私情を挟み尽くす映画『あしたの少女』感想文

労働問題の題材からスタートして政治と私情を鋭く対比させながら生きることの罪と人間の実存にまで羽ばたくこの静謐なダイナミズム。構成も素晴らしいが人間観察眼も実にえぐく、いやいやこれは傑作だ。

ニヒリズム脱出作戦映画『カード・カウンター』感想文

そんな大して面白い映画ではないけれども『タクシードライバー』の脚本家がようやくこの境地に辿り着いたんだなって思うとちょっと沁みる。

人生の取るに足らなさ映画『メグレと若い女の死』感想文

取るに足らない事件を取るに足らない事件として描くことで見えてくるものもある。犯人なんかぶっちゃけどうでもいい。どうせどうでもいい犯人でしかないだろうから。しかし、そのどうでもよさから見えてくるものは決してどうでもよくはないのだ。

渋くていいぞ映画『ザ・コントラクター』感想文

音もなく糸が切れた人形のように死んでいく人々と人肌を感じさせないメカニカルな特殊部隊の所作、突然始まりあっけなく終わる銃撃戦、真実を見失って下水の闇に逃げ込む男…なんとも渋いミリタリー・ノワールの佳作。