・ウーをアシストするのが彼女の友人のオークワフィナで物語的には完全な脇役なのであったが平凡客の共感を外さないよう平凡枠を維持するコンスタンス・ウーとか基本見ててもあんま面白くないのでその傍らでいちいちおもしろい顔をしていたり本業ラッパーの面目躍如な大阪のおばちゃん的リズミカルしゃべくりをしていたりと道化に徹するオークワフィナのエンターティナーっぷりばかりに目がいってしまった。

普通に歩けばいいようなところでもわざわざぴょこたんぴょこたんとオーバーに歩いたりするからなオークワフィナ。檄キュート檄キュート。
それでまたこの人シーン毎に服装全部変えてくるんですよ。本当に本当に脇の道化に徹してるからカメラが寄ることとか全編通して一回もなかったと思いますが平凡なコンスタンス・ウーの後ろで密かにオークワフィナの単独ファッションショー開かれてるからな。

わざとらしい金髪ヅラとか込みでそれが超良くて。いや別に本人がコーディネートしてるわけではないですけどその自由で飾り気のない着こなしっぷりがすげぇチャーミングで。
もうオークナフィナだったウンコしてる姿さえチャーミングだろうなって思いましたね。なんか肥料価値の高そうな健康的に臭いウンコしそうで良いですよ。むしろ見たいくらい。いや見たいとまで言ってしまうとなんか違う話になってしまうが・・・まぁそれぐらいオークワフィナが輝いていたということだ! そういうことにしておいてほしい。

ちなみにキャラとかストーリーとか映像感覚はかなり王道路線で、金のかけ方とか太陽とクマムシぐらいかけ離れているがみんな大好き少女漫画原作学園映画なんかとはかなり通ずるようなところがあった。
我田引水な気もするがやっぱキラキラ映画の蔑称を持つ少女漫画原作学園映画にこそ日本映画とアジア映画を架橋するアジアングローバルな可能性があるんじゃないかなぁとか思ったりもするのだった。

おもしろかったすよ、キラキラしてて。主にオークワフィナが。

【ママー!これ買ってー!】


未成年だけどコドモじゃない Blu-ray 豪華版

われわれ庶民の金持ちイメージをSF的に刷新する驚異の富豪映画『クレイジー・リッチ』であったが刷新される前の金持ちイメージはこれぐらいの感じなので札束の洪水に金酔いしたらジャパニーズ・スーパー富豪の高嶋政宏を見て酔いを覚ますかそのクレイジーで余計に悪酔いしたい。

↓原作


クレイジー・リッチ・アジアンズ 上

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