恐怖は海からやってくる映画『ドラキュラ デメテル号最期の航海』感想文
さいきんはすっかり細くなったとはいえ怪奇/ホラーの世界に脈々と受け継がれる海の恐怖を久々に大画面で見せてくれたという点で、『デメテル号最期の航海』、単に面白いだけじゃなくてけっこう嬉しい感じの映画なのです。
アンチ・シネフィルなゆるふわ系にわか映画ブログ。
さいきんはすっかり細くなったとはいえ怪奇/ホラーの世界に脈々と受け継がれる海の恐怖を久々に大画面で見せてくれたという点で、『デメテル号最期の航海』、単に面白いだけじゃなくてけっこう嬉しい感じの映画なのです。
都会の生活ならともかく大正田舎庶民の貧乏生活がじめっとした空気の中で淡々と描かれる映画なのでそこが大事なんだよそこがという声はわかるが画面から凶悪な睡魔が襲ってきた。かなり寝たがイイ映画だと思います。
事件に次ぐ事件、不穏に次ぐ不穏、その頂点で爆発する荒々しいカーチェイスの興奮と、そして突然の幕切れがもたらす虚無的なカタルシス…映画が終わって1分ぐらいは世界で一番面白い映画だと思った。
夏に観るホラー映画としては上映時間も短くとてもよいと思う。まぁこういう映画は「なんかヤバイ映画があるらしいよ!」っていう噂に素直にノって友達とかと一緒に観に行ってヒエ~ってなるのがよいんでしょう。
結論から言うとかなりおもしろかった。いやもうかなりおもしろかったよこれはアレですフェイクドキュメンタリー版のあるいはコロナ禍の『残穢』。
超能力バトルの演出とその時のガキどものカッコよさに興奮して泣いてしまった。本当に良い映画っていうのはそういうところで泣けるんだよ。
長回しの多用しすぎによりかなり眠くなる映画ではあると素直に書いておくが、最初と最後だけ観ても面白かったのでイイ映画には違いない。
出てくるゴア描写はどれも劇場公開用映画としてはおそらく過去最高クラスのハードゴア、そのノリのまま突っ走ってくれないのでこんなにゴアいのに普通に寝てしまったが、一見の価値があることは間違いない。
ホラーは単純に怖いだけでも別にいい。それは決して薄っぺらい体験ということではなく、そこから見えてくるものだってあるんである。顔面破壊がすごい、とか。
色々盛り込みすぎて消化不良を起こしている観もあるものの、主人公や殺人鬼のキャラクター描写は良いし殺人シーンもその後の死体処理シーンもサスペンスフル、テーマ的に今観ておくとアツい映画です。