伝説破壊映画『バビロン』(2022)感想文
こんな屈折した映画へのラブレターを、好きにはなれないとしても、嫌いになれるわけもないだろう。
アンチ・シネフィルなゆるふわ系にわか映画ブログ。
こんな屈折した映画へのラブレターを、好きにはなれないとしても、嫌いになれるわけもないだろう。
爆睡したので面白かったのか面白くなかったのかもわからないがゾンビの設定とテレビドラマ的な絵作りはなかなか興味深かった。
リアルなシチュエーション・スリラーというよりは都市の寓話であるとか不条理劇の印象が強い、ある意味安部公房風の一人芝居系映画。捻ったシナリオも中島裕翔の演技も見事で面白かったです。
ウクライナ戦争の終結がまったく見えない現今、こんなものを観れば「この頃はまだロシアにも…」とため息が漏れるばかりだが、こんな時代も、こんな人々も、こんな抵抗も確かにロシアにはあったのだと知ることは、とはいえ無駄なことではないだろうと思う。
俺はこの映画を作った人は全然わかってないのだと思う。どうやったらアクションとして燃えるか、コメディとして笑えるか、全然わかってない。
俺にはあんまハマらん映画でしたが主人公と親友が汗と垢にまみれた腕力の信頼できるタンクトップ・レディースなので点数をつけるとしたら100点です。
凡人にしては感性が少しだけ鋭いオッサンと凡人にしては感性が少しだけ鈍いオッサンの喧嘩ならざる大げんか。そんなネタでこう面白く仕上がってるんだから立派な映画ですよこれは。
予算がないのは明々白々だがなかなかどうしてお値段以上の面白テンコ盛りっぷりで、河崎実映画のこれはクリティカルヒット。
こういう形の救いもあるんだなぁ。いやはやいろいろと勉強にもなる面白い映画でした。
まことに愛はろくでもない。まことに愛はおそろしい。それでも人が人を愛することのどうしようもなさ(©石井隆)。いやぁなんとも寒々しい恋愛残酷譚でありましたね。