君の名前で僕は呼べない映画『影裏』感想文
岩手テレビ開局ウン十周年記念作品だそうですがこんな作家性の強い文芸映画が記念になると考えたのだとしたら岩手テレビは映画のことなんかなにもわかっていないか逆にめちゃくちゃ芸術に理解のある人々の集まりなんだろう。良い作品をありがとう岩手テレビ。
アンチ・シネフィルなゆるふわ系にわか映画ブログ。
岩手テレビ開局ウン十周年記念作品だそうですがこんな作家性の強い文芸映画が記念になると考えたのだとしたら岩手テレビは映画のことなんかなにもわかっていないか逆にめちゃくちゃ芸術に理解のある人々の集まりなんだろう。良い作品をありがとう岩手テレビ。
観ながら前読んだ自己啓発本を思い出したりしたのでもうダメ。そっちの方に思考が行くって身体じゃないくて頭で観てるってことですから。こういう映画を頭で観たら楽しめないよ。
タイトルからして最高である。『マザーレス・ブルックリン』ときましたよ。こう、なんとなく反対側ロサンゼルスと対になるような! 陽光降り注ぐ開放的なロスに対して薄暗くて孤独なブルックリンですよ! これはもう中二中二と人々から後ろ指を指されてもマイ邦題『ブルックリンは母はねぇ』に決定じゃないですか!
乙一はブログでの自称が小生だった人、というのが乙一監督作と知ってまず頭に浮かんだことだったのだが俺の記憶では「小生日記」だったそのブログはいくら検索しても出てこない。いつの間にか閉鎖されてしまったのだろうか。その名前は知ってはいけなかったのだろうか…次はお前だ!
裏社会のお仕事を終えたナタリー・バーンが貧乏ダイナーに入ってステンレスのナプキン入れを鏡代わりに額の血を拭う等々、金はないがノワールなディティールに抜かりのないB級ノワール・アクションの快作。
全編サスペンスフルで中だるみナシ。ジョエル・キナマンの男気も悪い奴の悪さも素敵な好編でした。さすが梅沢富美男推薦!
役に立たない物を巡る役に立たない者の極小規模な大冒険。そこに仕込み刀のようなエルドアン体制批判があり、地元の慣習への疑義があり、惰性の人生への否があり、役に立たないから見えてくる風景と詩があったりする。よい映画ですね。よいダメ人間ポエム。
インスタ映え的なコントラストの強い映像も含めて大人の恋愛映画というよりなんだか地方系学園映画のような感じ。ありますしねこういう超設定のキラキラ学園映画。
組織と家族と法の間で揺れ動くヴァンダムの渋演。突発的なバイオレンスや硬派な共演陣も素晴らしい、良いノワール映画だったと思う。
率直に言って俺にはあまり良さがわからない映画だったが、今の世にこれがシネコンでリバイバル上映されたことにはやはり心を動かされてしまう。