バキボギ映画『FRANG/ファラン』感想文
疲労が頂点に達した金曜夜のまどろみの中で俺が目にしたのはあちらこちらで大量の返り血を浴びながらタイの裏社会人たちをバギボギにぶん殴りまくっていく主人公の修羅のごとし姿であった…なんだかすごいぞこれは!
アンチ・シネフィルなゆるふわ系にわか映画ブログ。
疲労が頂点に達した金曜夜のまどろみの中で俺が目にしたのはあちらこちらで大量の返り血を浴びながらタイの裏社会人たちをバギボギにぶん殴りまくっていく主人公の修羅のごとし姿であった…なんだかすごいぞこれは!
テーマありきの映画という感じで人物造型はわりと雑く展開も意外性なしで、良い映画だとは思うがあんまり面白くはなかった気がする。
面白い良い映画だと思うが、映画そのものよりもこれが観客に絶賛されて受け入れられていることが興味深かった。
きっとこれこそが西部劇であり、これこそがアメリカ映画なのだ。ほとんど寝ているためストーリーすらよくわかっていないが、たぶんそうに違いない。
虚しくも美しいラブストーリーであると同時にひねくれているようでストレートな人生肯定でもあるというのがこの映画なんじゃないかとおもった。
三池崇史のメジャー向け職人仕事ってことで、べた褒めする気にもなれないが、といって悪い映画でもないという映画であった。
売れてる役者も派手なバトルもファンアート要素とかもないのでぶっちゃけヒットしないでしょうが、俺はこの映画、近年の悪魔憑き映画としては世界的にもかなりベスト寄りの一本だと思います!
こわれた人々のうつろな芝居、低予算を逆手に取った作劇、美術も照明もすばらしい。なにより、戦争が終わった後の未だ闇の中にある時間に焦点を当てる生真面目さというかウソのなさにグッとくる。イイ映画だと思います。
いやはやまったくこれは感想を書きにくい映画である。易々と感想を書けない現実の複雑性を捨象しないで織り込んだ、力作ではないかと思う。
ずいぶん意地悪な冷笑風刺喜劇だがこういう社会構造でこうなってるんだから個人個人が誰か別の個人を憎んだりなんかしてもどうしよもなかんめぇと諭すようなところもあった。